第53話 いやいやいやいやソレ自殺行為じゃないんかぁぁぁ
『最優先目標は照明に決まりましたね?
そうですねタケル班長?』
『はっ!そうであります教官殿!』
「気分は訓練生」
いってやるな…第8分隊長クロノ中尉 …可哀そうだろ…
『突撃艦はある程度残さねばならない、
そうですね?ナナキ?』
『はっ!そうであります教官殿!』
「そらそうなる訓練生心境」
けどもなんで突撃艦残すんだ?
『敵が集合し最接近軌道に乗るまで待つ必要はありません』
『はっ!始めます!!』
『艦姿勢ピッチ-45度!加速は50Gのままだ、さぁいくぞ』
『『『『『あいあいさー』』』』』
「下ぁあ!?下にいくのっ!?」
「えっじゃあなんで必死に上に!?」
『さてコマインの指し手殿?次の課題ですよ?
アレを見て戦列砲艦を裸にできますか?』
「えっ?裸にできない理由を押し付けたの?」
「何時っ!?アレって!?」
「4号なんだろっ!?4号の何がそうさせるのか?わからんが」
『第2陣の照明殲滅!!』
『第2~5陣の矛ーこちらの新進路にー
あわせてー集合最接近軌道だー』
「コマイン振り回されてる…」
そうだな…第7分隊長カルイザワ中尉…
『照明は?』
『本隊とのー合流諦めたー矛に合わせようとー苦心してるー』
「振り回されてますね…」
あぁ全くだ…第4分隊長ナカニワ中尉…
『本隊との距離は?』
『約100光秒ー接近速度は約0.002光秒ー依然増速中』
『矛の数は?』
『約1万4000隻ー』
「多い…囲みの時の4倍以上…」
「そりゃ4陣分だしな…」
『程よい数だな』
「ソレを程よいと言えるのか…」
「驚嘆」
『だな、こいつらで一度やるか』
『そうしよう、ナナキ、矛が集合し終えるのは?』
『2時間後ね』
『その時の照明の位置は?』
『第3陣がこちらの攻撃圏内にいるー
第4陣が矛にまにあうかもー?
第5陣はまになわないー』
『よし、やろう』
『『『『『あいあいさ~』』』』』
「なにをやるんだよ…」
「不穏すぎますわね」
”思考加速オフ”
『ウタは一度接続をオフしてシートで2時間寝とこう』
『たすかるー』
『シンも寝ときなさい、その間は私がやっておきます』
『シズネとナナキも1時間寝とこう』
『『あいあいさ~』』
『俺とヤマトはその後な』
『おうよー』
((((しゅしゅしゅしゅん))))
「ここで一息か」
「取れるとこで取っとくと」
『どうもコマインはこのような戦闘はしてこなかったようですね』
『明らかに後手後手になっているな』
「確かに…振り回されてますわね」
「あぁ、らしくないものな」
低濃度ガス雲罠を考案した相手らしくない…ということだな?
第3分隊長オオトリ中尉と第2分隊長クロカゼ中尉。
『帝国も実戦では経験ないがな』
「なかったんだ…」
「まったくソレを感じないわけだが…」
『ふむ、なおさら深く刻み込みましょう、
常に其の影に怯えるようになるまでに…ですよ?』
『それが我らの戦友を守るというなら』
『やらいでか』
「お~こわぁ」
「AIにトラウマってあるんですかね?」
「ハム公と検証公見る限り…あるよね?」
「ですわね」
「でしたね」
「だったな」
『どうだ?そろそろか?』
『おかえり、タケル、えぇ、そろそろよ』
『第3陣の照明までもうすぐ10光秒ね』
『いまなったよー』
『なら主砲歪曲砲仕様外射撃を頼む』
『射撃開始』
「もう作業ですわね」
「距離さえあればと」
『さて問題の矛は?』
『あと30秒でー慣性情報はー同一にーなるー』
「1万4千隻かぁ」
「普通に多いと思うのですけど」
「ここからどうするんだ?」
『第4陣の照明は?』
『ここからーアレやるならー8光秒になるかなー』
『ちょうどよい塩梅だな、第5陣は?』
『25光秒になるー』
『本隊とは?』
『60光秒ー』
「もうそこまで近づいてるのですね」
「結構2時間で進んでるなー」
『相対接近速度は?』
『0.01光秒ー』
「もう10倍の速度かぁ」
「そりゃ近づくか」
『充分だな』
『じゃぁやるのね?』
「ん?何を?」
『あぁ、集合したらだ』
『今ーしたー』
「しようと?」
『ピッチを+90度に戻すぞ、
加速を維持したまま主砲旋回速度に合わせてな』
「えっ!?ここにきて上っ!?」
「えっ?それって衝突コースじゃ?」
『了解!!主砲射撃継続』
『これで…逃げると思っていたコマインの矛は…』
『鴨撃ち状態で追撃するか…
ただ一度の襲撃に賭けるか…
その2択だ』
『それ実質1択よね』
「うへぇ襲撃を敢えてさせるんだ…」
「あの数の?正気ですか?」
『予想会敵時間は?』
『第4陣照明が13分後ー
矛がー25分後ー
第5陣が41分後ー
本隊が100分後だー』
『第3陣照明殲滅』
「えぇぇ…このタイムスケジュールで?」
「本隊が最後に入っている…のですが?」
『ふむ、やはり状況推移についていけてないですね、
未経験事象は現地演算能力だけでは対処に苦慮する、
そういう事のようですね』
『なるほどな、コマインの有能さは過去の経験則でしかないと』
『えぇ、おそらくは』
「あっらしくないのはそのせいと」
「その原因は非常識な戦術にあると…」
『第4陣照明殲滅』
「ちゃくちゃくと」
「進んではいるけど」
『矛は?』
「本題はこいつらどうすんの?」
「ですわよねぇ」
『距離12光秒ーこちらにあわせてー必死にー
ピッチ+90度で加速してるー』
『最終襲来方向は?』
『水平0度ー垂直+30度付近だねー8光秒までーあと7分ー』
『何波になりそうだ?』
『2波になりそー』
「1波7千隻の突撃ですか…」
「ヘッドオンではないようですけど」
『またずいぶんと密度あげたな』
『4号を浴びても密度でなんとかしようってことか』
『なら、やはり後ろからも?』
『だろうなぁ』
『まぁおかげで4号が節約できる」
『だな』
「不穏だぁ」
「まだあるんですの?」
『よし!やるぞ!!』
『『『『『あい!あい!さー!!』』』』』
『プラン風林火山ファイナルステージ敵中突破4号で威光事前チェック!』
「名前がっ!?」
「ステージ名がっ!?」
「正気ですのっ!?」
『上部主砲1番4号装填!次弾以降も4号46弾全弾を揚弾レールに!!』
『副砲全基両用モード!!』
『上部主砲2番下部主砲1番2番歪曲砲砲モード!!』
『アンテナ1、2,8光秒砲弾迎撃早期警戒モードー準備よしー!!』
『艦体アクティブセンサー異常なし!!』
『スラスタ配分慣性100重力0!!』
『対消滅ジェネレーター出力異常なし!!』
『マナ転化フィールドジェネレーター累積残量100%!!』
『操舵思考入力前表示開始!!』
”4号起動まで現状維持、起動後は56Gにスライド10G継続だ”
『主砲担当思考入力前表示開始!!』
”艦軸線のまま、軸線に入ったら撃つ”
『副砲担当思考入力前表示開始!!』
”致命艦致命弾のみ撃墜、各砲1番歪曲砲2番が投射砲だ”
『アンテナ担当思考入力前表示開始ー』
”撃ってくるかなー?”
「まさか…」
「おいおい…」
『艦体アクティブ兼優先順位振り分け担当思考入力前表示開始!!』
”致命艦致命弾は見逃さない”
『航法兼バイタル担当思考入力前表示開始!!』
”あまり水平方向の加速が伸びないとよいのだけれど”
”各員バイタルオールグリーン”
『ん?あー下からー上にー向きを直してたー
戦列砲艦ー加速を止めてー頭をこちらに向けてきたー』
”レッドなるーきっとなるー”
”コマインっ…どうしてだ!”
”あぁぁ本気でアレやる羽目にぃぃぃ”
”成功したら快挙だけどもっ!”
”これ常によね…この距離から常によね…”
”おおぅもう…”
「まじかよぉぉぉ」
「ソレ想定してながらするんですのぉぉぉ」
「いやいやいやいやソレ自殺行為じゃないんかぁぁぁ」
『ふふふ、みなさん後ろの方々が歓迎演奏をしてくれるそうですよ?
奏でられるは毎30秒10万発のワルツです。
実に悪くない歓迎ですね?
失礼が無いようしっかりと踊りきるのですよ?
まずは10万発と1万4千隻とのダンスです。
私の支援があるのです、躱し切って当然ですよ?』
「うっそだろ…やれんのかよ…」
「まじなんですかぁ…やれちゃうんですかぁ」




