第49話 さぁ思考加速をいれて検討会の開催ですよ?
『ウタ?悪いけど動体検知警報を
全員に聞こえるようにセットしてくれるかしら?』
(ぅぅぅん)
”広域全周動体検出中…現状未検出”
「なんか文字列が周囲を回り始めたぞ?」
「CICの警報表示だな」
『したよー』
「なるほどですぅ」
『思考加速オフ』
『ゆっくり考えるも何も答えはひとつじゃ?』
『レーザー戦艦の薄いところを墜として抜き追撃を必要分墜とす』
『それ以外ーないーような?』
「抜いた後は56Gで逃げられないのか?」
「それであれば簡単そうだけど?」
「5Gの負荷にどれだけ身体が耐えられるか?が
56G戦闘機動継続可能時間だ」
「あっ単純な追いかけっこはソレで詰むのか」
「レーザー戦艦さえ墜とせば電磁波吸収で?」
「隠れて50Gになったところを
突撃艦の自爆光球電磁波で暴かれるという判断だろう」
「影絵が生まれてしまうのか」
「そしてマナ転化無しで至近弾を受けて詰む」
「見せた速度は30Gまでだから?50Gで抜かれなければ?大丈夫かも?」
「だがコマインには8万隻の突撃艦がいる、30G想定位置にいなければ?」
「前しかない…」
「そして想定位置はさらに絞られる」
「その上相手は55Gですわね…」
「隠れていても前に出られた時点で…」
「そうだ詰む、だから潜伏に足る必要時間分の追撃を墜とす」
「ものっそいきっちい状況なんだが…」
『ふふふ、さてそれはどうでしょう?
その一文には多くの選択肢が含まれていますよ』
『検証公…来たのか…』
「えっ?来たの?」「さすがの魂魄式AI」「これちゃうんだ」
『えぇ来ましたとも、えぇ来ましたとも』
『名分は?』
「おや?」「検証公の様子が?」「いつもとは?」
『コマイン天体再襲撃時の高損失率原因調査ですよ?
しばらく前から強襲司令部に泣きつかれていまして、
曰く新規配属がここ最近狩られすぎて涙目とのことでして
それで特殊依頼をというわけです』
「…とまぁこんな感じだ」
「当然司令部も」「知っていて動いていた」「その終点が検証公…」
『なるほどなるほど…舐められたものですね。
私の教え子の中でも?
初戦以降を生き抜き?
5M功績ポイント以上を叩き出し?
強襲独行艦配属後も5M功績ポイント稼ぎ抜き?
私が受付した5M功績ポイント級独行艦を駆る?
1班で200万の突撃艦を屠ったに等しい?
誇り高き10M班にあろうことか?
この程度の策略で?
第3便で多少はその実力を見た筈なのに?
なるほどなるほど…舐められたものですね。』
「ふわぁキレてますよぉコレ」「こっわっ」「恐怖の微笑」
『あかん…教官キレとらす…』
『ヤバいー拠点艦駄艦シリーズー語る時のテンションだー』
「あっスイッチそこ?」「あぁあったな…そんな歴史が…」
『のぉぉぉぅ、コマインが教官に赤点もらってもぅぅたぁぁ』
『コマインに教官指導が入るぞコレ…」
「教官指導…?」「コマインが赤点?」
『陛下?こちらのご承認いただけます?』
「えっ?そこに承認要求すんの!?」
「はやいはやいはやいって」
『ん?検証公?突然ですね…
コマイン天体再襲撃時の高損失率対策作戦?』
「作戦名はまともだ」「意外にまともだ」
『検証派10M班5M以上艦全艦による通商破壊戦の実施?』
「風林火山級以上の猛者で?」「アチコチで単艦殴り込み?」
『作戦艦の対艦戦に限り全兵装使用許可ならびに全力使用許可?』
「えっ?あんだけ秘匿してたのに?」
「使っちゃうの?」
『検証公承認による根源接続システム無制限使用権限60分使用許可?』
「え”っ?それも視野に入れてるの…」「何させる気なんですか…」
『秘匿決戦マナ兵器”検証公の隠し玉4号”使用許可?えっアレ使うのです?』
『使います、最重要項です』
『あっはい』
「陛下たじたじ…困惑しとらす」
「そしてさらっと出る不穏ワード」
「別に大したものじゃないぞ?」
『ご承認いただけます?』
『すごい圧ですね…
作戦目的と目標は理解しました、問題ないでしょう』
「すんなりと」「承認でましたね」
『全兵装使用許可も全力使用も目的と目標から問題ないでしょう』
「これも?」「意外にもすんなり」
『根源権限も強襲独行艦単艦レベルなら問題ないでしょう』
「まじか」「許可出た」
『アレに関しては積載しているのは検証派強襲独行艦が主ですし、
強襲独行艦以外では積載どころか、そもそも制式兵器でさえないので、
使用に問題はありません』
「制式兵器じゃない?」「えっ違うの」「検証派ってなにそのワード」
「検証公の教え子は身内では検証派と呼ばれてる
オレの教え子である諸君らはハム派だ」
「なるほど、ところでアレとは?」
「検証公の持つ屈辱の鬼軍シリーズの一つだ、
秘匿決戦マナ兵器”検証公の隠し玉4号”
言語理解阻害弾”漢は黙ってコブシで威光”
コイツは巡洋艦主砲に装填した状態で術式を起動し、
起動後に希薄マナをぶち込んで艦周囲に立体魔法陣を瞬時構築。
外に向けてのみ盛大に発光する、その光を受けた物体は、
ごく短時間だけ言語理解が極度に低下する。
思考ではない、理解だけだ、つまりは意思疎通だけを阻害する。
なお、無差別だ、敵味方関係なく効果は光を受けた物体に発現する。
ソレはオレら魂魄式AIの分体端末にも、
純科学AIにも単なる通信機器にも発現する。
その効果時間は1秒だ、艦隊戦に使える効果範囲半径5光秒圏を実現するために、
もとは3600秒だった効果時間は1秒になった代物だ。
検証派独行艦は弾薬庫に員数外として10~50発を常に積載している。
なお発動後弾体は霧散する」
「突っ込みを封じられた屈辱から…再現されたのか」
「そうだ、ソレは防御兵装の一種である筈なのに、
自艦以外の敵味方無差別という極端な短所の為、制式採用は見送られた」
「強襲独行艦でも?」
「あまりに使い方がピーキーでな?
独行艦配属後に検証公のソレ用教練を受けた面々にしか、
ソレは使いこなせんのだ、結果として検証公と親しい検証派が主に使っとる」
『では?ご承認いただけると?』
『えぇマナサインしておきました』
『感謝します、では』
『えぇ、幸運を』
「すべて承認されましたわね」「うむ承認されたな」
『さて、元第4編隊3分隊長班の皆さん?久々の課題を出しますよ?』
『教官…課題ですか…』
『そうです課題です懐かしき課題です、
いまココに貴方方が使える手札は出そろいました、
其処には私の演算支援も含まれています。
それらをもって貴方方が成すべき目標を提示します』
『あー地獄の日々がーよみがえるー』
『うそだぁー』
「観測コンビが…」「当人前にして…」「悲嘆に暮れとる…」
『では、
目標、追撃の意志を持つ人工物を全て殲滅せよ。
戦術目的、その行為でもってコマインの追撃意志を粉砕せよ。
戦略目的、10M班5M級の存在感を誇示し全独行艦への攻撃手段を縛れ。
です』
『あぁぁぁできるけどもぉぉぉしたくはないやつだぁぁぁ』
『一番サイアクな課題ぃぃぃぃ』
「ちょっ!?全力で喧嘩買わせる気なんかよぉぉぉぉ」
「単艦で!?小艦隊と真向から!?」
「そしてできるのっ!?」
『さぁ思考加速をいれて検討会の開催ですよ?』




