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第43話 その猛者がいとも簡単に屠られる戦場

「それで、先輩らは?」

「ふむ、これは先ほどから4時間後の映像だ」


『タケル?そろそろ4時間よ?』

『ん?そうか、「全員、リビングへ」』

『48光秒程は離れたかしら?』

『だな、加速も、もう一時止めておくか”加速停止”』

『では私たちも』

『行くとするか』

「班員は艦内であればどこでも簡易的な操船コマンドが使用可能だ」

「ん?なんでまた?」

「割と本制御が面倒でな?コレだ『艦制御用コフィンシステム』」


マナトリガー仕様

帝国艦標準制御システムである。

外観としては高さ3m横6m長さ12mの直方体で、

上部に横3列縦4列12の搭乗ハッチが存在し、

ハッチ奥は一人用要員シートと

搭乗スペースに沿ってくり貫かれている。

専用スーツを着用した搭乗要員が、

生命維持マスクと排泄補助装置を装着後、

シートに着席したのちハッチが閉まり、

慣性荷重軽減材で思考接続導体でもある、

非粘着ゲル状物質にシートごと包まれ、

搭乗スペース自体が満たされる。

その後にシステムが構築している艦CIC用精神世界に、

搭乗要員の意思が接続される。

艦CICには各担当席と

相応のオペレーションシステムが用意されており、

アバターを用いてそれらを操作する。

艦長・副長・操舵・通信・観測・機関

・砲術・航宙・電子戦・船内保守・船外作業

といった各種オペレーションシステムが用意されており、

複数人配置や兼務配置にも柔軟に対応する。

最小構成6名1チームであれば、

適正に合わせて3名2班交代で

運用できるような兼務構成がされ

最大構成6名2チーム計12名であれば、

艦種に合わせた3名2班以外人員の

偏重配置等々がなされたりする。

その自由度はとても高い。

また乗員保護機能としてコフィン内は、

乗員保護慣性制御フィールドが展開されており、

50Gまでは1Gに固定できる。

超過分はその超過分をyとし、2×√yが超過Gとなる。

51Gであれば2G、54Gであれば4G、75Gであれば10Gである。

支援機能として思考加速術式も保持しており、

10倍までの思考加速が必要時可能となっている。


「というわけだ?」

「あぁ~確かに面倒だなぁ」

「ちょっとした何かをするにはハードル高いですぅ」

「なるほど、確かに必要ですわね」


『全員そろったな』

『班長これからどーするー?』

「各班でやり方はそれぞれだが、

風林火山はリビング様式でリラックスムードでやっている」

「なるほど、ブリーフィングや打ち合わせや検討なども?」

「うむ、そこに縛りはない結果さえ伴えば」

艦内はかなり自由なんだな…過酷な任務ゆえにかねぇ。


『ウタ、今回は司令部と水鏡から依頼が来てるんだわ』

『わぁーお、やっかいごとだぁー』

『ちょっと!ソレ私も聞いてないんだけど!?』

『そらそうだナナキ、たった今来たからな!』

「そんなんあるんか…」

「結果と内容を部内にも秘匿したい場合に使われるな?主に」

「不穏だなぁ」


『シーン!すごいよー厄介ごとの匂いしかしないよー』

『だが報酬は高いぞ?

なんと受諾だけで10万!成功で100万功績ポイントだ!』

「だから報酬で釣るんだよ?」

「ぶっちゃけすぎだろうに…」


『アンテナ戦列級にできますね…班長やるべきです』

『シン、落ち着け』

「物欲に負けてらっしゃる」

「狙い通りだ…検証公のな?」

「検証公の策謀なのですか…」

「さすが…手段は選ばない」


『ヤマトの言うとおりだ、まだ俺も中身を見てないんだぞ?』

『シンはずっと欲しがってたからなー』

『むぅ、欲しい』

『俺らとしても欲しいからな?特にシズネとかな?』

『主砲メイン担当は15光秒砲戦能力を欲します』

『サブ担当もだ、53%に減衰するとしてもだ』

「物欲肯定の方向」

「検証公の狙い通り方針は定まると」


『その為にも依頼を吟味しよっか?』

『元々の依頼は?』

『コマイン領域零時2群845番星系探査通商破壊第4便の定型依頼だ、

最終目標は零時2群845番星系第5惑星の衛星軌道上地上観測、

第二目標は第7惑星衛星軌道上のプラント破壊、

韜晦目標は第9惑星の造船所、

ただし、56G以上、質量融合弾400%以上積載、

が最低条件の5万ポイントの依頼だ』


『依頼としては普通だな』

『プラント破壊がある以上は条件も妥当』

「報酬の相場感覚が判らないですわ?」


「こいつらの報酬はべらぼうに高い、

60G耐機動性艦殻スラスターセット

750,000点=高機動戦艦4.5隻分だからな?

五万P=高機動戦艦0.3隻分だぞ?」

「くっそ高いな!!」

「想像を遥かに超える高額報酬ですぅ」


「それだけ強襲独行艦乗りは超貴重なんだよ」

「一般人の場合は?そこはどうなんだ?」


「ついでだ、突撃艦1隻撃沈5Pだぞ?定期便が100Pだ、

ホプルは撃沈については原則0Pになる。

分隊撃破なら分隊員は貢献度割、分隊長が貢献度割+艦数割だ

編隊戦隊撃破なら、編隊長戦隊長は貢献度割+艦数割×2、

群隊撃破なら、群隊長は貢献度割+艦数割×3、

艦隊撃破なら、拠点艦班長は貢献度割+艦数割×4だ」

「なるほど、長優遇のバランスなんだな?」

「その分の責任があるからなぁ、

そして贖罪兵1種の功績点消費リストだ、『贖罪兵功績点制度』」


各種任務の結果に魂魄式AIが、

6名1チームごとに採点を行い都度功績点を付与する制度。

この功績点を消費することで望む各種恩恵を得る制度である。

戦闘功績点と非戦闘功績点の2種が存在する。

元々は独行艦の運用制度であり、

贖罪兵向けに再構築された制度である。

誰しも超高機動砲艦配属からスタートである。

申請後は先着順で空きができ次第充当されていく。

戦闘艦艇への配属申請には戦闘功績点のみが消費可能。

新設や大量損耗などによる、

各員の功績点不足により編成に欠員が出た場合は、

魂魄式AIが判定し拠点艦制御要員が承認することで充当する。

偵察巡洋艦準独行艦化申請は所属拠点艦の守護神への切符。

独行艦転属申請は唯一の正規軍への切符。

拠点艦移籍申請は拠点艦制御要員に対する唯一のカウンター。

班解散再編成申請は魂魄式AIに対する唯一のカウンター。

予備役編入申請は専門職要員への唯一のルート。

名誉退役申請は地球定住への切符。


戦闘功績点消費リスト参考

超高機動砲艦4隻分隊配属

(艦長少尉以上 班員曹長以上)0点

超高機動砲艦4隻分隊長配属申請

(艦長中尉以上 班員准尉以上)10,000点

超高機動砲艦40隻編隊長配属申請

(艦長大尉以上 班員少尉以上)100,000点

偵察巡洋艦配属申請

(艦長少佐以上 班員中尉以上)1,000,000点

超高機動砲艦160隻群隊長配属申請

(艦長中佐以上 班員大尉以上)5,000,000点

偵察巡洋艦準独行艦化申請

(艦長中佐以上 班員大尉以上)5,000,000点

独行艦転属申請

(艦長中佐以上 班員大尉以上)5,000,000点

戦列砲艦配属申請

(艦長中尉以上 班員准尉以上)1,000点

高機動駆逐艦配属申請

(艦長中尉以上 班員准尉以上)5,000点

高機動巡洋艦配属申請

(艦長大尉以上 班員少尉以上)100,000点

高機動戦隊分隊(巡5駆5)分隊長配属申請

(艦長少佐以上 班員中尉以上)500,000点

高機動戦隊(巡20駆20)戦隊長配属申請

(艦長中佐以上 班員大尉以上)5,000,000点

新設防人艦隊拠点艦制御要員配属申請

(艦長大佐以上 班員少佐以上)50,000,000点


非戦闘功績点消費リスト参考

50m以下級汎用作業船配属申請

(艦長少尉以上 班員曹長以上)1,000点

星間航行標準汎用作業船配属申請

(艦長中尉以上 班員准尉以上)100,000点

非戦時50m以下級汎用作業船交代要員申請 0点


共通功績点消費リスト参考

地上軍移籍申請 0点

拠点艦移籍申請10,000点

班解散再編成申請100,000点

予備役編入申請500,000点

名誉退役申請5,000,000点

艦長中尉 班員准尉昇進申請1,000点

艦長大尉 班員少尉昇進申請10,000点

艦長少佐 班員中尉昇進申請100,000点

艦長中佐 班員大尉昇進申請1,000,000点

艦長大佐 班員少佐昇進申請10,000,000点

搭乗艦マナクリスタル1個チャンバー拡充申請100,000点

搭乗艦根源接続システム+10%拡張申請5,000,000点

根源接続システム無制限使用権限60分5,000,000点


「こんな感じだな?」

なるほど…不満を感じて改善したければ、

戦果を挙げて功績点で申請しろということか…

異動や退役まであるんだな…


「7桁と6桁に明らかに明確な壁がありますね…」

「最初の数字を1としても突撃艦20万隻と2万隻の差だからなぁ?」


「そりゃそうなるかぁ、そしてオレ等は、

1.1万P突撃艦2200隻分からスタートなわけか…」

「うむ、実質的にはそうなるぞ?」


「そしてコレが現実的になるほどの数と?」

「そうだ、生き残り回数を重ねればしっかりと届いてしまう。

なぜなら小艦隊との会戦時には超高機動砲艦1艦でさえ、

ノルマは200m級1000隻、つまり5000Pだからなぁ」


「納得の数字、20会戦生き残れば最低でも6桁」

「そういうことだ、さて風林火山の面々の続きだ」


『第1便はどうだったのだー?』

『さっき送られてきた資料によると

星系内天体を30光秒位置から観測して帰還だな、

コレだ、各自にも調査結果を送る』

『あいー調査班はっとー”一念発起”?聞かないなー?

昨年からの新米ー?んーあれれー?

ぬぉー第425拠点艦ムサシの最後の復讐者たちかぁー!

どうりでー新米に似合わぬ良資料な訳だー!』

『ほーウタが認めるとは』

『良き戦友になりそうだな』

「ちょこちょこ出てきますね…」

「殆どゼロな筈なのになぁ」

「そりゃ復讐者とまで言われるほどであればなぁ」


『第2便の結果を欲す』

『コレだ、同じく新米だが残念な結果に終わったようだ』

『んんー?あぁー適性違いだったかー』

『どういうことよ?ウタ?……あぁ確かにそうね…』

『なるほど手薄に見えた偵察目標の造船所を

固定目標だからと仕様外距離で主砲攻撃したのか』

『そしてその射点を指し手に読まれて、

小惑星に伏せていた突撃艦に囲まれた』

『その敢闘精神は艦隊戦でこそ生きたわね…残念だわ』

「そんな1点読みまでされるんか…」

「5,000,000点つまりは突撃艦100万隻撃沈相当の猛者…配属時点で」

「その猛者がいとも簡単に屠られる戦場」


『第3便はどう?』

『内容としては俺らの元々の依頼と同様だ

第5を韜晦目標、

第9を攻撃目標、

第7を偵察目標、としているな、今送る』

『来たよー!ふむふむ?あれ第3便も?』

『そのようだ、水鏡の依頼は攻撃方法の指定か』

『ん?手持ち質量融合弾を3等分して3回襲撃?』

『割と難易度高いな』

『よく帰還したなぁ』

「ん?どんな意図があってのことなんだろ?」

「これはよくわからないですね?」


『さて第4便たる我らへの水鏡の依頼は如何に?コレだが?』

『うひょーまじかぁー』

『出来なくはないね、出来なくは』

『第3便よりは難易度低いのか?』

『第3便の第7惑星偵察情報結果も使えるわね』

『受託すべき』

「受けちゃいましたね」

「どんな内容なんだろ?」


『それじゃぁいっちょやったるか、

ナナキは俺と航路の再計算を

ウタとシンは偵察情報の吟味を

ヤマトとシズネは射撃管制プログラムの構築を

今日中に纏めるぞ?』

『『『『『あいあいよ~』』』』』


「それらは次の映像を見ればわかるぞ?」

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