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第42話 理解してくれるのは…コマインの指し手…だけだろう…

「仕様だからと言っても限界あるだろ…」

「数多の挑戦者がソレに挑んだが転移公の作品には、

及ばなかったというだけだ、あろうことかより派手になるんだ」

「つまりは…アレでも抑えめなんか…」

「うむ、実際、コマインのゲートの方がより派手だ」

「…なるほど」

第10分隊長オトナシ中尉…同じく受け入れ難い現実だよ…


「ついでだ、もう解説しておこう、転移公の作品の仕様書だ、

『マナトリガー型空間跳躍式転移システム』」


マナトリガー仕様

魔導帝国歴960年(西暦4560年)に完成した50光年級転移システム。

それまで使用されていたマナ事象歪曲式転移システム(半光年級)が、

同一次元内における座標軸位置の

マナ改竄による瞬間移動であるのに対し、

一時的に生成した異空間をトンネルとして、

任意位置と座標軸位置を入れ替える転移方式。

システム術式起動時に転移先と転移元に、

立体球形魔法陣が急速展開(3秒)され、

その球形内が転移対象となる、

この間の必要出力は基本的に、

希薄マナ出力では対応できないため、

起動展開中はマナクリスタルでの

瞬間最大出力が必要となる。

具体的にはチャージング出力の100倍である。

展開後の術式駆動は希薄マナでも、

対応できるため駆動は希薄マナで行われる。

その場合は転移(最大跳躍距離である50光年時)のための

必要術式駆動時間が72時間前後となるように、

基本的には艦船設計されている。

駆動も含めて全てマナクリスタルで対応した場合は、

最短6時間で転移可能である。

この6時間は術式の演算時間でありたいして出力は要さない。

演算後に転移の為の出力チャージングがなされるが、

ここをマナクリスタルで即チャージングすると最短6時間となるのである。

緊急跳躍の場合にこの手法は使用されるが、

その際の転移距離は0.1光年分として、

それを満たすマナクリスタルが最低限搭載されるため、

希薄マナチャージング出力の66時間/500=0.132時間分と

これに起動展開中にチャージング出力100倍で、

3/3600時間つまりチャージング出力の0.167時間分、

あわせてチャージング出力の0.29時間=1044秒分が最低でも搭載されるが、

だいたい安全マージンや多用途分も含めて、

希薄マナ総出力1時間分のマナクリスタルを搭載する。

また転移先球形魔法陣が展開時に、

液体または固体に接触した場合は展開が中止される。

加えて展開したあとは強固な斥力(5G)でもって空間状態を保持するが、

その斥力を超えて球形魔法陣に接触する、

液体または固体がある場合も展開維持が中止される。

なお転移元魔法陣にも斥力は展開されるが中止はされない。

最短転移距離は展開魔法陣直径と同義であるが、

そうであっても必要術式駆動時間は6時間である。

必要術式駆動時間参考例

最短転移距離+全プロセスマナクリスタル=6時間

最短転移距離+駆動希薄マナ=6時間

25光年転移+駆動希薄マナ=6時間+66時間/2=39時間

緊急転移距離(0.1光年)+全プロセスマナクリスタル=6時間

最長転移距離(50光年)+駆動希薄マナ=72時間

転移先の球形魔法陣は隠蔽術式により、

斥力反応でのみ捉えることが可能であるが、

転移10秒前には隠蔽術式が崩壊する。

転移元の球形魔法陣には意味がないため、

隠蔽術式は組み込まれていない。

その隠蔽されてない姿は派手である。

とてもとても派手である。

なお立体球形魔法陣は脆弱であり、

被弾すると簡単に崩壊するため、

戦闘中の使用は不可能である。

また後付け追加術式で次元境界面共振に、

結果を集約した次元震検出妨害術式があり、

戦列戦艦20隻もしくは拠点艦5隻で、

コマイン大砲200隻が成すのと同規模の妨害が可能である。


「うわぁ…面倒な決まりごとがいっぱいあるなぁ」

「緊急でも最低6時間ですか」

「世界を盛大に騙す都合上らしいが実に制約が多い、

再現試験した転移公曰く、コマインはさらに制約が多いらしいがな?」

「基本戦場では使えないと」

「最低でも6時間は安全な状況でないと使えないんですね」

「そうだ、この6時間が生死を別つことが多いからな?

いいか?6時間だからな?」

(((((((((こくり)))))))))


「さて、さきほど見せた映像は諸君らの先輩になる、

贖罪兵出身の班”風林火山”の面々だ、

強襲独行艦の艦名と班名は同一とする規定だ」

「そうなのか」

「班はあんな感じなのか」


「では解説しよう

強襲独行艦「風林火山」

班長タケル・アツイ中佐

副長ナナキ・ゴウジョウ大尉

観測手ウタ・キリサメ大尉

副観測手シン・スズヤ大尉

機関手ヤマト・フドウ大尉

副機関手シズネ・ハヤシヤ大尉

こんな感じだ、役割は班内で自由に割り振るぞ?

割と豊富にあるからな?一人二役三役は普通だ」

「うぇっまじか」

「そこ大変そうだな…」

班長だけは固定なんだろな…班員との階級差を見るに…


「彼らの場合は、

班長副長で操舵と航法に指揮

観測コンビで通信と索敵全般

機関コンビで砲手含む他全般

な2交代可能な構成だ」

「あ~当然そのケースも考えないと…」

「選択肢があるように見えるだけで、

実際にはたいして選択肢なさそうですね」

「それぞれの資質を確認したらソレが答えかもなぁ」

2交代できないとかなり行動を制約されるもんなぁ…


「うむ、それを目指して編成したつもりだ」

「だよなぁ」「やっぱりですぅ」

「そして、彼らの駆るフネがコレだ」


強襲独行艦「風林火山」

全長649m(+150m)

総質量782.1kt(+426.6kt)

ジェネレーター出力22PW(+12PW)

マナ転化フィールド最大出力22PJ(+2PJ)

60G耐機動性艦殻(+30G)

スラスター総入力131TW出力56G(+115TW+26G)

マナクリスタルチャンバー数26=26PWh(+12PWh)

巡洋艦級極小ゲート生成式測位アンテナ2基(+1基)

直径5m全長50m砲身低仰角連装砲塔を

 上下部に1基計2基(+1基)

側面頂部に高機動目標対処用の

 連装旋回砲塔駆逐艦主砲2基計4基(+2基)

次元境界面潜航システム

電磁波吸収フィールドジェネレーター5基(+4基)

長期任務用居住設備

観測システム群

各種実体弾保管庫(+400%追加)

人員は1班6名


「横の数字は?」

「ベースの戦偵巡からの変化量だ」

いろいろ増えてるなぁ。


「要点は艦殻とスラスタ?」

「そうだな、突撃艦より1G優速の56Gが肝だな」

最大加速56Gの為の強化改装か…


「乗員のG対策は?」

「最大約5Gかかるが本人らの鍛錬結果だの」

努力と根性前提の仕様だった…


「体現者?」

「いや体現者ではない、単に体を鍛えただけだ」

異能者ではなくともこれくらいは可能と…


「武装は2倍?」

「そうだ、だが主砲4基副砲6基の

本土艦隊の高機動巡洋艦には全く届かない程度だ」

純戦闘艦には火力は及ばないと…

防御出力は12PJに対し22PJと相当に強化してあるようだが。


「電磁波吸収フィールドジェネレーター強化?」

「理由はコレらによるものだ」


『電磁波吸収フィールドジェネレーター』


マナトリガー仕様

可視光含む全電磁波を吸収するフィールドを生成するジェネレーター、

光っちゃうマナ転化フィールドジェネレーターと併用はできない。

ジェネレーター出力を上回る発振は抑えられないため、

ジェネレーター数が隠蔽時機動性を担保する。


『次元境界面潜航装置』


マナトリガー仕様

慣性系位置座標系はそのままで、

重力系を可変深度パラメーターとし、

その他の事象を次元境界面に置くステルス用潜航装置。

有効範囲の狭い重力センサでしか検知されず、

重力深度100ともなればそれもほぼ無効化される。

ただし潜航時は外部情報は一切えられず通信も不可能である。

慣性系はそのままなのでスラスター航行だけは可能。

潜航前周辺状況からの推測航行は可能である。


「監視小惑星があるから使っちゃダメな潜航装置に頼らず?」

潜水艦的な仕様のステルス装置である次元境界面潜航装置と

「電磁波吸収フィールドジェネレーターを単純に増やして?」

「隠蔽時機動性を上げたと?」

可視光含む全電磁波を吸収する方式の黒子迷彩装置か…

「うむ、これで50Gまで隠蔽中に加速できる、

そうだな、同じく監視小惑星のせいで、

潜入中使えないコイツも解説しておくか、

転移公ほどの派手さはないが、こっちはずっと輝くからなぁ…

では紹介しよう瞬雷公の作品だ、

『マナドライブフィールドジェネレーター』」


マナトリガー仕様

星系内移動などの亜光速航行時に使用する推進装置

進行方向前半球と後半球に、

双方向接続短距離空間歪曲ゲートを開き保持した状態で、

フィールド内質量をフィールド外外力的に、

光子レベルにまで小さくするフィールドを張り、

フィールド自体に慣性を与えて亜光速速度を得るシステム。

加速は瞬間的に減速は質量を増やしながらの

減速で停止位置を調整(30秒)するため、

最短ドライブ距離が15光秒以上となる。

フィールド形成には魔法陣が必要となり、

その構築展開に3秒の時間がかかり、

マナクリスタルでの瞬間最大出力、

具体的にはチャージング出力の10倍が必要だが、

加速と維持に減速は希薄マナで実行可能。

装置としては膨大な術式の塊である。

現行の最大速度は光速の99.9999%。

なお立体球形魔法陣の空間歪曲フィールドは脆弱であり、

少しでも異方向から被弾すると簡単に崩壊する上、

加速直前に30秒は先行チャージングを要すため、

戦闘中の使用は不可能である。

また速度に比例して質量が増減するため、

質量慣性エネルギーは変わらず質量兵器にはならない。

亜光速中に被弾した場合は、

その場で質量速度とも瞬間的に亜光速前に復帰する。


「あぁ~ゴーイングマイウェイが使えないと判断された奴かぁ」

「うむ、こちらは交戦中は使えないと判断される

具体的には0G状態で35秒以上被弾しないこと…が条件だ」

瞬雷公…名でその理由を示してるよなぁ。


「なるほど、それは交戦中はムリだろうな」

「そしてこれが潜入中、というか吸収フィールドと併用できないから?」

「そうだ、潜入中は星系内移動をコマインと同じく慣性航行する羽目になる」

むぅ…瞬間的に光速に加速できなくなるのは大きい…

転移公のが大仰なジャンプ推進システムと見れば、

瞬雷公のは手軽な光速ワープ推進システムだもんなぁ。


「加速と減速が端折れないのは大きいと?」

「うむ、50Gでも0.5光秒まで加速するのに約3日かかるからなぁ」

おうふ…三日…三日かぁ…


「そして減速でも?」

「そうだ3日前後になるなぁ」

さらに時間追加…


「0.5光秒が上限?」

「うむ、帝国では効率と安全を理由に、星系内慣性速度は対光子速度で

戦闘艦で0.5光秒、民間船で0.4光秒を上限としている

マナドライブだとその点も安全なのだ、ちゃんと止まれるからな」


減速も30秒かかるとはいえ、

光速になる前の速度に戻れるからなぁ。


「安全上?」

「それ以上だと周りがドンドン見えなくなるからな?

危ないだろう?その速度で目隠し運転は?」

「納得」


「そういやスラスタ配分ってのは?」

「うむ、スラスタはこういう感じでな?」


『マナ慣性スラスター』

マナトリガー仕様

高効率マナ反応材(銀のマナ合金)に、

慣性を付与する術式を駆動させることで、

戦闘機動時と通常航行時に運動エネルギーを得るスラスター。

駆動時にマナの光跡を大きく残すデメリットがあるが、

後述のマナ重力スラスターに較べて、

運動エネルギー変換効率が約4倍良いため、

隠蔽性より運動性が必要とされる場合はこちらが使用される。

違いが術式部のみとなっているので両用仕様が常である。

希薄マナの主な使用先の一つである。


『マナ重力スラスター』

マナトリガー仕様

高効率マナ反応材(銀のマナ合金)に、

重力を付与する術式を駆動させることで

戦闘機動時と通常航行時に運動エネルギーを得るスラスター。

駆動時にマナの光跡を何も残さないメリットがあるが、

マナ慣性スラスターに較べて運動エネルギー変換効率が約1/4のため、

運動性より隠蔽性が必要とされる場合はこちらが使用される。

違いが術式部のみとなっているので両用仕様が常である。

希薄マナの主な使用先の一つである。


「使い分けができるんだよ?」


「なるほど、だから25%だったんですね」

「吸収フィールドがないから光らない重力だったと」

「あと重力は艦首方向を固定したまま、

逆進やスライドとかもできるからな?」


反重力装置みたいにもなるスラスターってことか…


「重力は小回りも利くんですね?」

「逆に慣性は利かないと?」

「そうだ、刻み込む術式が単方向にしか対応しないからな」

そのぶん出力が4倍であるという事かぁ。


「ほぇ~なるほどですぅ~」

「あぁ~戦列戦中に逆進ができるのはコレのおかげかぁ」

「そういうことだ、そして逆進最大速度は25%というわけだ」

あの巨艦がすぐに逆進加速できるのはコレゆえだと。


「そのスラスターがだいぶ容積を食いつぶしていると?」

「そうだ、超高機動砲艦よりその割合は大きい、

まぁその超高機動砲艦より優速なわけだから当然だがな?」


だから全長で150m小型になる、

本土艦隊高機動巡洋艦に大きく火力負けするわけか…


「なるほど、ところで1点浮いてるのがありますが?」

「うん、すごく浮いてるのがあるわなぁ?」

「各種実体弾保管庫5倍!!なんに使うんですぅ?」

「うむ、あとで説明するが、それも含めてこの仕様は

超ベテラン勢の対コマイン通商破壊戦の定石となっている、

やはり突撃艦より1Gでも優速であることは大きいようだ」


「ほぼ量産的な?」

「細々と違いはあれどな?

そして…高い…コストが…重い…コストが…すんごいキツイ」


ほぅほぅ?どれどれ事情聴取といこうか?


「おおぅ、ハム公は超コスパ艦ハイエナ至上主義だもんなぁ、

どれ?どんだけ高いんか聞かしてみ?」

「高機動戦艦5隻分だ…5隻分なんだ…」


「あぁまじか…巡洋艦じゃないんだな?間違いないんだな?」

「そうだ…巡洋艦じゃない…戦艦5隻分だ…」


「あぁどうしてなんだ?あぁどうしてそんなことに?」

「艦殻だ…アレだけで…戦艦4.5隻分なんだ…」


「おぉぅ耐60G艦殻…それほどなのか?」

「あぁ…そうだ…これに関しては…諸君らにはわかるまい…

理解してくれるのは…コマインの指し手…だけだろう…

あいつも…突撃戦艦で…同じ苦悩を…共にしている筈だ…」


「そうか…そういや指し手も超コスパ主義者っぽいもんなぁ」

「少しでも…安くならんかと…耐56G艦殻を…検討したが…

初期コストを…到底ペイできん…誤差くらいしか…下がらんかった…」


「200m級の突撃艦と格闘艦の仕様みても

艦殻削りまくってそうだもんな」

「そうなんだ!アイツの凄いところは!

艦殻の70%を竜骨と言えるまで!減量したんだ!

艦殻があるの超高機動砲艦サイズだけなんだ!」

「言っとくぞ?そんなスラスタ剥き出しのフネには誰も乗らんからな?」

「当然」「だな」「ですわね」「あたりまえですぅ」

「むぐぐぐぅ」

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