第3話 他人のっ！！魂の叫びを！！スルーするなぁぁぁ！！
「ひとまず今日は解散だ、手乗りの方が案内するから休め」
「了解です」
「明日は9人全員そろっての教育だ、手乗りが案内する」
「はっ」
「ではな」
（ぷしゅん）
「でオレらもいくぞ？」
「おうよ」
（ぷしゅん）
………
「なぁ？なんで俺は歩けてるんだ？」
「漢は黙って思考誘導魔法ってことさ、漢だろ？」
しゃべるの面倒って意味で漢なのか？そうなのか？
「…奴隷身分の悲哀が身に染みるわ」
「生活自体は快適に感じると思うぞ、たぶんな？」
ほうぅ期待するとしよう。
「ん、この部屋だ。ok？」
「割と近いな」
「現代社会適応教育専用の部屋だからな、
1週間だけの仮住まい、楽だろ？」
「ってことは教室？も近いのか？」
「向かいの壁の中央のドアだ、楽だろ？」
「確かにな」
（ぷしゅん）
「さてお茶でも入れて一息いれますか、ハム公もいるか？」
「あぁいいな、頂こう」
「じゃぁ少し待っててくれ、おっとハム公用のカップはどこだったか」
「どこやったかな？覚えてねぇわ、ちょっと探してみてくれ？」
「ほいほい、お～あったあった」
「テーブルの上に置いて、あとは念じれば」
（ふぉん）
「文明の利器とは素晴らしきかな」
「全くだ、快適だろ？」
「あぁ快適だ、初めてな筈なのに長年親しんできた部屋のようだ」
「おかげで教育の手間も省けるというものだ」
あぁほんとにな！！
部屋内の諸々の機能家電家具を既に知悉してるからな！！
見知らぬ物体の使い方を意識もせずに使えるこの異様さよっ！！
どんだけ人の記憶容量使ってるんだよコイツは！！
「なるほどな、
ここに1週間もいれば現代生活の日常常識にも慣れると」
「そういうことだ、漢だろ？」
それが他人の記憶容量じゃなければなっ！！
「…ひとつ聞きたい」
「ふむ？」
「何故？俺なんだ？」
「ふむ、誤解があるようだな、
今聞いてもよかろう、いくぞ？」
「むっ、いいだろう、さぁこい」
「コマイン戦」
「第三次生存戦争」
「惰眠むさぼる機械知性との闘争」
「！？ぬぐぐぐうぅぅ」
西暦5403年魔導銀河帝国歴153年
対ホルプ制圧作戦「森林開拓」中に、
銀河内繁種源星系ホルプ保持過去分アカシックレコードから、
北天0時方向に星間異星文明の存在が確認された事が発端。
「森林開拓」完遂までの西暦5701年魔導銀河帝国歴451年までは、
ホプルレコード経由の調査のみで接触を控え富国強兵に努めていたが、
西暦5751年魔導銀河帝国歴501年についに接触を図る。
敵対的純科学自己学習型AI文明との接触
「Coasting Machine Intelligence Civilization」
＝「Comainci」＝「コマインンチ」＝略称「コマイン」
第三次生存戦争「惰眠むさぼる機械知性との闘争」開戦となる
西暦5762年魔導銀河帝国歴512年の
コマイン艦隊0時第二帝国門襲来で、
5光年級転移技術500光年/年保持が確定し、
0オクロックセカンドゲート星系第四第五惑星（無人）への
奇襲降下制圧から始まった、
0オクロックセカンドゲート星系防衛戦が、
初戦辛勝後も幾度となく、
西暦5901年魔導銀河帝国歴651年の
「0時第二帝国門」完成まで行われた、
その間に行われた独行艦による、
コマイン勢力圏調査計画「第一次大航海時代」で、
太陽起点3000光年以内のコマイン概略調査が完了し、
5000万年前に存在しコマインを生み出した後に、
コマインに滅ぼされた有機生物異星文明がコマインの起源と判明。
また休眠から覚醒したコマインの勢力下星系は4000を超えることも判明。
加えて勢力下天体は何れも高度に要塞化されていることも判明。
「第二次大航海時代」計画で、
コマイン起源惑星「コマイン・オリジンプラネット」（2189光年G5V）を特定し、
西暦5901年魔導銀河帝国歴651年に始動した、
コマイン起源惑星制圧作戦「帝国０時辺境前進計画」でもって、
西暦6001年魔導銀河帝国歴751年に、
コマイン起源惑星「コマイン・オリジンプラネット」制圧。
西暦6051年魔導銀河帝国歴801年に、
コマイン起源異星文明遺構研究計画成果物で、
コマイン起源異星文明過去分アカシックレコードに接続成功し、
コマイン検知術式完成まで辿り着いた。
西暦6151年魔導銀河帝国歴901年である現時点の状況は、
「10時第二帝国門」建造をめぐる攻防戦となっている。
そして開戦以降の累積損失は以下に上る。
帝国兵力累計損失数
本土艦隊261個艦隊分53万1407隻約6000万人
防人拠点艦5万9283隻約6億人
独行艦30万0364隻約360万人
地上軍累計戦死者数
通常地上軍約136億
贖罪地上軍約155億
えっ！？殴りこんだの帝国！？
勢力下星系4000超の文明が相手！？
えぇぇぇ？この規模の文明相手に殲滅戦！？
開戦から400年！？今は西暦6151年なの！？
贖罪兵って新兵器じゃないじゃん！！
もう1000年近く使われている古典兵器やん！！
損失数なにこれっ！！まってなにこれ！！
第91082拠点艦「トワニ」！！第91082！！
約6万隻沈んどる！！死者も約6億人！！
はぁ！？フォースの使い手が155億しんどるぅぅぅ！？
戦闘民族が！！戦闘民族が136億もしんどるるるるぅぅぅ！！
「えぇぇぇぇ、まじ？」
「うんマジ、我が帝国はなかなどうして覚悟キまってるだろ？」
「キまりすぎじゃないですかねぇ」
「そんなわけでショータの先輩は宇宙軍に9億人いて内6億人が墓標に？」
「500年の寿命を全うするの少数派じゃん！！」
「地上軍には165億人いて内155億人が戦場に散った？」
「墓標すらもらえないっ！！」
「というわけで特別に選んだわけじゃない、まだ残ってたから選んだ？」
「言い方っ！！」
「そんなわけだから第二の人生を割り切って楽しむとよいよ？」
「太く短く推奨なんですか！？」
「まぁ本人でもないわけだし？」
「コピー人間ですもんね！！」
「あっごはん頂戴、グラタンがいいかな？」
「この流れでメシ要求ですか？
さすがのン千歳ですね、御年おいくつですか？」
「ふむ女性に年齢を聞くのはよろしくないぞ？
トータルで3000年は超えてるとだけ明かそうか？」
「まさかの女性発言！？」
「これは老婆の親切心からの忠告だが、
女は良く見知ってから選びたまえ、たぶん？」
「やめろぉぉ！！本人でもないコピー人間の古傷をえぐるなあぁぁ！！」
（ふぉん）
「ほらグラタンだぞ、食べようじゃないか、
ちゃんとショータの分もあるぞ、オレはできる女だからな？」
「できる女は要望も聞かずに自身が食べたいものを出すんですね？」
「それができちゃうから、できる女ってことさ、だろ？」
「流石は年の功、否定はできんな」
「あぁそうそう、アレは頂けないからやめといた方がよいぞ？」
「やめろぉぉぉ！！ボカすなぁドレかわからんだろぅぅ！！
情緒不安定なるぅぅぅ！！」
「さぁ明日は早くから歴史の授業だ、早めに風呂入って寝るとよい？」
「他人のっ！！魂の叫びを！！スルーするなぁぁぁ！！」
