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第35話 一次製作物が大量にあれば可能である

『それは…可能なのですか?』

「ついに…」「あの数の…」「発端となる…」


『10年ほど前にとある論文が、

過去分アカシックレコード研究所所属の皇族とされている方より出ておるのですよ。

皇宮と各軍司令部と技術庁上層部にしか閲覧許可されておりませんがな』

『ふむ?そのような論文はなかったと思いますが?』

『ソレそのものではないのですよ』

『というと?』

『論文の題名はこうです、「死後マナ残滓の行方」ですな』

「著者曰く付き?」

「えらい哲学的な題名だな…」

「この先を知っていると…」

「きっちぃなぁ」


『ふむ、確かにそれであればあったかとおもいますが…

その中身までは知悉しておりませんね』

『それもご無理はないかと、専門家向けの基礎研究論文ですからの、

そして、これの傍証の為の支研究にヒントはありましたな』

『というと?』

『地球人類の死後マナ残滓は我らの身体、

さらには我らの造りしモノから検出できるのだろうか?

理論上は可能である筈、というものですな』

『それのどこに?』

「出発点がココ?」

「これがどう繋がるんだ?」


『強襲独行艦群司令部が彼のお方に新規研究依頼したのは…

こうでしたな、「我らの造りしモノから地球人類のマナ残滓を特定し

それをホプル検知術式のように検知することは可能であるか?」ですな』

『なっ!?それはっ!!』

(ざわっ)

「えっ!?そういうことなの!?」

「そしてそれを地球人類で検証すると?」

「ふわぁ?」


『結果は可能でしたな』

(ざわざわ)

『なぜ?報告を?』

『超えるべきハードルも多く、研究も個人実験室で済むレベルでしたからの』

『…なるほど、彼のお方の事も考慮し、そう判断したと、卓見でしたね』

(ざわざわ)

「著者だれだろう?」

「うむぅ…」

「ふむぅ?」


『次にご依頼させて頂いたのは…

こうですな、「我らから検出されるであろうホプル世界樹のマナ残滓に比べて、

50万年前に枯死した世界樹オールドワンの

周辺物のマナ残滓に劣化性は認められるか?」ですの』

『次にソコですか』

(ざわわざわわ)

「帝国が知る最古の知的生命体の遺骸ってことか」

「狙う相手は5000万年前ですものね」

「それは気になる要素ですわね」

「へほ~?」


『答えは劣化は見られない…でしたな』

(ざわわわざわわわ)

「時間的なハードルはおそらくは?」

「問題ないと思われると」

「ふんふん?」


『となれば次は……』

『そうですな、「我らから検出される地球人類マナ残滓のみで

地球人類のマナ残滓を特定できるか?」ですがの…結果は不可能…でしたな、

地球人類のマナパターンという答えが既に手元にあるから特定が可能であったと』

『うむぅ……』

(ざわざわ)

「…コマインから直接はムリと…」

「これで…随分とハードルがあがりましたわね……」

「うむむぅ?」


『そこで「地球人類のマナパターンを

地球人類の造りしものから再現できるか?」をご依頼しましたところですな』

(ざわわざわわ)

『……結果は?』

『一次製作物が大量にあれば可能である』

『………そうですか』

(ざわわわわざわわわわ)

「必要なのはソレか…」

「あの盾ナグールをもってしても…なのはソレか」

「むぐっ…」


『………そうです』

『つまりは、我らはコマインを生み出し、

滅亡した異星文明が残した遺物を集めなければならないと』

「あぁ、そういうことですか…」

「んぐんぐ」


『おそらくはそうなりますな、

現時点でソレを完全に否定する根拠は見つかっておりませんな』

『つまりは数多の地上戦…となりますね…』

「そうなるんかよ…」

「きついなぁ」

「ふぐぅ」


『……それも遺物を保護しながらとなりますな』

「縛り激重」

「ふぐぐ?」


『……であればコマインを誘引し、

可能な限り遺物から引き離さねばなりませんね…』

「…奇襲不可能」

「…常に相手の全力を…引き出す…羽目に…なりますわね」

「ふむっ」


『……そうですな、であるならば地上戦力の戦力評価は高いほどよい』

「だからなのか…」

「通常ではない…」

「ふむぅん」


『……ということですか…そうですね…

それをするだけの価値があると貴方方が一番に知っていますね』

「ん?どういうことだ?」

「もう知っている?」

「ふむっ?」


『……そうですな、彼奴らめの待ち伏せ戦術に、

煮え湯を飲まされているのは…今のところは概ね我々だけですからな』

「あぁ~既に通商破壊戦で……」

「犠牲をだしていると…」

「ふむっ!」


『そして打って出れば…侵攻すれば…』

『えぇ…酷いことになるでしょう』

「そこでもか…」「だからあの数に…」「ふぐぅぅぅ」


『その対策には…』

『えぇ…検知術式がもっとも有効でしょう』

「つまりは現状は有効な手立てが無いも同じと」

「ということです?慌てなくてもちゃんと最後には理解できますからね?」

「ふぐふぐ」

「あっコレお気に召しました?」

「ふぐふぐ」

「じゃぁこのままでいましょうか」

「ふぐ」

「こいつらの信頼関係謎すぎるんだが?」

「深く考えてはいけない気がします」


『……総司令部長官…この見解を鑑みた場合、先の案は?』

『……なにも変えるべきところはありません、

現地宇宙軍贖罪兵と現地地上軍に制限をかけず、

今まで通り試行錯誤してもらうだけで…ご要望は叶うかと』

「そうなるのか」

「そうなんだろうな」


『……そうですか』

『…また私見ではありますが…コマインの指し手も同意見かと、

おそらくは…実質的にはコマインと共同で戦場試験を行うことになるかと』

「コマインと帝国の最初にして最後になるであろう共同だ…

…内容は戦死を伴うがな?」


『…そこまでいきますか……』

『はい、帝国、コマイン双方ともに戦略の根幹を左右する以上、

盾ナグールの可能性検証については利害が一致します』

「そこまで深刻なのか…」

「敵味方共にか…」


『…現状は双方ともに戦略を組み上げられない事態であると』

『ゆえに盾ナグールインパクトです』


「たった1人の男の意地と覚悟と献身が…

2大文明の戦略を突き崩した瞬間だ」


『…わかりました、先の案で承認しましょう、

関係各位もそれでお願いします』

『はっ!!』(ざっ)


『さて…強襲独行艦群司令部長官…』

『はっ!』


『おそらくは副目標としていたのであろう遺物の調査ですが…

今後は主目標にして最優先であたってください』

『宜しいのですかな?まだ不確実な部分もありますが?』

「慎重派のティネム帝には珍しく?」

「確かに?」


『不確実な部分を明確にするためにも、そうしたほうがよいのでしょう?』

『…そうではありますが…』

「えらく言いよどむな?」

「どうしたのでしょう?」


『ふむ、強襲独行艦群司令部のみに負担をかけるのもよくありませんね、

水鏡、贖罪兵本部、地上軍、宇宙軍、皇宮でよいでしょう、

彼のお方の件もあります、検証公?指揮を執っていただいても?』

『致し方ありませんね、強襲独行艦群司令部長官?それでよろしいですか?』

『とても助かります、正直申しまして司令部員の過負荷が極まっておりますゆえ、

陛下、お察しいただき感謝いたします』

「あぁそういうことか」

「いっぱいいっぱいいっぱい?」


『モノがモノだっただけに苦労をかけましたな、

これで多少は過負荷が減るとよいのですが』

『重ね重ね感謝いたします』

「なるほどな」


『では、以上をもって近々の方針は定まったものとしましょう。

各々で何かしら進捗があれば再度検討しましょう。

以上、解散』


「こうして帝国の白兵戦至上主義者は、

本格的に産声を上げることになった…」

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