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第22話 得意は詰将棋、その上で持ち駒は100人分だ

「先の映像からわかる通り、

当初コマインは15光秒戦列戦には無力だった。

だが現在はそれに辛うじてながら対応している。

それがコイツだ」

「大砲」

「「「「「「「「「んんっ」」」」」」」」」


コマイン戦列砲艦

通称「大砲」

2250EJの瞬間出力で重量100kgの実体弾を0.5光秒で打ち出す、

全長30kmの実体弾投射砲を中心に総出力400EWの核融合炉群と

瞬間的に2250EJを叩き出す円環無抵抗蓄電設備群が巻き付いている。

なお投射砲は10mごとに独立した砲身と

後座長1000mの駐退復座機を持ち反動1250GJを

カウンターウエイトとして25万トンの砲身と

125GW特殊スラスタで吸収している。

これが3000組、螺旋状に連なっており前部になるほど、

スラスタ位置が砲身より遠くなる構造となっている、

コマインの戦列戦主力艦である。

射出後実体弾は1000個に分裂し巨大な散布界を形成する。

この戦列艦を多数並べて30秒ごとに一斉集中射撃することが、

観測遅延時間と着弾遅延時間の影響がない帝国との戦列戦で、

コマインが選択したドクトリンであり、この飽和攻撃武装である。

1125PJ=270Mt核融合弾頭1000発分の散布射撃とさして変わらないため、

この砲で惑星地表を射撃されると悲惨なことになる。

また確認された中ではコマイン艦で唯一の星間航行能力をもつ船であり、

ドッキングしている隷下艦も同道可能であり、

他艦を星間投射可能でもある。

その豊富な電力でもって次元歪曲式ゲートを生成しての跳躍方式で、

星間航行を成し遂げている。

その技術で全周次元歪曲フィールド(最大出力90EJ累積100倍)

が展開可能なようだが、

その出力は主に前面に割り振られているようだ。

前面に限り帝国戦列戦艦の空間歪曲砲モード艦首砲900PWの

同時直撃100射には耐える。

それ以外の砲であれば反物質投射モードであってもそれ以上に耐える。

なお細かい武装は全くなく隷下艦にそれらは完全に割り振っている。

耐G機動性は0.5Gしかないと判断されている。

またこの艦の重要な役割として、

200隻以上の大砲による完全同期次元歪曲式ゲート生成で、

次元境界面共振を誘発し半径50光年内での次元震検出を妨害したり、

次元歪曲式ゲート生成後ゲート未突入で、

ゲート閉鎖してダミー次元震をゲート先に展開したり、

生成したゲート経由で疑似的な超空間通信を行ったり、

などが挙げられる。


「えっ?ナニコレ?意味わからんのだけど?」

「はっ?全長30kmの大砲?」

「270Mt1000発?」

「それってアレを1000隻半光速で撃ち出すのと同じじゃないんですか?」

「えっ?何それ?15光秒を30秒で踏破するアレじゃん」

それを分間2射とか…えっ?10分で2万発なの?270Mtが?

とんでも超兵器じゃねぇか…1隻で地球地表灰燼にできるじゃねぇか…


「コマイン側からしたらコレを1秒間に約8000発

直撃させないと損傷しない拠点艦が理不尽なわけだ」

「ふむ、そう考えると拠点艦の防御性能は理不尽なのか」

第5分隊長イクサバ中尉が言われて思い出した通りだな…

270Mt8000発に耐えられる方が理不尽だわ…


「だろう?我が方の戦列戦艦であれば1秒間に約600発直撃がラインだな。

当然?このあたりの命中弾数を狙って集中射してくるわけだ」

「ん?拠点艦は艦首砲6門で?戦列戦艦は4門?」

「……防御性能程?……攻撃力に差は無い?」

そうなるよなぁ?第10分隊長オトナシ中尉


「そういうことだ、拠点艦と戦列戦艦が同じ戦列にいれば、

先に狙われるのは?戦列戦艦だ」

「……?なるほど?」

ふ~む…そうなるのか。


「つまりだ、戦列戦中のこの2艦に近づくな、ということだ。

特に戦列戦艦にだな、周囲を恐ろしい数の流れ弾が抜けていくからな?」

「うわぁ……おっかないですぅ」

「どっ…どのくらいの数が?」

第6分隊長マキバ中尉と第7分隊長カルイザワ中尉


「標的が戦列戦艦であればだいたい100隻分の10万発だな、

拠点艦であればだいたい2000隻分の200万発だな」

「ひぃぃぃこっわぁぁぁ」

まだ声を出せるカルイザワ中尉は良いとしても…

マキバ中尉は声も出ないか…


「逆に言えばここまで揃えんと必要な命中弾数に届かんわけだ、

観測遅延時間分の見越し射撃である事からくる命中率の低さを

強引に散布界射撃で補う為だからな?」

「ふむ、元々0.6%の命中率しか期待できないと」

第5分隊長イクサバ中尉はわりと冷静に呑み込んでるな。


「ただ、これは相手が戦列戦で仕留めようとするときの数字だな」

「どういう事ですの?」

第3分隊長オオトリ中尉も…と。


「特に拠点艦がそうなのだが2000隻揃えるより、

100隻そろえて数万隻のアレの突撃支援をする方が安上がりなんだ」

「あ~戦列戦をしている間はアレにまで対応できないと」

第2分隊長クロカゼ中尉も…か。

「そういうことだな」


「……ドッキング?」

気になるよな?第10分隊長オトナシ中尉。

「そうだ、大砲は言わばコマインの拠点艦だ」

「えっ?そうなの?」

「そうは全然見えんが?」

「コイツの前身は映像に出てきたデカブツなんだ」

「えっデカブツなの?」

「全く似ても似つかないけど?」


「うむ言いたいことはわかるが元はデカブツだ。

デカブツ自体は非武装のゲート生成船だったんだ。

ただ?ゲート生成の為の大量のジェネレーターを戦列戦武装に流用した。

流用した結果生まれたのが全長30kmの砲身とその関連設備。

結果?デカブツの方が呑まれた」

「呑まれちゃったんだ」

「だから影も形もなくなったと」


「んで、初戦以降拠点艦に興味深々だったコマインの指し手が、

似たような巨艦になったからとコマインなりに模倣したらしく?

防御兵装である次元歪曲フィールドと係留設備群を加えたらしい。

ゲートを生成して自らもそのゲートを通るので?

ドッキングして同道することで割と効率が良くなるらしい。

そして同道する艦船で拠点艦を再現しているんだ」

「あ~諸機能をもう艦船にしちゃったと」


「次元境界面共振って?」

「あ~これは近年になって帝国が次元震を観測していることに、

気づいたコマインの指し手がアレコレと小細工を

弄し始めているんだ、地味にこれが有効でな?

さらなる対策を模索しているところだ。

そこらへんも加えて後で解説しよう」

「「「「「「「「「りょ~か~い」」」」」」」」」


「ではコイツにくっついてくる連中を紹介しよう。

トップを飾るのは勿論アレだ」


ついにアレか


「矛」

「「「「「「「「「んっ」」」」」」」」」


コマイン突撃艦

通称「矛」

最大入力5TWの粒子加速スラスタで、

55G機動が可能な200m級の突撃艦。

武装は何もない本当に何もない。

艦内容積11%を占める総出力11TWのジェネレーター群と

艦内容積82%を占める最大入力5.5TWの

粒子加速スラスタ群で55G機動性を獲得し、

艦内容積5%を占める次元歪曲面生成装置で、

最大出力5TJ累積100倍の防御用次元歪曲フィールドを展開でき、

制御系探査系が1%で残る1%は、

総質量50tの1088PJ=260Mtの核融合爆弾とその関連部である。

その攻撃手段は体当たりである体当たりなのである。

体当たりを避けられたら離脱しながら粒子加速スラスタを向けてくる。

空間歪曲砲モードの駆逐艦主砲ではなかなか抜けない。

次元歪曲フィールドも地味に厄介。

5Gとはいえ超高機動砲艦よりも、

優速であることも迎撃機動を制約するため厄介。

対コマイン宇宙戦の戦死理由の大部分はコイツである。

巨大なミサイルと言えなくもないが、

ちゃんと艦隊運動もするし編隊機動もすれば母艦にも帰るし、

なにより星間航法はもっていても、

星系内亜光速航法は持っていないコマイン艦の中で、

最も星系内航行速度が速い艦であるため、

やはり艦なのである。

大砲1隻に400隻前後が隷下に在る。


「これがアレ」

「悪夢の元凶」

「なにもないんだ武装……」

「これでもミサイルじゃないんだ……」


「うむ、コイツがアレだ、なお初戦から何も変わってない」

「変える必要がないと」


「うむ、敵ながら見事なまでに完成されている艦だ、

あとコイツの前には出るな、

ヘッドオンなど愚の骨頂とまで言われてるから、

諸君らも気を付けるようにな?」

「「「「「「「「……」」」」」」」」

「りっ…理由は?」

聞きたくなるよな?聞いてくれてありがとう第4分隊長ナカニワ中尉。


「戦闘教練時に嫌というほど思い知るだろう。

では次はコイツだ」


スルーされた…


「ドッグファイター」

「「「「「「「「「んっ」」」」」」」」」


コマイン格闘艦

通称「ドッグファイター」

艦内容積15%を占める総出力10TWのジェネレーター群と

艦内容積73%を占める最大入力5TWの

粒子加速スラスタ群で50G機動性を獲得し、

艦内容積10%を占める次元歪曲面生成装置で、

最大出力10TJ累積100倍の防御用次元歪曲フィールドを展開でき、

もしくは帝国の1000分の一の低効率ながら、

広義の空間歪曲砲とも言える10TJ次元歪曲収束砲が艦首に1門ある。

制御系探査系が1%で残る1%は、

総質量50tの1088PJ=260Mtの核融合爆弾とその関連部である。

10TJ次元歪曲収束砲は8光秒で10GJ、6光秒で104GJ、4光秒で649GJ、

2光秒で2.9TJ、1光秒で5.4TJ、0.1光秒で10TJの射撃が可能である。

なお射撃シーケンス中(1秒)は防御フィールドが展開できない。

最短射撃間隔は1秒だがその場合は防御フィールドが全く展開できない。

成功したストーカーの設計を突撃艦に当て嵌めた艦。

帝国超機動砲艦に対する完全なカウンター。

至近に迫ると防御を捨て全力射撃しながら突撃してくる。

時空泡歪曲式反物質投射砲で押し上げた質量比キルレシオが、

この艦の登場でだいぶ押し下げられている。

大砲1隻に400隻前後が隷下に在る。


「これは……」

「私たちの……」

「そうだ、近年現れた諸君らの当面のライバルだ。

元は突撃艦っぽいんだが、その戦術起動は完全に別物だ。

突撃艦を支援補完する突撃艦ありきの艦だ」

「ふむ、これに絡まれながら突撃艦を迎撃する羽目になると?」

「そうだ突撃艦に夢中になってるとコイツに食いつかれる」

「むぅ~厄介ですぅ」

「いやぁこれは確かに厄介だなぁ」


「そして次はコイツだ、本当にコイツが厄介でな」

「盾」

「「「「「「「「「んっ」」」」」」」」」


コマインシールド艦

通称「盾」

次元歪曲フィールド(収束型最大出力200TJ累積100倍)

を前面にだけ持つ200m級の戦列戦盾専用艦。

武装は全くないが戦列戦艦反物質弾頭艦首砲1射を

その身を犠牲に止めることが可能である。

ただそれだけの艦だが「大砲」1隻に100隻前後が隷下に在り、

その存在はとても厄介である。


「……盾」

「コイツは戦列戦艦反物質弾頭艦首砲1射を止める。

本当にただその為だけの艦だ」

「……止められるの」

「どうしても防御力場に当たると対消滅反応を起こしてしまうもんでな?

900EJの反応威力だから力場元も当然消失はするんだが、

それに応じた安全距離で布陣されるとどうにもならん」

「なるほど~」

「ふむぅ。しっかりと解析したうえでの事か」


「うむ、届きさえしてしまえば大砲でさえ一撃で消し飛ぶからな。

コマインの指し手も難儀したのだろう。

このような手段をとらざるを得ないのだからな?

確かにコマインの側から見ればこのぐらいしか有効な手立てがない」

「つまり理論値ではこの艦の数が耐えられる射撃回数と?」

「そういうことだな、そして次はコイツだ」

「照明」

「「「「「「「「「んっ」」」」」」」」」


コマインレーザー戦艦

通称「照明」

全長1000m級で耐機動性2G程度の低機動戦艦。

戦列戦最中は盾と大砲の後方に控えているが、

帝国の高機動戦隊や超高機動砲艦が10光秒以内に近づくと、

最大出力1.1PWの核融合炉群でレーザー発振器群を稼働させ、

唯一の武装である1PJ極超短パルスレーザー上部1門下部1門で応戦を行う。

大砲1隻に12隻が隷下に在り、

全12隻で同一目標集中斉射してくる。

この艦がいる限り3光秒以内での戦闘は帝国艦であっても危険であり、

0.2光秒以下の低速実体弾も意味を為さない。

逆に5光秒以上の砲戦能力は、

帝国高機動戦隊にとってはたいした脅威でもないが、

帝国軍の選択を縛るという意味で存在することが最も影響力をもつ艦。

惑星地表射撃で最も輝く艦でもある。


「コマインのぺちぺち艦だ」

「あ~なるほど?」

「確かにそう言えるのか?」

「うむ、いてもたいして変わらないが

いないとそのうち困ることになりそうという感じでな?」

「なるほどですぅ」


「んで、拠点艦の自活機能を含む部分を担うのがこいつらだ」

「眼」「工場」「労働者」「宅配便」

「「「「「「「「「んっ」」」」」」」」」


コマイン偵察艦

通称「眼」

突撃艦から核融合爆弾周りを廃し、

各種探査システムの搭載と効果的な配置をおこなった。

最大出力5TWの粒子加速スラスタで55G機動が可能な200m級の偵察艦。

20隻の突撃艦と20隻の格闘艦に、

1隻の偵察艦がコマインの最小活動単位である。

大砲1隻に20隻前後が隷下に在る。


コマイン工廠艦

通称「工場」

惑星地表降下離脱が可能な全長200m級で耐機動性5Gの工廠艦。

各種40隻でコマイン艦運用とコマイン前線基地設営に、

必要な生産機能を最低限満たしている。

大砲1隻に2セット80隻が隷下に在る。


コマイン作業艦

通称「労働者」

惑星地表降下離脱が可能な全長200m級で耐機動性5Gの作業艦。

各種船外作業から広範な資源採集作業を担うコマインの汎用作業艦。

大砲1隻に100隻が隷下に在る。


コマイン輸送艦

通称「宅配便」

惑星地表降下離脱可能な全長200m級で耐機動性20Gの輸送艦。

工廠艦の生産物や作業艦の採集物の輸送を担う。

状況によっては惑星地表強襲降下にも用いられる。

大砲1隻に100隻が隷下に在る。


「なるほど、確かに拠点艦だな」

「現地自活を企図しているのか」

「だろう?そしてこれも近年登場して、

諸君らも幾度となく遭遇するだろうコイツだ」

「定期便」

「「「「「「「「「んっ」」」」」」」」」


コマイン威力偵察艦

通称「定期便」

戦列戦と星間航行能力を諦めているも、

疑似超空間通信能力を実現する、

艦内容積5%を占める総出力40PWのジェネレーター群と

艦内容積74%を占める最大入力20PWの

粒子加速スラスタ群で35G機動性を獲得し、

艦内容積20%を占める次元歪曲面生成装置で、

最大出力20PJ累積100倍の防御用次元歪曲フィールドを展開でき、

もしくは帝国の1000分の一の低効率ながら、

広義の空間歪曲砲とも言える20PJ次元歪曲収束砲が、

上下に1門計2門が搭載されている全長4kmの大型高機動偵察艦である。

なお射撃シーケンス中(1秒)は防御フィールド出力共有するので、

その配分に応じて射撃出力と防御出力が増減する。

最短射撃間隔は1秒である。

隷下に眼2隻と矛40隻とドッグファイター40隻が基本的に在る。

35G機動で帝国の高機動戦隊と偵察艦を振り切り、

追随してくる帝国超高機動砲艦には矛を充てつつ、

着弾遅延時間のない次元歪曲収束砲で支援する。

このため戦闘距離8光秒でもその命中率は無視できず、

20PWで運用される防御用次元歪曲フィールド20PJの方は、

至近制御のためか効率が悪くなく。

帝国巡洋艦級主砲反物質弾頭10PJにも耐える為、

この艦への射撃を優先するあまり矛とドッグファイターの接近を許すことも多く、

この艦に対する追撃戦で少なくない数の超高機動砲艦が失われている。

それでも追撃を怠ると疑似超空間通信能力で偵察情報が送信されるため、

追撃しないわけにもいかないのである。

通信生成に必要な時間は1時間であるのも頭の痛い点である。

なお次元歪曲収束砲は20PWを投入しても8光秒の交戦距離では、

帝国超高機動砲艦のマナ転化フィールド10TJを

ギリギリ貫通できる程度の出力20TJしか出ないことから、

それに容易に耐え交戦距離8光秒以上で、

40G機動が可能な仕様の一部独行艦が天敵である。

この種の独行艦仕様の制式化と艦隊編入も検討されたが、

建造コストが一桁増える上に拠点艦や艦隊母艦に搭載可能にすると、

汎用性が大きく損なわれることから見送られ、

本土艦隊であれば強襲独行艦司令部に直掩要請するとし、

防人艦隊であれば交戦機会も多く現地改修建造も可能なことから、

配属戦略偵察巡洋艦班員の功績次第で班員の判断に任せる事になった。

功績点消費リストに搭乗偵察艦の独行艦化が記載されるようになったのはこのため。

戦術面では矛が帝国に頭を抱えさせているが、

戦略面ではこの定期便が帝国に頭を抱えさせている。

定期便と称されるくらいには各星系に送り込まれてくるのだ。


「本当に厄介なんだコイツが、

諸君らもコイツを追い掛け回す羽目に何度もなるだろう」

「「「「「「「「「………」」」」」」」」」

もっとも身近な直接的な死因か…


「そして諸君らが目にしないことを祈らざるを得ないのがこいつらだ」

「ストーカー」「高速盾」


コマイン超大型高機動突撃戦艦

通称「ストーカー」

艦内容積5%を占める総出力625PWのジェネレーター群と

艦内容積74%を占める最大入力312PWの

粒子加速スラスタ群で30G機動性を獲得し、

艦内容積20%を占める次元歪曲面生成装置で、

最大出力312PJ累積100倍の防御用次元歪曲フィールドを展開でき、

もしくは帝国の1000分の一の低効率ながら広義の空間歪曲砲とも言える。

8光秒で311TJ、6光秒で3.2PJ、4光秒で20PJ、

2光秒で90PJ、1光秒で168PJ、0.1光秒で311PJの次元歪曲収束砲、

上下に1門計2門が搭載されている全長10kmの超大型高機動突撃戦艦である。

なお射撃シーケンス中(1秒)は防御フィールド出力共有するので、

その配分に応じて射撃出力と防御出力が増減する。

最短射撃間隔は1秒である。

このサイズでようやく4光秒圏内に限り帝国高機動巡洋艦と砲戦が行え、

2光秒圏内で優位を奪い取れ、

1光秒圏内という至近距離でもって帝国高機動戦艦と砲戦が行える。

艦内容積比率からして成功した定期便の拡大版である。

ただし逃げるのではなく矛の後を追って突撃する。

この艦に攻撃を集中すると矛への対処が疎かになり、

矛に集中するとこの艦への対処が疎かになる。

という状況を作るための艦。

この艦がコマイン艦隊に存在するとき、

それは艦隊決戦である。

それ以外では姿を見せない。

さすがにコマインの膨大な生産力をもってしても、

この艦の生産は重いようで確認された中でも最大の編成比は、

戦列砲艦5に対しこの艦は1である。


コマイン高機動シールド艦

通称「高速盾」

次元歪曲フィールド(収束型最大出力200TJ累積100倍)を

持つ300m級の超大型高機動突撃戦艦専用の盾艦。

武装は全くないが戦列戦艦対消滅弾頭艦首砲1射を

その身を犠牲に止めることが可能な35G高機動艦である。

ただそれだけの艦だが「ストーカー」1隻に1000隻前後が隷下に在り、

その存在はとても厄介である。


「こいつらを目にしたら激戦の幕開けと思え、

先ほど目にした映像より酷いことになるからな。

色々と覚悟するように」

「「「「「「「「「………」」」」」」」」」

拠点艦ごと消失する時に目にする相手か…


「さて概ねコマインの艦については説明した、

あとは連中がそれをどう使うか?について説明するぞ?」

「「「「「「「「「………」」」」」」」」」

俺等の大多数がどう死ぬか…というわけか…

「コマイン決戦艦隊飽和攻撃ドクトリン」

「「「「「「「「「………」」」」」」」」」


大量の「大砲」で戦列戦を行い数多の「盾」で凌ぎながら、

雲霞のごとき「矛」で戦列射線領域外の上下領域を強襲突撃する。

そのドクトリンの有効性はコマインに対し砲戦で圧倒的優位である帝国が、

無視できないどころか消耗戦に持ち込まれる程の成果でもって証明されている。

なおコマインの決戦攻勢ラインは戦列艦比100倍以上である。


一個防人艦隊に対してであれば対防人艦隊決戦艦隊編成として、

100隻の大砲と1200隻の照明に盾10000隻矛40000隻に、

ドッグファイター40000隻ストーカー20隻と高速盾20000隻、

これを1個コマイン小艦隊と呼称し、


1個本土艦隊にたいして対本土艦隊決戦艦隊編成として、

2万隻の大砲と24万隻の照明に盾200万隻矛800万隻に、

ドッグファイター800万隻にストーカー4000隻と高速盾400万隻、

これを1個コマイン大艦隊と呼称する。


これがコマイン本格攻勢時の最低戦力比ラインである。

魔導銀河帝国歴900年には1個コマイン小艦隊との決戦が、

150会戦行われ121の拠点艦が沈み、

一個コマイン大艦隊との決戦に発展した2会戦で、

4個本土艦隊が後方再編成に追い込まれている。

これ以下の戦力衝突は小規模遭遇戦威力偵察戦である。


「……どこがっ……小艦隊っ……」

「うそでしょ……総数が10万超えてるじゃない……」

「巨艦120」

「にせんまんにせんまんこえてるですぅ……」

「40個本土艦隊と……」

「300個防人艦隊が……」

「初戦で相手した900万の2倍越えてんじゃねぇか……」

「これを1個防人艦隊と?」

「1個本土艦隊で相手するんですの?」


「そうだ、時空泡歪曲式反物質投射砲に対する。

コマインの指し手の回答はコレである」

「「「「「「「「「………」」」」」」」」」


「これが帝国が現在行っている星間戦争の現実だ。

そしてコレが行われるのはコマインの出してくる難題に、

応えられなかった防人艦隊のいる星系だ」

「「「「「「「「「っっ!?」」」」」」」」」

つまりは死ぬキッカケか…

「小規模威力偵察戦消耗ドクトリン」

「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」


その小規模戦の主役となるのが、

定期便1隻眼2隻矛40隻ドッグファイター40隻の偵察戦隊である。

純偵察目的の第一便2個戦隊投入で独行艦が確認されなかった星系には、

第2便として10個戦隊が投入され防人艦隊の超高機動砲艦に打撃を与えてくる。

これは消耗戦目標として生産効率の悪い生体ユニット、

つまり搭乗員を目標に据えているためと考えられている。

魔導銀河帝国歴895年のドッグファイターの

登場とともに採用されたこのドクトリンにて、

時空泡歪曲式反物質投射砲で押し上げた、

質量比キルレシオがだいぶ押し下げられている

時空泡歪曲式反物質投射砲以前キルレシオ1:100

時空泡歪曲式反物質投射砲以降キルレシオ1:1000

ドッグファイター以降キルレシオ1:300

中核の定期便が交戦距離8光秒以上で40G機動が、

可能な仕様の一部独行艦が天敵であるため、

この種の独行艦仕様の制式化と艦隊編入も検討されたが、

建造コストが一桁増える上に拠点艦や艦隊母艦に搭載可能にすると、

汎用性が大きく損なわれることから見送られ、

本土艦隊であれば強襲独行艦司令部に直掩要請するとし、

防人艦隊であれば交戦機会も多く現地改修建造も可能なことから、

配属戦略偵察巡洋艦班員の功績次第で班員の判断に任せる事になった。

現在はその実績積み上げ待ちである。


「目標がっ……そういうことっ……」

「応えられ続けられなかった艦隊がっ……」

「狙われるとっ……」


「対策は色々と検討はしているのだがな、

今のところ現状を超える案が出ていない。

割と防人艦隊の編成は高度にバランスが取れていてな?

戦場にいる贖罪兵からも現状を超える案が出ないと、

嘆きの声が聞こえてきている」

「それで検証機会を増やすために現地改修の自由度を?」

「うむ、艦隊運用全体に影響が出にくい戦偵巡でな?」

「なるほど」


「コマインを評するは簡単だ、

得意は詰将棋、その上で持ち駒は100人分だ」

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