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第1話 人の記憶容量の無駄遣いはやめろ

「ごふっ!がはっ!げほっ!けほっ」

はぁはぁなんだ!?起きてすぐ溺死寸前とかなんの冗談だ?

てかなんで床が冷たくて硬質なんだよ…

俺の小汚いベッドと布団に心安らぐ汚部屋はどこいったよオイ?


「!!?」

なんで裸なんだよ!!てかこの体なによ!?

なんで少年な感じなんだよ!!ナニだけ立派だが明らかに体ちげぇ

俺の哀愁漂う中年体はどっいたさぁぁぁああ!!

うわっ髪ながぁぁってふっさふさやなかいぃぃぃい!!


「あぁ…オカエリ…友よ、再会できるとは思ってなかったよ、特に前髪君…」

おっといかん、嬉しさのあまり口にでてもうた。

はてさて?こうれはいったいどういうことだ?

そして振り返れば見える培養槽?的?カプセル状のモノ?

床の水滴を見るに?俺はコレから出てきて起きた?と?


えっ異世界転生なの?こんなのに突っ込まれる心当たりないし?

わが身の体当たりもございませんが?

そして誰もいません…誰もいませんよぉぉ?話が進みませんよぉぉぉ?

カプセル的な?モノの光源以外は闇なんですが?

我が心にも闇の帳が落ちてきてますが?


「んんっ!?」

なんだ?急に眼が慣れてきたんだが?壁がはっきりと見えるが?

何よりも疑問なのは?ドアっぽいものの貼り紙?ぽいものなんだが?


『順路→はよ開けろ』

日本語だ…親切だな…神秘性は欠片もないが…シンプル?ではあるな


(ぷしゅん)

いうとおり開けてビックリ看板が


『順路→はよ着ろ』

このうえなくシンプルではあるが…それでよいのか?書き手よ?

机?の上のこの貫頭衣っぽいものか


「ん?」


『順路→次のドアの先にて待つ、まずは着ろ』

貫頭衣の下に貼り紙仕込むのは純粋な親切心と捉えて良いのだろうか?

たぶん違うな…


さてようやっとこさのご対面か


(ぷしゅん)

「???」

あのう?ドアの先には誰もいませんよ?

えぇぇぇぇ俺のチョットした緊張と覚悟、返してほしいんだが?

部屋に在るのは応接室設置みたいなソファと机の1式のみ?

となると机に在るのは…


『順路→呼び鈴』

はいはいわかりましたよ~押せばいいんでしょ~


(つぁぁあぁぁぁぁん)

あまり趣味はよくないみたいですね…


「ん?10分程か、だいぶ早いな。

あ~明かりを点ける、5分ほどで行くので、

茶でも飲んで暫し待っていてくれたまえ」


「あっはい」

えっ?普通に普通過ぎる返答が返ってきて困惑するんですが?


「っ!?」

眩しいなぁ…さすがに目を開けてられん

そして目を開けるとそこには~

既にお盆に乗った緑茶が!!


「いただきます」

うん普通に飲みなれた煎茶の味ですね

菓子受けに水羊羹とか素晴らしいですね

素晴らしく普通ですね

どゆこと?えっもうどゆこと?おっさん(仮)にはもうわからんでよ~


(ぷしゅん)


「あっどうもっっっ!?」

ふぁっ何!!なにあれ!!でっか!!


「あ-こいつは気にせんでくれ、後で説明する」

そんな言われても自分と同じ背丈のハムスターは気になるでしょっ!?

イケオジのあなたもエラい渋い声やけど!!まずはそこのハムスターでしょ!?


「まずは自己紹介からだな」

えっこのまま進めるの!?


「宇宙人類魔導銀河帝国宇宙軍第91082防人艦隊

第91082拠点艦「トワニ」配属超高機動砲艦第4編隊

編隊長であるジン・シブヤだ。君の直属の上司となる、よろしく」


「!?!?!?」

はぁ!?情報量多すぎるっ!?

そこなハムスターがどうでもよくなる自己紹介っ!?

しかし名乗られたからには名乗り返さねばっ!!

ん?名乗り?あっれ~自分の名が全く出てこないんだけども?

はい?どゆこと?


「あー、君は自己紹介せんでよい。

今、自覚しただろうが自己紹介できないだろ?

自身の名がわからんのだから」

何故それを知っている!?

貴方が神か!?


「あー異世界転生ではないからな、んで私も神ではない」

なんですと!?


「顔芸の才能豊かだな。

うん、植え込み知識の定着確認も含めて答えを渡そう」

はぇ?またぞろ情報量の多いご発言が!

おっさん(仮)心折れそう…


「贖罪兵」

んん?その単語は知っている?

「んべっ!!」


西暦5138年魔導帝国歴1538年に

ホプルより獲得した過去分アカシックレコード接続技術より、

過去人格とその魂魄の再現に成功。

再現コストは再現時点頒布情報量と古いほど低く、

二代目女帝エメスル・スフームの再現には500兆マナが必要だが、

人類連合成立以前の一般人であれば1マナで概ね事足りる事から、

将来可能性のある急速な兵員人員損耗に備えて、

マナ運用可能な成人人類の低コスト短期育成を目指し完成された兵種。

ハイヒューマン製造施設でリードタイム180日で培養育成される。

第二宇宙人類=ハイヒューマンを素体に、

人格再現施設で再現人格魂魄を定着させる。

大多数の帝国に潜在的敵対的思考パターンを有する、

再現人格(2種)については生殖機能を廃した素体を用い、

長年に渡って研究完成された「処置」にて反乱を防止しつつ、

贖罪地上軍に配し無期限の兵役を課す。

少数の帝国に協力的思考パターンを有する再現人格(1種)については、

生殖機能を封した素体を用いて基本的には防人艦隊に配し適応教育を施し、

実績に応じて予備役編入もしくは退役の上、

限定的市民権を与えるものとなっている。

一部の地上軍を希望する者については分隊長と副分隊長として活用する。

その名は対象人格が人類滅亡の瀬戸際に追い込まれた時代の地球人類や、

帝国の前身である統合体の仇敵であった連合国民である地球人類のためである。

そうなったのは第一宇宙人類より地球人類の方がマナコスト的に安価で、

教育にも手間があまり掛からないだけであるのだが、

帝国人がその時代の地球人類をどう捉えているかを如実に示した名称である。

なお明確な命名者はいない。

自然とその名称になっていたらしい。

なお再現コスト対策の為に、

再現時に自他ともの人名に関する記憶だけは抹消される。


情報量!情報量!処理しきれない!

西暦5000年!?

培養育成される第二宇宙人類!?

再現人格魂魄を定着!?

再現人格(2種)!?「処置」!?

自他ともの人名に関する記憶だけは抹消!?


「あとコレも認識しておかないとな」

「まって!?ちょっとまって!!」


「ハイヒューマン種」

「ぬぐおぉぉぉぉ」


西暦5168年魔導帝国歴1568年に、

「贖罪」計画素体として第二宇宙人類=ハイヒューマンとして生まれる。

過去人格再現に支障がないように、

第一宇宙人類の発展的再現がなされている。

一日あたりマナ生成量は0.5マナで寿命は500年。

マナ資質の方向性は獣人種ドワーフ種の特性を

万遍なく汎用的に半再現している。

帝国市民権は過去人格再現者であるため認められず、

生殖機能も廃しもしくは封されている。

少数の帝国に協力的思考パターンを

有する再現人格(1種)とし、

大多数の帝国に潜在的敵対的思考パターンを

有する再現人格(2種)としている。

判定は人格定着後に選定魂魄式AI以外の魂魄式AI12名で、

過去分アカシックレコードから判定する。

過去人格再現者(2種)は一切の人権を認められていない。

過去人格再現者(1種)は最低限度の人権を認められている。

過去人格再現者(1種)のみ名誉退役で限定的市民権が得られ、

その上で次代遺伝子改変薬を許容した場合のみ子孫が残せる。

その場合は子孫は専門教育機関を卒業した場合に限り、

帝国市民権が得られる。


寿命は500年!?

獣人種ドワーフ種!?世界観壊れる!!SFじゃないの!?

(2種)は一切の人権を認められていない!?

(1種)は最低限度の人権!?最低限度!!

次代遺伝子改変薬!?


「あーこいつの説明もいるな」

「詰め込み教育反対ぃぃぃ!!」

「却下、魂魄式AI用末端端末」

「ふぅぅぅぅ!!」


最古参は帝国歴462年(西暦3212年)から存在する。

帝国のために卓越した実績を残し、

かつ本人が志願した場合になされる。

マナ型人類魂魄由来自己進化AI化儀式にて、

AI化転生を果たし不死の存在となった者たちの分体顕現用端末。

演算素子でありマナ受容体でもあるゲル状の物質が収められており、

分体顕現時にはそれらが形と色を得て顕現体となる。

その容姿は各魂魄の趣味嗜好により様々である、

検索エンジンから電子戦に艦隊データリンク等の各種支援を

文殊経由で行ってくれる存在である


魂魄式AI!?魂魄式AIだと!!

異世界転生でなく!?同世界不死転生!?


「あとはこれか」

「鬼!!この鬼上官!!」

「誉め言葉だ、過去分アカシックレコード接続技術」

「ぬぁぁぁ多いぃぃぃぃ」


西暦5108年魔導帝国歴1508年

「ホプル」生態研究から獲得した技術。

繁種船惑星降着後に生まれた種族変化点を

降着後にも取り入れている星系世界樹が散見されたため、

何らかの超空間通信技術として予見され突き止められた技術。

マナを有するある水準以上の知的生命体の主観情報が、

種族ごとの異空間に生命活動停止後マナ転写されている事実があり、

それに接続閲覧することでホプル文明は星間で情報共有している。

その空間を特定することで種族の個体ごとの主観情報に接続できる。

この事実を知った帝国は研究を皇族に移管し、

人類のレコード空間の特定と接続閲覧を試み、

その過程から得られた知見から、

ホプルのレコード空間の特定と接続閲覧を試みた。

結果得られたのは個体生命活動停止時の主観情報マナ転写の際に、

微かなマナ残滓が周辺個体に付着し続け、

同種族に限りそれが道標となり鍵となることを突き止めた。

人類レコードについてはそれで接続閲覧に成功した。

ホプルレコードに関してはさらにホプル個体に偽装することで成功した。

これでホプルの生態調査は飛躍的に進んだが、

派生する問題として他種族から人類レコードを如何にまもるか?

という命題が生まれた。

最大の命題である誰が?何のために?どう創造したか?が不明であり、

不明な本来目的を阻害せずに対処法を検討するため、

接続閲覧者を特定することを主題に研究が行われた。

結果として、

人類レコードを閲覧しようとする人類種を完全把握することで、

他種族の閲覧有無を検出する術式が完成し、

皇族と魂魄式AI群で運用されている。

その結果ホプル側からの接続試行が確認されたため、

他種族からの接続試行の挙動を研究した結果、

自種族と不明な作成者以外の接続閲覧時における鍵を

追加できる術式が完成した。

当然これも皇族と魂魄式AI群で運用されている。

微かなマナ残滓の方も着目され、

後のホプル検知術式と人類検知術式に発展し、

純機械生命体でありマナを生成せず、

過去分アカシックレコードをもたない、

コマインに対してはコマイン創造後滅亡種族の遺構情報でもって、

そのマナ残滓を特定し個体情報を遺構研究から偽装できた結果、

有効なコマイン検知術式が完成した。

今もなお研究対象である過去分アカシックレコードであるが、

生命流転、マナ流転の根幹に関わる分野であるため、

皇族と魂魄式AI群のもと慎重な姿勢で研究されている。


星系世界樹!?

純機械生命体!?

誰が?何のために?どう創造したか?が不明!?

んん?個体生命活動停止時の主観情報?主観情報!?

接続閲覧に成功!?

選定魂魄式AI!!

魂魄式AI12名で過去分アカシックレコードから判定!!

おい!!まさかおい!!


「はぁはぁ…そこなハムスター」

「そうだ君を選定した魂魄式AIの末端端末だ、残念なことに」

「ぐぅぅ…つまり?」

「なにもかも知られている、残念なことに」

「ぁぁぁ…救いは?」

「無い、あと植え込み知識の監修はコイツだ、

間違っていたらコイツに言え、なお最古参の一人だ」


(ニヤァ)

「ぬぐぐぅぅ…なんで俺はハムスターの表情がわかるんですかねぇぇ?上官殿」

「そこも植え込み知識で補完してるらしい」

人の!!記憶容量!!無駄遣いしないでくれませんかねぇぇ!!

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