第18話 当然ですね、マスコットに魂は売れません
「ふむ、だいぶ顔つきが変わったじゃないか」
「そら変りもするだろうよ」
第2分隊長クロカゼ中尉の安定の応答に、
「だねっ!!」
第6分隊長マキバ中尉の元気発言よ。
「ならティネムの治世範囲を終えたら質問に答えるか、
ひとまずは進めるぞ?」
「「「「「「「「「りょ~か~い」」」」」」」」」
「プリプリの治世が笑劇の2文字であれば、
ティネムの治世は悲壮の2文字であるな、
まずはこの映像をみてもらおう。
ひと月の休暇という名の次代帝国戦略方針策定会議後の
初出仕の映像だ」
『ふむ、次代の諸君、その顔つきは纏まったか?』
『はっ!陛下、大方針は纏まりました、ご説明しても?』
『あぁ勿論だ、それゆえの列席メンバーだ』
「ん……いつもの面子」
第10分隊長オトナシ中尉もだいぶ発言するようになったな。
「だな」
わりと率先して発言してるよなぁ、
第2分隊長クロカゼ中尉って。
『我々次代は今代の残した9基の帝国門を基礎に、
領土の拡大を図り、帝国領域を最低限天の川銀河の半ば以上に、
拡大することで、この人類存亡の危機を乗り越えるべきと
結論いたしました』
「あ~ホプルに実質支配された星間文明が複数いても」
最悪の可能性だもんなぁ。
「相手できるようにってことか」
第2分隊長クロカゼ中尉も同意見と。
『ふむ制覇ではなく……か?』
『帝国は平和は麻薬であると知りました、
ならばこのあたりが程よいかと』
「……プリプリのいない共和国抹消は確かに面倒」
第10分隊長オトナシ中尉の言うとおりだな。
『うしかい座矮小銀河はどうする?』
『放置の上、辺縁での迎撃で事足りるかと
対案として帝国門67基を3350年かけて、
3000年光年ごとに設置し進出を果たすという案も
ありましたが得られるものも、おそらくは少なく、
帝国領土の防衛も疎かになると判断しました』
「対案の規模よ?必要ならやるんだろうけどさぁ」
3,000年越えの計画とか…
『では当面の拡大の方向性は?』
『北天にも6基の帝国門を銀河赤道上と同じく建造します。
その後、南天にも同様に建造します』
「追加12基はいりま~す」
ジョッキ追加オーダーみたいに言うなw第7分隊長カルイザワ中尉よw
「ホプル戦もあるのになぁ~これは大変だなぁ~」
67基よりは少ないとはいえ…
『つまるところは確実な領域の囲い込みか、堅実だな』
『その得られた領域を役割ごとに区分して管理防衛します』
『内訳は?』
『はっ!ではご説明いたします
タウ星起点20光年内星系を帝国中核領域
タウ星起点20光年~200光年内星系を帝国中央領域
タウ星起点200光年~500光年内星系を帝国本土領域
タウ星起点500~1000光年星系を帝国開拓領域
タウ星起点1000~2000光年星系を帝国防衛縦深領域
こう定めます』
「こうしてみると気づけばとても広いですね」
そうだなぁ、第4分隊長ナカニワ中尉…本土だけで半径500光年かぁ。
「そうですわね、宇宙人類魔導銀河帝国の名は伊達ではないと」
第3分隊長オオトリ中尉は名称に意味づけを求めるタイプか?
『領域は球状だが帝国門は6角柱だな、
これはどう説明する?』
『後代における帝国門増築の際の利便性です。
3基の帝国門を増築するだけで、
三角柱の新規囲い込み領域を得られますからな。
球状の管理領域については現状に即した、
当座の案ですね、数代は帝国開拓領域までが、
本格的な植民領域に収まるでしょう。
あとは新規北天南天の12基周辺は当面は、
帝国防衛縦深領域としておきたいというのもあります』
「ほぇ~色々考えてあるです!!」
「立体オセロ」
「囲碁じゃないか?」
「誕生日は同じなのにジェネレーションギャップですぅ……」
元アラサーと元アラフォーの差か…違う気がするぞ…
『拡大の方向性については理解した、
戦備についてはどうする?』
『当面は現状に即し必要に応じ増強程度でしょう。
真の敵も見えぬ現状で無闇に増強しても無駄でしょうからな』
「やはり割り切り感」
ざっくりと切り捨てるよなぁ…
「宣告されてなお冷静沈着」
第8分隊長クロノ中尉も高評価と。
『では真の敵についてはどう見つける?』
『不意遭遇戦からの全面開戦は避けたく、
なれば無闇な長駆探査は控え、
森林開拓作戦でのホプル種マナ・コア回収に専念し、
閲覧範囲拡大深度深化するホプルレコードから情報を取得すべきと考えます』
「あ~その危険性もあるのか~」
出会い2回中2回とも即敵対的だったもんなぁ。
「確かにそれは怖いですね」
第4分隊長ナカニワ中尉だけでなく、皆同じだろう。
「だから敵であるホプルの情報を活用するのですね」
第3分隊長オオトリ中尉はわりと気遣いの人なんかな?
『なるほど理解した、戦時体制構築については?』
『まずは森林開拓作戦を現状のまま行い、
生起した問題点を随時改善していくことで、
長期的に練り上げていくことを方針とします。
可能な限り社会不安を抑えたくありますので、
性急な方策は控えたく』
「堅実堅実のラインナップだ」
第5分隊長イクサバ中尉の高評価発言と。
「ほんとに手堅い」
まぁ俺も同じ感じですがね。
『うむ、大戦略としては特に問題なかろう、
異議あるものはいるか?………ふむ、今代としても問題ない。
ただな……諸君らに知らされていない致命的な問題がある』
『はっ?』
「突然の気配感」
なんの気配だ第8分隊長クロノ中尉よw
『私も努力はしたんだ、だが致命的に向いてなくてな?
当面はその問題の解消にも諸君は挑戦せねばなるまい』
『そっその問題とは?』
「確かに気配がするですぅ……」
そこに喰いつくは第6分隊長マキバ特例中尉w
『……帝国は深刻な魂魄式AI不足にこれから陥る』
『なんですとぉぉぉお?』
「「「そこっ!?」なの!?」ですか!?」
はぁ!?どうゆうこと?そんなにハードル高いの?
『ここからは私が説明しましょう』
『検証公!?どういうことなのです!?』
「影の女帝登場」
「ですっ!!」
2人は検証公を好きすぎだろう…
『これは魔導帝国歴1550年に発見確認された事実なのですが、
魂にも情報処理上限が存在してました』
『ああぁぁぁそれはぁぁぁぁぁあ!!』
「それは取り乱す」
普通に考えてアップデートできないじゃん…
「……あぁ当然だな」
第2分隊長クロカゼ中尉も気づいたか~
『当時、その上限に達していたのは、
単身敵地煽り屋稼業に興じていたハム公ただお一人です。
あの義体の操作は割と奥深くてですね?
私も先日、ティネム帝陛下を欺くために使用しましたが、
艦内白兵戦経験者も鼻白み、
戦友方に血煙の母と異名されるほど武を極めてらっしゃる、
ティネム帝陛下を欺くために、
私の現状の情報処理能力を8割ほど割り振る羽目になりました』
『たったしかに全く気づきませんでしたが、
その為にそれほどの負荷が必要と?』
「「「「血煙の母!?」」」」
前線型武闘派だったのか…
「ティネム帝の新たな属性発覚」
第8分隊長クロノ中尉のチェックはいりました~
『そうなのです、おかげで早期にこの問題を認識できたのはいいのですが、
とてもとても残念なことに、ある問題で解決策が頓挫しました』
『あっある問題とは?』
『イルブレム帝陛下の致命的なカリスマ不足です』
『えっ?』
『イルブレム帝陛下の致命的なカリスマ不足です』
『えぇっ!?』
「「「「「「「「「ぇぇぇえええぇぇ」」」」」」」」」
『私は実はマスコット立ち位置だったらしい……』
『私が勧誘を担当したのですが、
誰一人として首を縦に振ってくれませんでした、
当然ですね、マスコットに魂は売れません』
『『『『『『『『『えぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇ………』』』』』』』』』
「「「「「「「「「プリプリ帝……」」」」」」」」」
『そもそも魂魄式AIに志願される方が稀なのですよ。
魂魄式AI始まりの方であり、
当初お一人であられたハム公と、ゆえある私を除き、
他の方々は生前に寿命をお迎えになる直前に志願されています。
その上で、こちらをご覧ください』
西暦2600年エルフ総人口10
西暦2700年エルフ総人口50万 帝国「地球人類殲滅計画」始動
西暦2800年エルフ総人口1000万 地球人類絶滅
西暦3200年エルフ総人口2億(対地球人類戦経験者の子育て期終了)
西暦3212年エルフ総人口2.2億 自己進化AI3法制定
西暦3631年エルフ総人口30億(第一世代の寿命期始まる)
西暦3801年エルフ総人口45億(対地球人類戦経験者の喪失)
西暦4200年エルフ総人口177億(対地球人類戦経験者の子世代の喪失)
西暦4550年エルフ総人口300億 第一次生存戦争「共和国の怨念」開戦
西暦4600年エルフ総人口400億 一方通行型異空間ゲート「鬼門」包囲封鎖成功
『志願第1条件である「エルフで前線後方問わず過酷な戦時経験者」の時点で、
最古参世代の有資格者は上限値でも1000万人です。
この時代の方々は全員が為政職種もしくは軍人か官僚でしたからね』
『そうなりますね』
「はぇ~そうだったのか~」
「ハム公が最初だったんだ」
『志願第2条件ですが、当時判定を担ったハム公によると
帝国のために卓越した実績を残した有資格者は、
約1000名おられたそうです』
『1/10000ですか』
『そして実際に志願された方がここにおられる14名の方々です』
「思った以上に少ねぇな」
「確かに少なすぎますよね」
はてさて?その理由は如何に?
『……それほどに志願率は低いと』
『まだ若いティネム帝陛下方にはご理解いただけないでしょうが、
900年も生きると大きな満足感を憶えてしまう方が殆どなのです』
『……なるほど』
「ふぇ~そうなんですねぇ~」
「900年か~」
地球人類なら40世代分とかになるからなぁ。
『そして最大の問題となるのが魂魄を流用するがゆえの
その魂魄の行方なのだそうです。
私も志願時の説明で始めて知ったのですが』
『うむ、ココからはオレが説明しよう』
『ハム公?』
「ふむ?いまいちピンとこんな」
「どういうことですかね」
ふ~む?行方?
『特に隠していたわけでもないんだが、
みだりに言うことでもないしな、志願受付時に言えばよいだろと、
そうかんがえていたら機会が途絶えて1450年も経ってしまった。
俺等自体が勧誘することは禁足事項としているのもあってな?
最古参と言いつつ後輩がその間、いなかったオレ等だが、
最古参世代の時もソレが志願断念の理由になることが多かった』
『どういうことなのです?』
「ほうほう」
『オレらの魂魄の行方、何も実証されてないんだ』
『あぁぁぁぁそういうことなんですか………』
『うむ、な~んにもわかってない』
『それはまた………』
『実証する方法さえないからなぁ』
『魂を売るというのはそういう意味だな、な?検証公?』
『そうですね、私の決断した際の心境そのものですから』
『……なるほど』
「……なるほど、自然の摂理から確実に逸脱するのに」
「……そのあとの保証は何一つとして無いと」
「……そしてそれを誰も後からでさえ確認できないと」
「……それで魂を売る」
「それ、あまりにも怖くないですか?」
検証公はよく決断できたな…
『検証公の事が大好きで已まない歴史公とか、
悲嘆しながら狂喜乱舞するなんて芸を憶えたしな』
『はい?』
『実はな?検証公は我らが父祖と精神性が瓜二つなんだよなぁ。
父祖は民主制の欠陥に絶望せず生涯をかけてその次を模索したが、
こやつは神の実在に絶望せず生涯をかけて神の相手をしたからなぁ、
まぁそういう理由だな』
『過分にすぎるお言葉ですよ?』
『……それは貴重なお話ですね』
「父祖からしてそうであったと」
「父祖自体のエピソードは初だなぁ」
なんかそれぞれに色々なバックボーンありそうだなぁ
『ハム公は、後で我とお話』
『うっ喋りすぎたっ』
「お説教ですね、わかります」
「当然です!!」
うむ、ギルティ一択。
『話を本筋に戻しますね?そして私は即座に確信しました、
プリプリ帝陛下の治世時に志願するのは私のみであると』
『……しくしく……』
「「「「「「「「「即座に確信……」」」」」」」」」
『とはいえ志願有資格者自体はだいぶ増えてきているからな?』
『そうなのですか?』
『うむ、さすがに共和国戦は認定できんが、
対鬼戦は過酷な戦時認定ができるぞ?
贖罪兵計画もちと特殊だが参加者に限り戦時認定できるぞ?
逆に対ホプル戦は多少怪しいかもだが』
「救いはあった」
「……なんとか間に合う?」
帝国拡大の直接的なボトルネックだもんなぁ。
『してその数は?』
『これから50年で寿命を迎える志願有資格者は約2000名だ』
『なるほど、であるならばまだやりようはあると』
『高齢者皇族を贖罪計画に大量動員した甲斐がありました』
『そっそれでですか!?やたらと高齢者皇族が多いと思っていたのです!!』
「暗躍する影の女帝」
「そして次代に丸投げする、できないことはできないと」
アチコチに仕込みを入れ込んでるなぁ。
『そうですよ?副官殿。
次代としての最初の仕事はその方々の勧誘です。
つまりは貴方の最初の大仕事はそれです。
私はもう勧誘できない身ですから』
『!?はっ!!最善を尽くします!!』
「とまぁそんな感じの方針で始まったティネム治世だが、
さっそくだ、西暦5302年」
「「「「「「「「「んっ」」」」」」」」」
魔導銀河帝国歴52年
ノース・6オクロックゲート星系(1411光年G5V)
「北天6時帝国門要塞」完成
ノース・4オクロックゲート星系(1415光年G5V)
「北天4時帝国門要塞」建造開始
ノース・8オクロックゲート星系(1419光年G5V)
「北天8時帝国門要塞」建造開始
対ホプル制圧作戦「森林開拓」進捗
殲滅星系52
戦場星系42
戦力展開確認済残存星系899
展開通常兵力定員数1億4000万
累計戦死者1124万
「贖罪」計画戦場試験運用実績
51件(50年反乱件数)
展開贖罪兵力定員数2000万
累計戦死者120万
銀河内ホプル繁種源到達星系確認
最優先目標とする
第二次人類圏繁種船殲滅計画「女帝の盾」始動
エルフ総人口2200億
獣人総人口1400億
ドワーフ総人口2370億
ハイヒューマン総人口2820万人
地球型環境植民惑星447
フォーミング中惑星201
マナ産出内部海天体数5041
植民星系1001
到達星系10014
マナ日産量5兆8867億
「これはまたイベントてんこ盛りだな」
第2分隊長クロカゼ中尉よ…いうても約50年分の要約だぞ?
「……本格的星間戦争」
敵対星系が1000超で殲滅済が52星系に同時侵攻42星系という規模かぁ。
確かにそう言えるなぁ…第10分隊長オトナシ中尉。
「そうだこれが本格的星間戦争のチュートリアルだ」
「このレベルでチュートリアル扱い……ですか」
第4分隊長ナカニワ中尉と同じくだなぁ…
50年で戦死者1000万人超えだもんなぁ…どこがチュートリアル?
「ホプル繁種源到達星系ってどうゆことですの?すごく嫌な響きなんですが?」
ほんとそれだよね…第3分隊長オオトリ中尉
「銀河内に繁種船を送り出し始めている星系が見つかった、というわけだ?」
「それで第二次なんですね!!」
第6分隊長マキバ中尉には人類圏繁種船殲滅計画は長かったか~
星間戦争というより有害生物駆除に近い感覚だなぁ。
「そして富国と帝国門建造も同時並行で~?」
2か所同時建造してるのに植民系も増えてるからなぁ。
「それがティネム達の選択だ」
「どゆことです!?」
第6分隊長マキバ中尉は…脊髄反射発言が増えてきたなぁ。
「最低でも銀河の半分は帝国領域に、
それを今後の帝国の恒久的命題として掲げたからな?
はるか遠くの後代の為の土台作りだ」
「おうふ、滅亡回避ラインがそのレベルとか」
各種生産力拡大と流通拡大は常に必要であると…
「しれっと贖罪兵2000万人に増やしたのですね」
「この人数でこの反乱実績だからな?
想定していた中ではだいぶ上手くいった実戦投入結果だ」
「これ全部地上軍?」
「そうだ、この当時は贖罪兵は全て地上軍だったからな?
任務はホプルの記憶媒体であるマナコアの回収だ。
可能な限り集め過去分アカシックレコードの
探査範囲と深度を広げ深めねばならんからな」
「また被害の大きそうな任務ですぅぅ」
「その為の贖罪計画だからな」
「そりゃティネム帝がよく知っていたわけだ」
う~む…機動降下猟兵が最初の出発点だったのか…
帝国本土人の戦死者は社会制度負担が確かにヤバそうだから?
必要性が生まれると判断したわけか?
「そして、西暦5351年」
「「「「「「「「「んっ」」」」」」」」」
魔導銀河帝国歴101年
ノース・4オクロックゲート星系(1415光年G5V)
「北天4時帝国門要塞」完成
ノース・8オクロックゲート星系(1419光年G5V)
「北天8時帝国門要塞」完成
ノース・2オクロックゲート星系(1427光年G5V)
「北天2時帝国門要塞」建造開始
ノース・10オクロックゲート星系(1421光年G5V)
「北天10時帝国門要塞」建造開始
対ホプル制圧作戦「森林開拓」進捗
殲滅星系101(繁種源星系2)
戦場星系35
戦力展開確認済残存星系1025(繁種源星系5)
展開通常兵力定員数1億4000万
累計戦死者1639万
「贖罪」計画戦場試験運用実績
5件(50年反乱件数)
展開贖罪兵力定員数4000万
累計戦死者520万
贖罪兵専用艦種「拠点艦」初ロールアウト
「女帝の盾」進捗
ホプル繁種船撃墜数10044
エルフ総人口2400億
獣人総人口1500億
ドワーフ総人口2400億
ハイヒューマン総人口5500万人
地球型環境植民惑星498
フォーミング中惑星180
マナ産出内部海天体数5331
植民星系1064
到達星系11014
マナ日産量6兆4812億
「良好な贖罪兵運用実績から宇宙軍にも、ってわけだ?」
「ついに拠点艦が」
「そういうことだな」
「えらい贖罪兵の被害がおおきいな」
「この二つは関連していてな、この映像を見てもらおう」
『呼ばれてきてみれば、これはどういう事だ?副官』
『はっ!!見ての通りです!陛下!
現在交戦中の全星系で突然宇宙戦が劣勢とまではいかずとも、
ホプルを圧倒できなくなっています』
『むぅ』
『地上戦同時展開中の複数の星系で地上軍が孤立化、
被害が地上軍にも拡大中です』
『作戦司令部の反応は?』
『1時間前より戦況分析班とホプル生態研究班が事態分析中です。
そろそろ結果が出るとのことでお呼びしました、出たようです』
『これはっ!?これはホプル戦方針が根底から崩壊したな』
『作戦司令部も同じ結論のようです。
新規星系侵攻航路上の侵攻艦隊に侵攻中止命令でました。
加えて最寄りの交戦星系への増援任務が与えられました。
予備艦隊全てにも増援任務が与えられました』
『対応として最善だな、しかし参った』
『赤い実ですか……』
『比較的脅威な新種を確認して念のため一時退避しただけで……』
『これは使えると喜んだ当該星系の世界樹の感情を……』
『交戦中の全星系の世界樹が拾って……』
『結果的に全星系が同時実戦投入とはな………』
「というわけでな、地上戦を強いられるホプル戦に新たな縛りが増えた」
「一時撤退が許されなくなったと……」
「加えてそれまでは許容できるレベルだった宇宙軍損害が無視できなくなった」
「結果として同時交戦星系も減らさざるをえないと……」
「そういうことだ、次はプリプリの没後となる西暦5403年」
「「「「「「「「「んっ」」」」」」」」」
魔導銀河帝国歴153年
ノース・2オクロックゲート星系(1427光年G5V)
「北天2時帝国門要塞」完成
ノース・10オクロックゲート星系(1421光年G5V)
「北天10時帝国門要塞」完成
ノース・0オクロックゲート星系(1423年G5V)
「北天2時帝国門要塞」建造開始
サウス・6オクロックゲート星系(1425年G5V)
「南天6時帝国門要塞」建造開始
対ホプル制圧作戦「森林開拓」進捗
殲滅星系161(繁種源星系5)
戦場星系51
戦力展開確認済残存星系1125(繁種源星系4)
展開通常兵力定員数1億4000万
累計戦死者1939万
銀河内繁種源星系ホプル保持過去分アカシックレコードから
北天0時方向に星間異星文明の存在を確認
人類圏重要非植民星系への贖罪兵拠点艦配備計画
半自己採算性「防人屯田兵」計画始動
各ゲート10個本土艦隊配備計画
帝都60個本土艦隊配備計画
各植民星系艦隊配備計画
「帝国艦隊統合再整備計画」始動
帝国艦隊編成改定
1個本土艦隊艦隊編成2000隻(人員254588)
20km以下級星間航行艦隊旗艦1(人員200)
20km以下級星間航行戦列戦艦199(人員2388)
1000m以下級星間航行高機動戦艦200(人員2400)
500m以下級星間航行高機動巡洋艦1200(人員14400)
500m以下級星間航行戦略偵察巡洋艦120(人員1440)
20km以下級星間航行憑依式無人艦載機母艦80(人員231360)
1000m以下級星間航行汎用戦場作業船200(人員2400)
艦載機級
50m以下級亜光速憑依式無人艦載機19200
50m以下級亜光速憑依式無人作業船800
1個植民星系艦隊編成71隻(人員10000)
40km以下級星間航行艦隊母艦1(人員9759)
500m以下級亜光速航行戦列砲艦10(人員60)
500m以下級星間航行戦略偵察巡洋艦4(人員24)
200m以下級亜光速航行高機動巡洋艦8(人員42)
100m以下級亜光速航行高機動駆逐艦32(人員192)
500m以下級星間航行標準汎用作業船16(人員96)
艦載機級
50m以下級亜光速憑依式無人艦載機160
50m以下級亜光速憑依式無人作業船80
1個防人艦隊編成71隻(人員10000)
60km以下級星間航行拠点艦1(人員8650)
500m以下級亜光速航行戦列砲艦10(人員60)
500m以下級星間航行戦略偵察巡洋艦4(人員24)
200m以下級亜光速航行高機動巡洋艦8(人員42)
100m以下級亜光速航行高機動駆逐艦32(人員192)
500m以下級星間航行標準汎用作業船16(人員96)
艦載機級
50m以下級亜光速航行超高機動砲艦160(人員960)
50m以下級汎用作業船80(人員0)
「贖罪」計画戦場試験運用実績
0件(50年反乱件数)
展開贖罪兵力定員数4000万
累計戦死者620万
贖罪兵本運用開始
「女帝の盾」進捗
ホプル繁種船撃墜数33025
エルフ総人口2600億
獣人総人口1600億
ドワーフ総人口2500億
ハイヒューマン総人口5500万人
地球型環境植民惑星540
フォーミング中惑星150
マナ産出内部海天体数5987
植民星系1094
到達星系12023
マナ日産量7兆624億
「帝国は次の敵を見つけた」
真の敵ではなく次の敵なのかぁ…
「ついに軍拡も同時並行に……」
超絶ブラック国策極まれりですよ…第10分隊長オトナシ中尉
「うぇ本土艦隊ってこんな規模なの!?」
びっくりだよなぁ…第7分隊長カルイザワ中尉
「20kmの巨艦が280隻……」
絶句ですよね?第4分隊長ナカニワ中尉
宇宙世紀コロニーレーザーみたいなサイズが280隻ですよ?
「もともと帝国宇宙軍の艦隊編成は
1000m以下級星間航行高機動戦艦4
500m以下級星間航行高機動巡洋艦8
500m以下級星間航行戦略偵察巡洋艦2
250m以下級星間航行高機動駆逐艦24
という至ってシンプルな戦隊編成をしていたんだがな?」
「ほぅ、至って常識的な編成だな我々の世代から見ても」
宇宙世紀艦隊感あるよね?第5分隊長イクサバ中尉
「そこにまずケチがついたのは、
贖罪兵専用艦種拠点艦だったのだ。
この戦隊を1個丸々抱え込ませようとしたんだが、
ホプル相手には過剰ということもあいまって、
要求仕様と設計仕様が迷走に迷走を重ね、
ここに至る10号艦まで全て駄艦となり量産不採用という事態に陥っていた」
「……できていなかった」
「全て駄艦」
「唯一評価されたのは超高機動砲艦だけだった」
「なるほど」
「そしてホプルレコードから発見された星間異星文明に対する主観情報では、
一つ、ホプルと敵対しホプルを容易に殲滅している
一つ、我々と同じような艦と艦構成である
一つ、おそらくは純科学兵装を使用している
一つ、我々のマナ転化フィールドに似たような防御手段を持つ
一つ、全長200mクラスのサイズで40G以上で機動するミサイル?を運用
一つ、我々より投入戦力が一桁以上多い
ということで、艦隊編成自体を見直す必要が出た」
「具体的には?」
「艦設計思想を艦隊編成にも適用した」
「脳筋を近づけるな、光よりも早く狙い撃て、
艦内に入れるな、2度と艦内白兵戦はしない、それが帝国艦……」
「うむ、脳筋を相手方の決戦兵器そうなミサイル?にしただけだ」
「なるほどなぁ」
「そして防備を固めるためにも各種の軍拡が計画された。
防人屯田兵計画始動と帝国艦隊統合再整備計画だな。
これらの解説にはいるぞ?」




