第172話 なんだかこう…なんていうか帝国式ミニ突みたいですぅ
「ふむ、あくまで封じられたのは隠密爆弾だ」
「それは同じ意味じゃないのか?」
「私もそう思いますけど…」
「爆撃戦隊の価値の見出し方の違いだな、
爆撃戦隊は砲台配属相当班の初期配属先として、
とてもとても帝国上層部に評価されていた」
「どういう意味でだソレは…?」
「あまりいい意味ではなさそうな気がするんだが…」
「まず艦隊戦前提の砲台と比較して参戦機会が非常に多い」
「そりゃ艦隊決戦とゲリラ戦じゃそうなるな」
「おかげで転属ラッシュですぅ」
「基本的には安全かつ暇な任務であること」
「まぁ遠くから投げ込んでただけだもんな」
「たぶん寝坊するほど本業の研究するくらいにはヒマしてたんでしょうね」
「にもかかわらず一網打尽損失実績があること」
「そうか…ちゃんと戦場にいるという空気はあるわけだ」
「油断してなくても運次第であっというまに爆沈だもんなぁ」
「戦場を最低限知る後方要員育成環境としては申し分ないわけだ?」
「たしかにまぁなぁ」
「ショウヤ班もそうしてましたし」
「というわけで変えるべきは爆撃戦隊ではなく爆弾だ、
問題は単純だ、簡易機動機構はあるとはいえ隠密爆弾は無誘導爆弾だ、
だから軌道を辿られて出元を狙い撃ちされてしまう」
「だからって誘導弾にできるのか?」
「無人ならアンテナ使えないんでしたわね?」
「アンテナが無いんだったら電磁波吸収使うと本体は盲目だろ?」
「人類の敵人柱システムじゃない限り、無人なら文殊も使えないよな?」
「無加速固定軌道なら無人でも文殊使えるってことだけど~動くよね?」
「次元潜航に至っては有人であっても潜航中文殊使えないくらいですよね?」
「ふむ、あまつさえ加速すると光るから…有人でもそのまま慣性直進のみと」
「おい、誘導弾にできる要素皆無なんだが?」
「うむ、まったくもってその通りだ、思いつかなかった、
だから公募してみたのだ、拠点艦の後方要員達に、
途中で大きく軌道を変える事が出来る、
隠密爆弾と同等の兵器をな」
「拠点艦の多様性に頼ったわけか」
「順当かつ無難な案からは出てこないでしょうし…」
「つまりは奇天烈兵器募集だな」
「そして二つの隠密爆弾後継兵器が考案された、
1つが対消滅暴走弾頭歪曲中和誘導弾、
もう1つが使い捨て投射砲弾頭誘導弾だ」
「名前からして…」
「ネジ外れてそうだな…」
「二つとも母体は一緒だ、
隠密爆弾に慣性スラスタ追加して55G機動の誘導弾にした、
電磁波吸収付全長12m全幅4m全高3m重量13t積載量2tの弾体だ」
「ん?誘導弾なのに電磁波吸収が付いてるのはなんでだ?」
「アンテナ無いから盲目になりますよね?」
「諸々の軌道を読まれたのは、
隠密爆弾の最終軌道と最終速度を捉えられたから、
そして方法は直前の全電磁波情報から黒体、
つまり電磁波吸収体を数に任せて強引に割り出したと推測された」
「時間はかかるがデータ合成をすれば見つけられると…」
「アンテナやら偵察艦やらがウヨウヨしてるからなぁ」
「ゆえに投弾後に大きく軌道を変えてしまえば良いわけだ、
そこまでは事前入力航路で進み、誘導が不要ならそのまま突入、
誘導が必要なら姿を現し高機動で肉薄するという設計思想だ」
「軌道変更と肉薄の為の55Gか…」
「汎用素材で?」
「小さいからな?なんとか成立した」
「誘導方式は?」
「赤外線と光学画像認識による単純追従方式だな」
「なんだかこう…なんていうか帝国式ミニ突みたいですぅ」
「発案者の頭には確実にソレがあっただろうな?
そして弾頭を対消滅暴走弾頭歪曲中和機能付きにしたのがひとつ」
「対消滅暴走弾頭とはどんななんだ?」
「対消滅炉過負荷運転中に炉心マナ転化を消して起爆する、
分類的には9.6Mt40PJの反物質弾頭だ」
「歪曲中和付ってことは…最終突入速度0.001光秒…秒速30kmか」
「低速でも攻撃力を確保するための弾頭だな、
上下左右に大きく加減速しながら相対速度自体はその速度に、
閉鎖型希薄マナ論理回路構造の誘導システムが持っていく」
「55Gを有効活用するという事ですわね」
「つまりは太陽炉と戦列砲艦がメイン対象なんですね」
「そうだ、太陽炉ならそのまま半光速で突入」
「戦列砲艦なら低速で突入、歪曲を中和して抜き起爆するんだな」
「そして使い捨て投射砲を先端に積んだのがもう一つだ」
「使い捨て投射砲…」
「対消滅弾頭の亜種と言える代物だ、撃ち出す方向だけマナ転化を消し、
余ったマナ転化エネルギーは物理マジックシールドで強引に砲身を形成する、
射程距離1光秒で2.4Mt10PJ、光速の反物質射撃を1度だけ行える」
「なるほど、最終突入を光速にするための弾頭か…」
「半光速のまま姿を現し射線軸合わせ後に発射というわけだ」
「レーザー戦艦や突撃艦クラスの小型艦がメイン対象なんだな」
「元々は安全機能としてこうならないように、
対消滅反応強度はマナ転化強度にリンクしてる仕様なんだが、
リンクさせずにマナ転化許容量不足をも
物理マジックシールドで強引にねじ伏せて実現している弾頭だ」
「安全仕様をあえて外した兵器か…」
「そういうの好きそうな人多そうだな~」
「まぁそんな感じの面々の案だった、というわけで、
サイズが大きくなった分搭載弾数は60発から40発に減ったが、
爆撃戦隊をそのまま使える目途は立ったというわけだ」




