第166話 アレなんで見つからないんだろな?
『班長!アレ大丈夫なんか?』
『アレかユウヤ…なんともいえんなー』
『…ウチの第8戦隊の…哨戒艇2番艦です』
『6光秒アンテナでも使い魔を使いたいんだろうが』
『200個大艦隊に!あそこまで近づくのはナイです!』
『モモちゃんの言う通り、何のための10光秒アンテナって話だからなー』
「ほんとです、1隻だけあんな近くに」
「ということは哨戒艦はもう配置に付いてるんだな」
『確かあの班は、あぁやはりです、素養が小型艦研究ですね』
『…なるほど…ネタ探しですか』
『学者先生たちの命がけのフィールドワークってことか』
『襲撃前には第8戦隊旗艦が下がらせるだろー』
『無許可ってことはないだろうからな』
「なるほど…そういう意味で哨戒艦は都合がよいのか」
「完全に現地調査船扱いじゃないか」
「なんかもうついでに任務ってかんじだな」
『ウチはどうする班長?使い魔使うか?』
『いや、ユウヤ安全策でいこー10光秒付近には5光年アンテナがあるからなー』
『学者先生たちもよくやりますねぇ、こんな状況で!』
『…太陽炉を中心に…半径2.5光秒内に艦隊と…1100の5光年アンテナ』
『んで半径5光秒球状面に4700の5光年アンテナだ』
『半径10光秒球状面に!18820の5光年アンテナ!!』
『最後に半径20光秒球状面に75300の5光年アンテナときた』
「うわっ対策してきてるのか…」
「これ迂闊に機動すると自艦の影が5光年アンテナに…」
「そうなると見つかっちゃいますぅ…」
『第8哨戒艦2番艦は敵艦隊全てを見たいのでしょう』
『…敵艦隊まで1光秒しかない…半径3.5光秒の球面上にいます』
『ありがとタマキ、よく見つからずにあそこ迄いったなー』
『小型艦研究者達ゆえでしょうか』
『俺達も含め殆どが敵艦隊まで12.5光秒、半径15光秒の球面上なんだがな』
『ほんとだよトウジ、まぁ襲撃迄47時間もある、のんびりいこー』
『さて襲撃まであと1時間だが…マイ?気になるあのフネはー?』
『第8哨戒艦2番艦は半径3.5光秒の球面上のまま南天極軸付近にいます』
『なんで帰らないんだ…学者先生達…』
『第8戦隊旗艦も気にするなとしか返してきません』
『どうしてもあの距離にいないといけないってわけか』
『これ…襲撃の時もですよね!?』
『だろうなーもう離れる機会なくなってるしなー』
『戦闘適性がなくても臆病ではないということですね』
『…あれは蛮勇では』
「襲撃中も貼りつくつもりなんだな」
「確かに蛮勇と言われても仕方ないですわね」
『さてー初襲撃まであと120秒だー』
『今回は全戦隊同時襲撃です』
『…私たち哨戒艦は南天60度以上…北天も60度以上の方向』
『んで襲撃は逆に30度以下で行われるっと』
『そして襲撃方法はマナドライブ奇襲だな』
『これで展開する5光年アンテナが増える訳だー』
『5光年アンテナをさらに前方展開して!防がなきゃです!』
『その分、戦列砲艦の射撃密度が減るって話だ』
『…忍び込む私たちには…痛し痒しです』
「そうか、30光秒距離射撃なら…敵弾が届く前に…」
「マナドライブで光になって離脱できると」
『思考加速開始ー』
『襲撃まで…5…4…3…2…1…0』
『襲撃艦全艦、今マナドライブタッチダウンした』
あ~上下から側面全周バラバラに飛び込む格好でマナドライブしたんかぁ~
『半径20光秒球面の敵アンテナ光像認識まで12.5秒です』
『襲撃艦全艦、射線軸合わせ中だ、発砲まで12秒』
『『5』』
『『4』』
『『3』』
『『2』』
『『1』』
『『0』』
『…10m砲100線…50cm砲4800線を確認』
「敵艦隊にたいして…やはり少なく感じますね」
「正直に言えば貧相な斉射だな…」
『襲撃艦全艦、マナドライブ軸合わせ中だ、テイクオフもあと30秒になる』
『襲撃艦各戦隊ごとに1万隻の戦列砲艦が指向旋回を開始してる』
『これはー!!ヨユーですね!!』
『…レーザー戦艦は98隻が爆沈…2隻が大破』
「当たり所によっては生き残るんだな」
『戦列砲艦射撃開始した、初弾到達まで57秒だ、到底間に合わない』
『…偵察艦4767隻爆沈…33隻大破』
「どうやらこっちもですわね」
『襲撃艦全艦軸合わせ終了だ、テイクオフまで20秒ってな』
『初弾到達まで50秒、問題なしだな』
『…初回攻撃で全弾命中…よい滑り出しです』
『敵艦隊射撃停止、マナドライブ魔法陣を認識したようだな』
『5光年アンテナ観測網…厄介です!』
「…光速越えの観測通信手段」
「当然厄介」
『射撃停止命令の拡がり方から見るに艦隊内通信にも流用してます』
『そのかわり主砲射撃ができなくなるんだよな?コレ?』
『1光秒先も5光年先も所要電力が変わらない仕様だからなー』
『監視小惑星みたいな閉鎖空間専用でなく、無理やりな超極小ゲートゆえだ』
『…ゲートを小さくするのに…余分に電力を使うおまけつきです』
「だいぶ無理してた」
「けども…できないと勝負にならないからなぁ」
『タマキ、そういう理由だったか、襲撃艦全艦マナドライブテイクオフだ』
『そういや第8哨戒艦2番艦はー?』
『いまだ1光秒の距離に貼り付いてます』
『アンテナがパッシブなだけで敵艦本体はバンバン電磁波出してんのにな』
『アレなんで見つからないんだろな?』
『…巧妙に5光年アンテナが自艦の影に…入らないように機動してる?』
『不思議ですね!!』
「まさか…」
「自分たちで試作品を使ってたりしてそうですぅ」




