第165話 どう有能であれ戦場未経験者の戯言など不必要
『転移魔法陣マナチャージング時間のこり120秒です』
『転移リプレース事前チェックしとこー』
『スラスタ配分慣性出力0重力出力100です!』
『最大加速出力25%10Gおけー』
『電磁波吸収フィールドジェネレーター、起動準備完了しといた』
『マナドライブフィールドジェネレーター、起動準備完了です』
『…10光秒アンテナ…定点パッシブ継続観測準備完了』
『6光秒アンテナと通常観測機器、パッシブ継続観測準備完了だ』
『事象マナ転化フィールドジェネレーター、起動準備完了です』
『対消滅ジェネレーター!!出力異常なし!!』
『主砲、空間歪曲砲モード発砲準備完了です』
『事前チェック問題なーし』
「ついに初陣ですね」
「とはいえ、さほど緊張感は見られないな」
「ふむ、やはり遮光結界の存在が大きいのだろう」
『転移魔法陣マナチャージング時間のこり5、4、3、2、1、0』
『転移魔法陣マナ自己爆縮開始10、』
『転移魔法陣隠蔽術式崩壊開始10、』
『『9』』
『『8』』
『『7』』
『『6』』
『『5』』
『『4』』
『『3』』
『『2』』
『『1』』
『『リプレース!!』』
『転移魔法陣の霧散を確認しました』
『…60kmの距離で…南天127番を確認…4343番星系です』
「寸秒を惜しみ思考加速までしてた風林火山とは…」
「ふむ、やはり趣がだいぶ違うようだ」
『さっそく戦隊旗艦より発進許可でたぞ』
『では発進しよー』
『ドッキングボルト抜取します、抜取完了』
『フランジ固定解除ー、解除完了ー、哨戒艦1番艦微速発進ー』
『ほい班長、作戦予定航路を表示したぞ』
『班長!機関!推進器ともに異常なしです!!』
『…班長…10光秒アンテナ…10光秒前方パッシブ観測開始です』
『班長、6光秒アンテナも6光秒後方パッシブ観測開始だ』
『皆、なにか異常があれば言ってくれなー』
「初陣とはいえ流石に生後13年だな」
「安定感、ありますね」
『ではさっそく、2番艦ですが、だいぶ出遅れてますね』
『言ってやるなマイ、クスキ班は元砲台班だからなー』
『今回の編成の難点だなぁ、あっ旗艦と充分に距離とれたっす』
『了解ユウヤ、トウジ頼む』
『了解、班長、電磁波吸収起動、…5…4…3…2…1…展開完了した』
『加速を10Gにまずは遮光結界を出るぞーしかし砲台組はつらいなー』
「ん?同情されてる?」
「…練度が低いっぽい事を?」
『…元々後方支援要員枠なんですよね?』
『そーそー研究開発製造その他非戦闘系要員の素養持ちー』
『機動砲艦の適性と戦闘指揮適性がかなり低い事が判明している班でもあります』
『はぁ?それ知らんかった…それでどうして戦闘に出すんだよ…』
『うそー!それはちょっと引くぅ…』
「そもそも戦闘に向いていない班とかあるのか…」
「再生前に選別してると思ってました…」
『班長副班長会合で古参の方に私たち二人は聞いたのです』
『どう有能であれ戦場未経験者の戯言など不必要と言われたらしい』
『誰がそんなこと言ったんだよ…』
『地上兵しかいなかった頃の最初期贖罪兵1種の皆さんだ』
『うわっ…それきっつぅ…あっ遮光結界でた』
「あちゃぁ、最初期に当人たちがそういうとなぁ…」
「当然、以降はそれをそのまま続けちゃいますよね…」
『40Gで自動航行に移ろーモモちゃん』
『はい!!スラスタ配分慣性出力100重力出力0です!』
『自動航行モードに移行しました』
『とまぁそんなわけで役目として必要ながら適性が不要な砲台がなー』
『そういう面子にとっての最初の職場が砲台なんだな』
「ふむ、MタンクSの副砲と同じ扱いだな」
「誰でもいいってことか」
『そもそも戦闘苦手な人をなんで!?再生しちゃったのです!?』
『モモ、これはハム公に聞けば教えてくれることなんだが…』
『そうなんだモモちゃん、何も見ずに再生する事から始めるらしー』
『えっそうなんですか!?』
『そうなのかよ…』
『そうしないと必要マナが格安にならないそうです』
『…格安帯から無作為に選んで…人口受精卵に魂を紐付ける』
『紐づける前に対象の過去を見たら必要マナが跳ね上がるんだそうだ』
『誰も覚えていなーい記録も何も残ってなーいが破綻するからだってー』
『ガチャじゃねーと安くならねーのか…』
『贖罪兵ってガチャ産だったんですね…』
「ガチャ…」
「まさかのガチャ…」
『紐付けた後に過去を洗いざらいハム公達が見て判断するというわけです』
『…1種と2種に…まずは区分け』
『その後に機動戦闘適性と戦闘指揮適性にその他適性で配属振り分けなんだ』
『そしてー配属と過去人格に最適な因子構成にー受精卵を弄る!』
『弄る…複雑な気分だ…』
『ほんとです…』
「もとは全員同一ってことか…」
「違いは全て後天的に追加されたものなのですわね」
「うむ、あまりによく聞かれるから全員に教える事にした」
「なるほど」
『とまぁそんなわけで砲台班は戦闘に向いてなーい』
『潜航砲艦と掃討艦は元砲台班には無理なのです』
『奇襲時は姿見せる上に即逃げ判断が必要だからね』
『…かといって哨戒艦に…適性があるわけでもない』
『じゃぁいつ本職になれんだ?』
『そうです!後方支援要員なんですよね!』
「そういやそうだ」
「不向きを承知で戦場配置にしてるわけだしな」
『…実戦20回参戦』
『その上で本職領域で今生での班実績が必要です』
『そしたら新造艦の開発部長班とかになれるわけだー』
『そう、あくまで新造艦でだ、所属艦ではないんだ』
『敷居たかいな!』
『砲台班が浮き気味なの当然なのです…腰かけじゃないですか…』
「拠点艦1隻に砲台10隻だから1シフト10班60人と考えると少ないな…」
「たぶん侵攻方面軍だとぽこじゃか生まれてますね…」
「転属移動と新人配属の回転…だいぶ速そうだな…」
『そこで製造部長や開発部長を思い出してみろー』
『所属艦愛がやべぇな…』
『所属艦推しがうざいくらいです…』
『つまり元砲台班ってのはまだ仮配属の身なんだよー』
『任務も腰かけ、配属も腰かけってことです』
『どうりでノリが違うわけだ』
「新造艦に後方支援要員とし配属されてからが…」
「今生の本番ということなんですね…」
『そーいうことーなんで哨戒艦2番艦』
『2番艦は1番艦のバックアップ位置です』
『戦隊の中では一番適性が不要ってことだ』
『専門分野なら分析力高いんだがなー』
『…偏りが…とても酷い』
「うむ、そうなるのが当然だ、班ごとに方向性を纏めてるからな」
「あ~同じ特定分野の素養持ちで班員を構成してるのか…」
「そういうことだ」
『なるほどなぁ』
『編成の難点とはそういうことですかぁ』
『そっ、仕様通りの活躍を期待してはいけないってことだ』




