第161話 渋々なケチ臭い案程通りやすいと…
「さて続きだ、それは奇しくも先の奏上がされた日と同日のことだった、
その日は4346番星系に1個大艦隊が襲来し本土艦隊に殲滅された日から
1643日後、4.5光年離れた4347番星系に全てが届いた日だった」
『イーリング司令…ついにこの時が来ましたね…』
『そうですねカーム、約束された日が到来しました』
『水鏡によると…4346番星系外縁に300個大艦隊です…』
『向こうからすれば必要充分という感じの数字ですねぇ』
「ついに反攻主力が踏み込んできたのか…」
「現状で300個大艦隊はつらいですね」
『帝国門にいる艦隊を合わせても本土艦隊110個分です…』
『こちらにいる防人統合艦隊はやっと20個艦隊ですが』
「やはり全然足りないですね…」
「3個から20個に増えたとはいえ…」
『667番第5惑星の状況では…』
『そうですね暫く増勢は見込めないでしょう』
「第5は増えるどころか減ってそうだものな…」
「いきなり5か月で2500隻…25個艦隊分ですからね…」
『本土艦隊も正面戦闘は…』
『まずできませんね、数個本土艦隊で嫌がらせするくらいでしょう』
「ウロウロして牽制するくらいか…」
「実際に撃ち合うと宜しくないですものね」
「戦力的に寡兵で撃ち合うと悲惨らしいからなぁ」
『では…強襲独行艦による通商破壊戦…』
『そうなりますが…おそらく彼らは新たな任務で忙しくなります』
「ん?通商破壊以外にも任務が?」
「戦偵巡が偵察担当でしたし…他にも任務が?」
『敵戦力の新規戦力と新規技術の確認調査ですね…』
『増勢されていく拠点艦の戦偵巡がその任務に就く予定でした』
「そうか…貼り付いて情報収集する任務が増えるのか…」
「コマイン本拠地本体が用意した隠し玉もあるだろうしなぁ」
『その増勢分が今は第5の攻城戦で失われています…』
『第5の戦偵巡自体はさほど損耗してないのですがね』
「使い魔で覗き見してるだけだからか?」
「そうなら撃沈されるリスクだけは低いですね」
『拠点艦が生み出す運用枠が…結局は足りません…』
『それに遅滞方面軍の強襲独行艦は損耗が大きいです』
「だった…遅滞方面軍は拠点艦が唯一の帰港先だった…」
「強襲独行艦達もかなりの無理をしてたわね…」
『その補充に熟練戦偵巡の班員を吸い上げています…』
『すでに熟練戦偵巡の班員は枯渇気味です』
『現役艦の戦偵巡も新人期間をようやく抜けた水準の班ばかりです…』
「ベテランというより…もう中堅まで枯渇気味なのか…」
「かなり危険な兆候ですぅ」
『つまり総括すると通商破壊戦が可能な戦力が足りません』
『………』
「「「「「「「「「………」」」」」」」」
『そこで各所に内々に検討を打診していたところ…コレがきました』
『通商破壊戦隊案…ですか』
『概要は至ってシンプルです』
『遊兵になりがちな戦隊ですか…』
『そうです、拠点艦戦隊の砲艦枠、巡洋艦枠、駆逐艦枠が対象です』
「正面からの撃ち合いがないと出番なさそうだしなぁ」
「だから戦隊を通商破壊戦に特化させて担わせるんですね」
『…戦隊編成を大規模に変えて大丈夫なんですか?』
『本土艦隊なら多々問題がありますが…女帝のひいては皇族の私兵であれば…』
『防人統合艦隊でなら…通る可能性はある…ということですね』
「侵攻方面軍なんて戦隊解体されちゃうことになってるし…」
「あぁ、まだその事を知らないんだな」
『ただまぁ…問題は資材なんですよね…』
『というと?』
『遅滞方面軍も侵攻方面軍もたいして資材は採取できてないんですよね…』
『あぁ…地殻破砕ドクトリンと第5レーザーのせいですか…』
「溶岩惑星ばかりにしたからなぁ」
「レーザーで撃たれかねない667番星系内で採掘もなぁ」
『従来艦は解体して資材にするにしても…困ったものです』
『足が出た分は帝国の…というより皇族の持ち出しになりますか…』
『管制独行艦司令部のトコからはまだ無理でしょうしね』
『となると…贅沢はできませんね…』
「贅沢できないということは…」
「元々…戦隊艦は…」
「コストパフォーマンス重視…」
『建造に関しては拠点艦にある500m建造ドックが4ドッグ』
『それが…2000隻分あるわけですからね』
『いまのところ新規建造はないですから空いてます』
『…あるとしても…強襲独行艦の改修くらいです』
『そしてソレは専用1000m格納庫でやりますからね』
『500m級が8000ドッグ…ちょっとしたものです』
「拠点艦1隻に4ドッグもあるんだ…」
「うむ、元々は採集した資源をドンガラ船にして資材と共に売っていたからな」
「そうだったな、独立採算時はそうやっていたから4ドックもあるのか」
「その数だともう動く造船所ですよね」
『加えて対EMP弾対策の時に使った大型簡易改修ドックもありますから』
『アレも…そろそろ解体して資材化しないとですね…』
『巨大かつ脆い構造物ですからねぇ』
『えぇ…もっていけません』
「あぁ対EMP弾対策はもう終わってるんだ」
「4号に対する意趣返しみたいなモノだったからなぁ」
『10年くらいはこの宙域で粘りたいところですが…』
『そのための実行戦力が足りないのは大問題です』
「…遅滞方面…遅滞戦術中心に戦う予定だった」
「しかして人材枯渇」
「たしかに大問題だ」
『話を戻しますが…建造に関しては問題ない訳ですね…』
『問題は資材です、どれだけ皇族に供出させるかです』
『つまりは…渋々なケチ臭い案程通りやすいと…』
『これはハム公のトコロの案になりますかねぇ』
『要求仕様が難題ばかりですね…どうにか上手く…纏めて欲しいものですね…』




