第160話 考課表に減点は表記されるが功績には加点されない感じだ
「この戦闘の行われた日は
西暦5963年
魔導銀河帝国歴713年
667番星系侵攻開始から12年
浮遊戦車開発計画班発足から18週間後、
Mタンク完成から6週間後、
MタンクS完成から3週間後、
実戦試験戦車軍団設立から1週間後、
浮遊戦車開発計画班発足からの累計損失は
喪った拠点艦が累計約2500隻、
喪った機動砲艦が約12万隻、
地上軍兵士が累計約2憶9000万人戦死、
贖罪兵2種が累計約3億戦死、
この日に行われた戦闘をもって方面軍司令部は奏上し、
それを受けて帝国は決断した」
「なぁ?エライ被害が増えていないか?」
「そうです、MタンクやMタンクSの活躍もあったのに」
「なに簡単な話だ…日々日産量が増える高機動タックラーは、
Mタンクに見向きもせず一般師団のみの戦線に投入された」
「元々の狙いの求道師団まで放置されたのか…」
「通用するところに戦力集中したんですね…」
「頭突きミニ突はそれなりに生産され、
求道師団と辻斬りに対する遅滞戦術に使われた」
「時間稼ぎと割り切った運用に…」
「ふむ、そこは即時対抗を諦めたわけか」
「かわりに融合弾ミニ突を全力で生産され…
軌道要塞付近での攻城戦に向けられた」
「MタンクSではなく拠点艦が狙われた?」
「違う…機動砲艦だ…」
「あっ…」
「先行してゲート降下したミニ突に機動砲艦が絡まれてるところに…な?」
「そして混乱しているところを第2陣の格闘6脚にか…」
「数を重ねればMタンクも墜とせた、だから機動砲艦も…ということだ」
「つまり…敵の方が適応が早いということか…」
「そういうことだな、敵の生産量と戦術変更が、
こちらの対応より早いからこその数字だ」
「こちらも対策するなら…」
「相手も当然対策しますわね…」
「奏上されたその計画は、
まずは破城要塞の機動砲艦格納庫区画の大幅拡張からだ」
「どうしてまたそんなところから?」
「小型強襲艦の運用の為だな」
「そうか…破城要塞には拠点艦は500隻だけ…」
「それにかなりの数の機動砲艦がソコにはもういましたね」
「次に拠点艦戦隊駆逐艦ぺちぺちと巡洋艦ハイエナに砲台の全解体だ」
「なんと!!遊兵化してるとはいえ全解体とはまた」
「その資材で小型強襲艦とMタンクSに機動砲艦を生産する」
「残された班員は?」
「戦隊長班は100機編成となる戦車隊の指揮、
残りは機動砲艦への転換訓練後に機動砲艦の交代要員だ」
「ふむ…戦車軍団司令部に戦車隊の副長と副砲員は?」
「変更なしだ」
「ふむふむ、組織的に異動となるのは皇族と贖罪兵1種とドワーフ新兵だけと」
「戦車隊の副長と副砲員は遠隔操作での実践訓練兼応援オペレーターみたいなもの…」
「うむ、考課表に減点は表記されるが功績には加点されない感じだ」
「なんてもやもやする扱いなんだ…」
「半人前で戦死しない立ち位置だからな?」
「そして戦車軍団から機動兵器兵団へと改名した」
「戦車隊は?」
「タンク隊へと変更された」
「変わらんのでは?」
「一般名詞と型式名称だ、タンクが型式名称の一部だからな…」
「そっか…紛らわしいが…後の事を考えると…か」
「当時は一時凌ぎの急拵え兵器と認識されてたからな」
「当時は…か…今も現役なのか?」
「当時ほどの数ではないが後継機が現役だ」
「なるほどな」
「そしてタンク隊は100機編成となり、
機動兵器兵団は100個タンク隊編成となり、
100個機動兵器兵団を編成することになった」
「それ防人統合艦隊100個のミニモデルじゃん…」
「またも帝国の暗黒面」
「隙あらば次代養成をねじ込んでくる…」
「戦力としては1機で地上兵5000人分の戦力、
100万機100万人で地上兵50億人分の戦力だ。
融合弾ミニ突との交換比も3000機だからそう悪くはない、
機動砲艦は500機くらいだからな…」
「そっか…堅さ自体が機動砲艦よりかなり高いし…」
「手数が遥かに多いもんな…」
「そしてなにより習熟の安易さからくる戦力化の早さだ」
「確かに初陣から5週間でベテラン兵みたいになってましたぁ」
「一番に大変そうな操縦手でもそれだからなぁ」
「とはいえ、100個兵団は流石に用意に時間がかかる」
「14000組用意するのに1週間でしたね…」
「週2万組までできたが、それでも50週はかかるわけだ」
「50週…18週であの累積損失…」
「その上、戦闘正面は多層のおかげで呆れるほどに広い、
100万機でもバラまくと薄くなりすぎてしまう」
「つまり損害が大きいからと地上兵を下げる訳にはいかないと…」
「つまりは警戒防御は地上兵…」
「うむ、そして侵攻と機動防御が機動兵器兵団だ」
「納得するしかないですぅ」
「そして見聞きした通り無敵ではない、
事前に想定していた範囲内で収まれば、
あの程度で済むがそうでなければ…あっという間に全滅する」
「それでも…全滅でも…戦死者が5000分の1になる…」
「性能優先した結果の1人乗りが皮肉にも…」
「その通りだ、そして幸運にも乗り手の確保に苦労することはない」
「それは…どういうことだ?」
「なにか仕込んでるんですかぁ?」
「簡単な話だ、兵役忌避性が高い、そうあくまで高いだ」
「ふむ、そうか…そういうことか…当然少数派はいる」
「あぁ…なるほどですわね」
「そうか…兵役忌避性が低いものは当然いて…」
「その少数派は他種族にどう見られているかを気にする…」
「そしてそれを覆そうとするんですね…」
「そうだ、まさに英雄志望の発言どおりの行動をするシャーサのように」
「ということは…シャーサさんは…」
「まさか…そういうことなのか?」
「そうだ、シャーサの行動は一般的ドワーフ新兵の標準的な言動行動だ、
地上軍ドワーフ新兵が工兵整備兵ばかりだったのは適正ゆえだ、
他では足を引っ張りかねないから自重している」
「ということは宇宙軍では?」
「VR操作方式の宇宙軍では普通に班として広汎な任務に従事している」
「ドワーフの影が薄かったのはそういうことだったのか」




