第139話 機械神擬きよ…我らは知っているぞ?
「そして…その作戦は始まった」
『タケル、強襲独行艦司令部からだ、
”一時麾下にある戦偵巡44000隻が配置に付いた”
だそうだぞ?』
『監視小惑星ネットもダウンしたし、準備完了か』
「ん?風林火山か」
「タケル班長とシン大尉ですね」
『じゃーウタもー配置につくー』
『頑張るわ』
『あぁ、頼むぞ』
「あっもう外にいるんだ」
「視界モニタには例のレーザーが大きく映ってますね」
「つまり潜みながら待機中だったのか」
『辻斬り改ウタ機、配置位置に向け移動開始』
「辻斬り改?」
「探査回収装備を全て降ろして、
対消滅ジェネレーター出力を20TWから30TWに増やしただけだ」
「単位時間火力を上げる為か…」
『ウタ含む辻斬り改6機が配置に付いたら…』
『先陣たる龍虎同眠達の出番』
「100G体現艦達か」
「わりと謎のベールに包まれたままの艦ですよね」
「訓練映像だと鬼回避盾してたけども」
『それから暫くしたらウタ達の出番だな』
『シンは大変だろうがウタへの情報支援がんばってくれ』
『辻斬り改1機に戦偵巡の使い魔1000体もつけてくれてるからな』
「えっ?アンテナ代わりに使い魔をですか?」
「出元のアンテナ大丈夫なの?」
「閉じれないですぅ?」
『全ての使い魔が数日掛けて8光秒は離れてるアンテナから出た』
『滅多な事じゃ全損したりしないな』
「あっ時間で解決してますわね」
「8光秒が数日かかる速度しか出ないんだ」
「そうだ、だいたい秒速5kmくらいが最大速度だ」
『龍虎同眠達…始めるそうだ』
『まずは250光秒からか』
「そんな遠くから?」
「囮をするだけですの?」
『30m口径術式再現砲』
『歪曲360TJ、投射360PJの高威力砲』
「そういやそんなの載せてたな」
「ふむ、つまりは威力だけではないと」
『射程はマナを注ぎこめば注ぎ込んだ分伸びていく』
「帝国門主砲の射距離の理由はソレなんか」
「超遠距離狙撃回避盾」
「事前遠距離踏破した使い魔と組み合わせると凶悪だな」
『狙いは哨戒船と作業船の大型入出口部か』
『側面部が半開放式で、
ここの側面には歪曲フィールドがないんだよな?』
「辻斬り視点モニタに見えてるアレですか?」
「あの超大型ドック港みたいなヤツか」
「哨戒船が数百隻?下手したら1000隻は入れそうですわね」
『屋根部にはあるんだがな?
装甲板自体に穴は開けたくなかったようだ』
『港湾作業部はほぼ独立構造』
「超大型倉庫みたいな部分もあるのに…」
「物理的には全く内部に繋がってないのか」
『わずかな角度ではあるが、だいたいが直接撃ちこめる』
『ソレをしても装甲板には全く傷は与えられないが』
「狙い撃てるんだ…」
「…けども…嫌がらせ」
『一撃で消し飛ばせる、そんな大型港湾作業部が多数』
『使い魔で仔細に精密調査してるからできるってこった』
「第5惑星中を調べつくしているんですのね」
「そうだ、十年にわたり64000隻が張り付いていたからな」
『そして機械神擬きはソレを知らない』
『そんなところまで覗かれていることをな』
「そうだよな…そんなの想定外だよ…」
「最初から最深部まで覗かれてたからな…」
『10隻の配置は赤道4か所に各々2隻』
『南北極点方向に各々1隻』
『たった10隻による奇襲攻撃だが…』
『さて機械神擬き…我慢できるかな?』
『キター港湾部ー吹き飛んだーさよーならー』
「屋根…360PJでもビクともしてない…」
「屋根と装甲板の間は綺麗に吹き飛んでますけどね」
『6本だ、赤道配置のペアは相方1人は隠蔽継続するようだな』
『全体としては微々たる損害』
『しかし、これを継続されると鬱陶しいだろう』
「今も続いてる装甲板増築工事が遅れるのか」
「予定遅延にイライラしそうですぅ」
『とはいえ次射は180秒後だ」
「ふむ、250光秒の射距離で3分と」
『内部にいる使い魔たちの観測情報だと…まずは様子見か』
「ん?中に使い魔がいるとはいえ?なんでそんなことまで?」
『第4射きたーさよーならー港湾部ー』
『キタぞ!!6基とも稼働準備に入った!!』
「えっ?そんなこともわかるんです?」
『口径収束率は100%のままのようだな!!』
『つまりは250光秒で301kmの直径』
「おいおい?まだなんも見た目には変化してないぞ?」
『射線も綺麗に各艦をど真ん中にしてるな』
「射撃諸元をも?」
『照射開始は120秒後ってとこか』
「あっこれ全部掴んでる…なんでわかるんだ…」
『くくく、機械神擬きよ…我らは知っているぞ?』
『貴様以上にその砲の事をな!!』




