第13話 つい焦ってプリプリしちゃったんだ
「プリプリ劇場ヤバすぎひん?」
「だろう?睡眠時間泥棒だからなぁ」
「ホントだよ」
「とまぁプリプリにしてやられた面々もいるが歴史の続きだ、
プリプリ劇場の続きとも言えるが?」
「おぅ、そうなるな」
「それは期待大です!!」
「第6分隊長はだいぶハマったな?
さて、プリプリ治世最初は意外にも歴史的には穏やかなものだった」
「意外ですね?」
「確かに、すぐ次のネタ振りがあるとばかり」
「うむ、基本的にはプリプリと側近である、
プリプリの愉快な仲間たちを弄る展開だった。
プリプリ劇場日常編と言われている」
「日常編……」
「つまり上位存在の関心はそこに在ったと」
「そして存外にもうまくいく治世にプリプリが油断した。
自身の退位時期が決まるであろうに逆になかなか進展がない、
次世代転移技術開発計画「帝国の翼」の進捗会議でな?
つい焦ってプリプリしちゃったんだ」
「……しちゃったんだ」
「そしたらな?開発班が開発中の魔法陣を1か所だけ間違ったんだ」
「ん?そこは班なの?者ではなく?」
「そう、班なんだ、モノがモノだけに
常に相互チェックどころか全員相互チェックしてたからな?」
「……高まる上位存在の気配」
「そして、こんなことが起きた、西暦4550年」
「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」
魔導帝国歴950年
グルームブリッジ1618星系(人口500万)
マナトリガー型空間跳躍式転移実証実験事故発生
一方通行型異空間ゲート現出
接続先より星間生物頻出
第一次生存戦争「共和国の怨念」開戦
星間生物群を正式呼称「鬼」と定義
エルフ総人口300億
獣人総人口220億
ドワーフ総人口360億
地球型環境植民惑星41
フォーミング中惑星18
マナ産出内部海天体数304
植民星系60
到達星系260
マナ日産量5298億
「「「「「「「「!?!?!?!?」」」」」」」」
「それに対するプリプリ達のリアクション芸映像だ」
『だから!!だから!!あの場では!!あの場では!!
絶対プリプリすんなと言ったのよ!!』
『これが!!プリプリ時空神の影響力!!』
『くっそぉぉぉあいつぅぅぅぅこれはいくら何でも!!
自己主張がはげしすぎるだろぅぅぅぅ!!』
『体がマナでできている生物?ってなにさっ!!』
『実体弾攻撃すると?
実体弾?そんなもの無駄だ!
ってなによっ!!』
『光学兵器で攻撃すると?
んん?何かしたか?
やめろ!!宙間戦闘の常識が乱れる!!」
『純マナ攻撃すると?
バカな!?なぜおまえらが!!使えるんだ!?
ってふざけんな!!』
『倒すと?
ぐはぁ!!マナになって霧散する!!
そんなん現世生物にはいねぇよ!!説明ありがとうよ!!』
『そもそも!!雑兵風情が!!中ボス感満載で!!
気軽に念話で!!話しかけてくんなっ!!』
『あのゲートの先!!絶対に地獄じゃねぇか!!』
『プリプリ治世100周年を祝して?
ちょっと早いサプライズイベントです?
とでも言ううつもりか!!ふざくんな!!ふざくんな!!』
「ん、あまりの暴挙にほぼ素であるな」
「上位存在ひっでぇ…」
「同志リーダーの懸念が現実に…」
「隠す気が全く感じられない…」
「それでもなんとか隠そうと共和国の怨念とまで銘打ったんだがな。
そして、西暦4555年」
「「「「「「「「!?!?!?!?」」」」」」」」
魔導帝国歴955年
グルームブリッジ1618星系(人口50万)
最外惑星「56th Neptune」以外の星系天体失陥
「56th Neptune」軌道上に対鬼要塞「トレンチランパート」基部完成
「うわぁ劣勢じゃん」
「なんでこんな劣勢に?」
「ふむ、この映像がよかろう」
『陛下!!鬼軍先鋒突撃開始!!』
『くくくっ今までは、このまま宙間戦闘から
艦内白兵戦まで一気に持ちこまれていたが!!
今後はそうはいかないことを事を教えてやる!!』
『そうよ!!あの身一つで宇宙戦艦に殴りかかってくる!!
非常識な白兵戦至上主義者どもに射撃戦の何たるかを!!
叩き込んでやるのよ!!宙間戦闘の常識を取り戻すのよ!!』
『あぁそうだ!!もう艦内白兵戦はしない!!させない!!
どこの古代中世海戦だ!!なんで星間文明がそんな戦いをするんだ!!』
『そうだ!!こっちは片道6か月もかかるんだ!!
遅滞戦闘を支えながらこれ造んのにどんだけ苦労したか!!』
『この真っ赤なマナ収支!!必ず贖わさせてやるわよ!!』
『トレンチランパート!!試製マナ転化フィールド起動!!』
『トレンチランパート塹壕線部隊!!純科学兵器マナ弾頭射撃戦開始!!』
『敵鬼軍先鋒!!防御線突破トレンチランパートに取りつきました!!』
『『『『『『さぁどうだ!!』』』』』』
『敵先鋒霧散!!第一目標成功です!!』
『マナ転化率50%を超えてます!!第二目標成功です!!』
『超巨大汎用術式ユニット駆動率90%を超えました!!
全力駆動に入ります!!第三目標成功!!成功です!!』
『敵鬼軍本隊!!困惑してます!!棒立ちです!!』
『超極大魔法空間歪曲砲起動!!連続掃射モードです!!』
『はっはぁぁあ!!最終目標成功だ!!
貴様らの先鋒を丸ごと生贄にした一撃を食らうがいい!!』
『これで!!宙間戦闘にあるまじき純マナ依存有視界近距離射撃戦とも!!』
『近寄れば所かまわず近距離転移してくる脳筋どもとの艦内白兵戦とも!!』
『増発に増発を繰り返してきた地獄の補給維持戦とも!!』
『ひたすら減るばかりの根源マナ残量とのにらめっことも!!』
『『『『『おさらばだぁぁぁ!!薙ぎ払ぇぇぇぇぇ!!』』』』』
『空間歪曲砲!!掃射開始!!敵鬼軍本隊!!
次々霧散!!恐慌状態です!!』
『『『『『ひゃっはぁ!!やはり!!これなら効果覿面か!!』』』』』
『敵鬼軍本隊!!損耗30%を超えました!!…50%!!……70!!』
『『『『『逝け逝け逝けぇぇぇぇぇいぃぃやっほぉぉぉぉ!!』』』』』
『90!!掃射終了!!空間歪曲砲掃射終了!!
敵鬼軍本隊損耗率95.15%!!散り散りになり撤退していきます!!』
『『『『『いぃぃよっしゃぁぁぁ!!ざまぁみろだ!!』』』』』
と、こんなんなるほど苦労した」
「「「「「「「「「うわぁ」」」」」」」」」
「……強いられたの?……艦内白兵戦を?」
「うむ強いられた、艦内白兵戦を前提にした艦を投入させられるほどに」
「なんでまた?」
「純マナ攻撃手段が全て地上戦を想定していたからだ」
「交戦可能距離が短い?」
「とてもな、手持ち光学式観測器つまり双眼鏡だな、
その程度で足りる距離しかまともに届かんかった、霧散するんだ」
「……そして?」
「満足な交戦距離を持つ純科学兵装は無効だ
そして数で飽和攻撃される、その様は古代中世の攻城戦そのものだった」
「……まじかぁ」「初の星間戦争での艦隊戦が攻城戦……」
「要塞名はそのさまを自嘲したものというわけだ」
「……なるほど」
「ハム公?私からも一つよいですか?」
「いいぞ?」
「片道6か月かかるんですの?」
「うむ、当時は50光年/年の転移技術だからな?
太陽系からグルームブリッジ1618なら約16光年約4か月、
タウ星系からグルームブリッジ1618なら約25光年約6か月、
タウ星系からティーガーデンなら約8光年約2か月、
タウ星系から太陽系なら約12光年約3か月、
当時の星間航路の時間感覚はこんなもんだ」
「なるほど、だから新規星系植民計画無期限停止ですのね」
「そうだ、実際に星系争奪戦に陥ったことで、
その問題は如実に現実化した。
通信は文殊でタイムラグなく行えるが、
遠征するにはあまりに時間がな?
そしてその移動にはマナが大量に消費される」
「日産5300億ものマナがあったとしても?」
「そう足りなかったんだ」
「そんなに……」
「マナ節約のためにも帝国の星系運営方針は、
根源と文殊を除き開発時から可能な限り現地自給であったしな、
この問題が顕在化することは平時であればなかったが」
「戦争ともなれば……ということですか」
「うむ、しれっと帝国領土は限界線近くまで広がっていたのだ、
そして、この時期に手を付けている星系をこう称する」
「帝国中核」
「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」
タウ星起点20光年内星系
マナトリガー型空間跳躍式転移実用化以前の
帝国領域である60星系59惑星を意味する。
帝国の中核領域である。
タウ星系以外の星系は、
官と軍の大規模施設群が居住区を圧迫しており、
1惑星あたりの人口は20億程度である。
「だいぶ人口が少ないんですのね?」
「元々は100億前後までどの惑星にも居たんだがな?
居住区の老朽化に伴う再開発時に大多数は移住して貰ったんだ」
「その必要があるほど官と軍の施設が大きいのですね」
「特に宇宙軍関係がな」
「具体的には?」
「広範な資材部品でマナ浸透処理が必要でな?
それには地表の高濃度マナ生態系下がもっともコストが安いんだ。
拠点艦に円筒コロニーがあるのもその関係が必要性の一つだな」
「なるほど」
「さて次のプリプリ劇場に移るか?」
「はい!!お願いします!!」
第6分隊長ハマってんな~




