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第137話 切り時やな

『潜航魚雷起動』

『諸元入力』

『統制魚雷戦準備良し』


「全長80m直径30mの大型魚雷…」

「その数1500万基以上…」

「その同時着弾斉射…」


『開始まで10秒』

『9』

『8』

『7』

『6』

『5』

『4』

『3』

『2』

『1』

『擬装塔射出』

『5』

『4』

『3』

『2』

『1』

『潜航魚雷射出』

『5』

『4』

『3』

『2』

『1』

『艦首戻ります』


「あっさりとしたもんだな…」

「光も音も出さずに静かに…」

「全てが撃ちだされましたね…」


『さて…あとは待つだけですねぇ』

『軌道要塞と破城要塞の影に潜みつつ』

『着弾を待つのみやな』

『近傍の戦偵巡が実況してくれるでやす』

「そうか完成するまでの10年…」

「だいたいの時間を」

「その影に潜めていたんだったな」




『第5依然として残存擬装塔にレーザー照射中』

『近傍の戦偵巡からの実況中継や』

「第5のレーザー派手派手しいな…」

「流石の星間射撃レーザーですね…」


『魚雷着弾まであと10秒』

『9』

『8』

『7』

『6』

『5』

『4』

『3』

『2』

『魚雷浮上』

『着弾』

『ほぼ全弾着弾』

「うわぁ静止軌道上の係留リングが…」

「照明リングですかね…真っ白じゃないですか」

「とんでもねぇなぁ…全部逝ったんじゃね?」

「これでも第5のシールド抜けないんですかね…」

「逆に言えばそうなるのか…いっそうとんでもだな…」


『かなり巻き込んだ筈や…』

『おそらくは想定を上回る巻き込み率でやす…』

『全く気づいていなかったからな…』

『各戦偵巡の報告を待ちましょう』

「迎撃猶予時間が秒を切ってるのか…」

「浮上即着弾だったな…」


『戦偵巡の戦果確認に間違いはないやろ』

『係留施設は全損と…』

『戦列砲艦とレーザー戦艦も全損…』

『突撃艦が1%程度を残すのみと…』

「うっはぁ大戦果だなぁ」

「戦列戦せずに焼き払ったかぁ」

「まさに大勝利」


『次元境界面潜航…自体を』

『やはり…知らなかったとみえる』

『殆ど使ってなかったからな…』

「そういやずっと使用禁止していましたわね」

「慣性かけると光跡でバレバレなんだったか」

「あ~だから小さな重力スラスタ…」

「殆ど光らないように…」

「あっ誘導もできないですね…潜航中…」

「つまり発射前に入力した航路しか取れねぇ…」


『そして…5光年アンテナ露見を…』

『懸念したろうな』

「ブラフ合戦もしていたな…」

「虚実織り交ぜての駆け引き…」


『とはいえだ…そろそろ札の切り時…』

『総司令部の判断やろな』

『本体から遠く孤立してるでやすからね』

「あ~イーリングベースの方の相手には…」

「数百年後まで伝わらないのか…」


『しかし潜航魚雷…なかなかの戦果や…』

『今回だけのやっつけ兵器とはいえ…』

『係留施設ごと100個大艦隊をチリにしたでやすなぁ』

「あれ?ここで大勝利?じゃぁどこで?」

「そうだ…ココじゃないなら…どこで?」


『移動目標には使えないのが惜しいですねぇ』

『無光跡だと無誘導慣性航行縛りに加速も要隠蔽…やからな』

「状況にハマると効果的だが…」

「制約があまりに多いですものね」


『そこまで弾体で対応するともう艦になりますからねぇ』

『従来の装填機構にも対応できないですし』

『加えて大きな構造物が被ると押し戻され浮上できないでやす』

「そんな制約もあるのか…」

「作業艇で前から装填なんてのもしてましたね…」

「たしかに艦隊一発芸だな…」


『制式運用するなら拠点艦ぐらいという話でしたね』

『機動砲艦用カタパルトか…』

「あーほぼ直進しかしない高機動砲艦と考えればよいのか」

「そうかんがえると同時8基ですか…」

「1200基超に対し8基…微妙な…」


『弾体が嵩張るうえ…』

『アレ以上は小さくならんらしいからなぁ』

「そうなのか?」

「そうだ、潜航装置の直径がどうにもならん」

「つまり直径が?」

「全長も潜航装置と対消滅暴走機能部位で一杯一杯だ」

「なるほど…」


『ただ全て汎用材でサックリ造れるそうでやす』

『製造コストも製造時間もえらく良いらしいで』

「安いのか?」

「とても安い…一発芸に1500万超量産するくらいにはな

 ちなみに現地拠点艦で生産した」


『やはり制式ではなく…やっつけ兵器だな』

『必要となる状況からして…やっつけ状況ですからね』

「この状況だから造って使ったであって…」

「この状況の為に用意しておくようなモノではないと…」



『しかし…これで厄介だった100個大艦隊をもう考慮せずに済む』

『10年…長かったですねぇ』

『要塞建造現場襲撃の度に…』

『毎回星間射撃してきやしたですねぇ』

「事あるごとに撃たれてましたね…」

「だったな…基本撃たれっぱなしだったもんな」


『そして本命である破城作戦での』

『事故確率もだいぶ…』

「艦隊がいるといないではだいぶ…」

「懸念要因は減りますわね」


『5光年アンテナ露見と潜航魚雷…』

『切り時やな』

「なるほど」

「確かに」

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