第134話 どう高練度で高性能だろうと単艦に過ぎないという現実
『親鳥7番8番9番爆沈!!6番10番大破!!』
『憑依式が240×5隻つまり1200隻喪失や…』
「そうか…憑依式が諸共になるのか…」
「母艦から制御しているわけだからな?」
「そしてソレはすぐに知られると…」
「知れば狙わない訳がないからな?」
『敵の戦列砲艦280隻前後撃沈!!』
『こらあかんでこっちが56分で向こうが68分や』
『従来であれば1斉射あたり1~2隻の脱落ですからねぇ』
「なんて数での消耗戦…」
「20km級や30km級に60km級での話ですよね?」
「その殲滅や全滅の話で分単位…」
『戦隊と砲台に副砲による砲弾迎撃命令を出します!!』
『ふむ…少し待ってください』
「うん?なんだろ?」
「なんでしょう?」
『司令?何か気になることでも?』
『うん?これは?龍虎同眠でやす!』
『このコースは…火球カーテンのむこう!ど真ん中や!』
「6000万の弾雨ど真ん中に居座るのか…」
「そんなことができるんですか…」
「できるのが100G体現者だ」
『となれば…砲台は上に変えましょう直上戦列戦外ですね』
『了解!!戦隊は火球カーテンの直上に前進!!』
「砲台と戦隊と機動砲艦はこうやって上下に振る」
「戦列戦の射線からは外すんだな」
「流れ弾のリスクがな?」
「この数ならそうもなるか…」
『機動砲艦達は戦隊の前にしましょうか』
『下にいった者も上に合流ですね、纏めていた方が良いでしょう』
『えぇ相手が右翼に集中してる間にそうしましょう』
「上下間の移動もか…」
「そうだ、機を見て移動させるしかない」
『移動中も可能な限り迎撃させます!』
『リンク外ですが構わないでしょうお願いします』
「リンク外?」
「戦列戦射撃リンク外ということだ」
「つまり戦列戦ができる艦のみのリンク?」
「拠点艦と戦列戦艦に高機動戦艦までだな」
「砲台は入らないんだな」
「足が遅すぎてな?」
『憑依式が減る分をフォローしつつ…』
『迎撃効率を上げるにはこうするしかないでやすね…』
「あっそうか…ソコを削られてるんだった」
「その分、戦列戦艦は削られていないが…」
『龍虎同眠がど真ん中で早期警戒やってくれている間は…』
『マシになると思いたいですねぇ』
「あーその為にど真ん中なのか…」
「的になる為じゃなかったんですのね」
『親鳥28番29番爆沈!!30番大破!!』
『むぅこれで右翼の親鳥は全滅ですねぇ』
「たしか…1隻3000人近く…」
「そうでしたね…30隻…9万人ですか…」
『憑依式7200隻分喪失は機動砲艦合わせても全体の2割超ですよ』
『憑依式のみなら37%超の喪失でやす』
「そうみると深刻な損害だな」
「数字が数字だから麻痺してたが…わりと手痛い損害か」
『その分こちらの戦列戦艦は無傷ですが…』
『本命はあからさまに突撃艦…』
「あぁ突撃艦がいたんだった」
「戦列戦が派手だから忘れてたわ」
『とはいえ…そろそろ…でしょうねぇ』
『向こうの戦列砲艦は2万6000隻は削れてますからねぇ』
「憑依式7200の代償がそれか」
「高いのか安いのか…」
『第5の戦列戦艦!!3番撃沈!!1番2番大破!!』
『こちらも右翼ですか…少し前に出ましょうか』
「ついに標的変更か…」
「戦列戦としてはだいぶ…」
「そうだな、かなり出遅れた格好だな」
『第5司令部より左翼に発令!右翼と同じ位置まで左翼戦列前進!!』
『第5も同じ判断ですね』
「陣形変更の判断?だいぶ慎重なんだな…」
「たしかにギリギリまで待っていた感じですね」
「うむそうだ、一度動くと元の位置にはなかなか戻れないからな」
『龍虎同眠も右翼にジリジリ移動中や』
『突撃艦の分布は…上下とも右翼一辺倒…』
『6600万隻ほぼ全てが右翼狙いやなぁ』
「数がまた…」
「3個大艦隊でこの数になるのか…」
『第5司令部より発令!戦隊以下は対右翼突入迎撃陣に移行!!』
『砲台はそのままに機動砲艦と戦隊を迎撃陣位置に』
『お願いします…これは面倒な事になりそうですねぇ』
「うん?どういうことだ?」
「迎撃陣がどうして面倒に?」
『第5司令部と第161司令部より連名で発令!!』
『きやしたでやすねぇ』
「なんだなんだ?」
「連名でとは穏やかじゃないぞ?」
『指揮引継ぎ順は左翼先任順3番手は当艦!!』
『なんとも面倒な…』
「この段階でこの指示をくだすのか…」
「早すぎるんじゃ」
『中央まで抜かれる…』
『その判断には異論ないですがねぇ』
『後始末までが演習…厳しいですね…』
「あぁ既に残れないという判断を…」
「そこまで喰いつかれると…」
『!?敵戦列砲艦と照明!!全艦前進を開始!!』
『徹底的に弾避け扱いとしますか』
「艦首砲を使わせない為に…」
「完全に使い捨てですか…」
『第5高機動戦隊!敵突撃艦に対する迎撃射開始!!』
『うっとこの砲台達も迎撃射開始!』
「そして始まる迎撃射…」
「こっからはあっというまか…」
「6600万の飽和攻撃…」
『もっと射撃戦でくるかと思いましたが…』
『まさに機械神擬きの再現でしたね』
『あくまで戦列戦は突撃艦の支援であると』
「言われればたしかに?」
「らしくない気が?」
『ほんとにウタなんですかね?』
『初手のタイミングからも武神様じゃろ?』
「なるほど?そう言われれば?」
「そういう気も確かに?」
『そして終始スルーされる龍虎同眠…』
『どう高練度で高性能だろうと単艦に過ぎないという現実』
「そう、どう突き詰めても単艦なことに変わりはない」
「それもまた現実と…」
『とはいえ火球カーテンの向こうで観測する必要性…』
『下手にアンテナ出すと火球に巻き込まれんからなぁ』
「だが無為でもないと」
「単艦の結果としては破格の貢献…」
「それもまた事実であると」
『憑依式と機動砲艦も迎撃射開始!』
『おそらくは殲滅は可能やな』
『ただ…どれだけ残るか…』




