11話「ここから始まる、でも希望もある」
アポツティは処刑され、この世を去った。
そして私は正式に王子カルセドラと結ばれることとなる。
今日は結婚式。
そして明日にはお披露目パレードも用意されている。
しばらくは結婚関連の話で忙しくなりそうな感じだ。
そのような訳もあって、これからしばらくは妃となるための修行は行われない――いや、しかし、今後はそれ以上の心理的な負担が降りかかることとなるだろう。
なんせ、王子の妻としてきちんと振る舞い、皆に認めてもらわなくてはならないのだ。
そういう意味ではここからが本当の戦いの始まりである。
「カレッタさん、これからもどうぞよろしくお願いします」
「こちらこそ。足りないところなども多くあるかと思いますが……どうかよろしくお願いします」
私たちは改めて向き合った。
それから暫し互いを見つめ合って――自然ななりゆきで頬を緩める。
「少し、照れくさいですね」
今になってそんなことを言い出すカルセドラ。
貴方はもうずっと照れくさいことをしてきていたじゃないか、なんて思って、心の中でそっと微笑ましさを噛み締める。
「そうでしょうか?」
「え。カレッタさんはそんなことないですか」
「そうですね、私はあまりそんな風には思っていません」
「ええっ、そうですか」
「はい。でも、嬉しいことは事実です。カルセドラ様と共に歩めることとなって、今は幸せです」
色々大変なこともあったけれど、ここまで来ることができて良かった。
だからこそこうして今笑える。
それに穏やかに見つめ合えるのだ。
過去の自分、そして、良き人と巡り会わせてくれた運命――関わってきたすべてのものに感謝して。
そうやってこれからも進んでゆきたい。
「ああそうでした。今度、海とか行きませんか?」
「海?」
彼の口から出るのは、やはり意外な提案で。
でも彼と向き合っていればそれによって素敵な提案に思えるという部分もあって。
「ええ。思えば海へは行ったことがなかったな、と」
「そうですね、確かに……」
まだ二人で見たことのないものを見に行く。
そういうのも悪くはないかもしれない。
「もし美しい海を共に見られたら――きっと素敵な思い出になりそうですよね」
彼はそう言って頬を僅かに赤らめていた。
それはまるで熟れた果実のよう。
「カルセドラ様は海がお好きなのですか?」
「そうですね、絵画なんかは」
「へえ! じゃあいつかきっと一緒に行きましょう!」
◆終わり◆




