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10話「新しい日々の始まり」

「おはようございます、昨日はお疲れ様でした」


 そしてまた新しい朝が来る。


 今日は講師からの指導を受ける日。

 緊張感を持って朝から部屋を出る。


「色々ご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ありませんでした」


 朝一番、何度も頭を下げた。


 しかし怒られはしなかった。


「いえ、構いません。どうやら前もってそういうことを想定しておくよう連絡はいっていたようですので」

「そうなのですか!?」

「カルセドラ様が前もって備えられていたようです」

「それは……そうでしたか、でも、備えあれば憂いなしというやつですね」


 悪者にされているかと思っていたので意外だった。

 どうやら皆が私に怒っているということはないようで――少しだけ安堵する。


「では始めますよ!」

「はい!」


 ここに居場所がなくなったら私は終わりだ。


 だからこそ頑張る、日々努力を重ねる。


「はい、はい、はい……そう、そうですね。なかなか良くなりつつはありますよ」

「そうですか……!」


 努力の成果は徐々に出てきている、けれど――。


「ええ、しかし今気が抜けたようですね」

「えっ」

「足!」

「は、はいっ」


 ――今もたまに注意されてしまう。


 常に緊張感を持って、お淑やかに。

 それでいて自然に。

 作り物と明らかな雰囲気は出さずに。


 そんな振る舞いを身につけるのは難しい。


「きちんと角度を整えてください」

「気を抜かないようにします」

「ではそこから次へ、どうぞ」


 でも最近は少し楽しくなりつつある。


 だって、たまには褒めてもらえるから!


 そういうことがあるとやる気が出る。怒られてばかり注意されてばかりだった頃は苦行でしかなかったけれど、たまにでも褒められれば、もっと頑張ろうと思えてくるものだ。人の心とは案外単純なところもあるもので、少し餌を貰えばなぜか勝手に張りきり出すのである。


 ちなみにアポツティはというと、あの後牢屋送りにされたようだった。

 それで、刑が確定するまではそこで拘束され続けていたようだが、その後死刑という刑が確定したようで。

 その後彼は死刑執行のための場所へ送られたらしい。

 今はその厳重に警備された場所にて一人寂しく生活しているところだそうだ。


 つまり彼は、一人寂しく死を待っているのだ。


 死を待つだけの日々。

 それは一体どんなものだろう。


 楽しくはないだろう、絶望ばかりか、あるいは逆にもう諦めがついてどこか爽やかな気持ちだろうか。


 実際にそうなってみなくてはきっと分からない。


 想像だけでは彼の心には至れない。


 ……そういうものだろう、多分。

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