お茶会とその後
お茶会が終わり平和がよみがえりました
◇◇◇ギル目線
呼び出した侍女と護衛がやってきた。リシアに護衛をつけて王太子宮に帰らせた。魔術団に戻そうとしたアレク兄様は無視した。ざまみろ・・
姉上が部屋をでていったので、ぼくは行った。
「まぁ座りましょう」
マリアンナ、こせがれ、アレク兄様、ぼくが席に着いた。
リシア付きの筆頭侍女が一瞬もの問いたげな表情を見せたが、すぐに消してじっとしていた。
「ジェニー、聞きにくいことだが姉上のことで」
「はい、お答えできることでしたら、なんなりと」とジェニーが言うと
「あざ、なんだけど」
「お体のあざですか?お答えできません」
「そうだよね」
「リシアの幸せのためよ」とマリアンナが口をだした
ジェニーは無視していた。
「なによ、聞こえないの?」
ジェニーが無視していると新入りの侍女のデージーが
「ジェニーさんちゃんと答えてください、まえにリシア様の脚のあざのことを教えてくれたじゃないですか。すごく色っぽいって」
バシっと小気味よい音が響いてデージーが倒れた
「おだまり」と一言。おとこだ。
「えぇぼくは見ました。情熱にかられておもわず手をスカートのなかに」
瞬間、魔術師団の精鋭が隣室から躍り出て、アレク兄様をとめた。
「えぇわたくしも聞いたわ。リシアのあざのこと・・・だれだっかな・・・ほら平民あがりだから情熱的みたいで確か、うちの護衛たちが話していたのよ・・・でも責任とるなら公爵令息がいいでしょ。好き勝手やったのに公爵夫人って・・・正妻は無理かな・・・でもね」
「ほんとにみたのか?ではその目をえぐりとろう。さわったのはどっちの手だ?切り落とそう」
アレク兄様が静かに言っている。まったく同感だ。
見た目通り、根性のない公爵のこせがれが白状した。リシアと寝たといえばアレクはリシアと婚約を破棄するだろう、そうすればやさしく慰めてくれるマリアンナとアレクは婚約をするだろう。こせがれはリシアを手に入れられる。こせがれはリシアに一目惚れしていたから、この提案をすぐに引き受けたそうだ。
思ったとおりで笑ってしまうが、不愉快さはかわらない。リシアのことがこいつらの話題になったとは・・・
隣国はすでに、この糞アマを捨てているから、ぼくが好きにしていいが、記憶を抜いて適当な変態に渡すしかないかな・・・
この御一行はぼくとアレク兄様で処分を決めた。
リシアには知られたくないので、しばらく遠ざけておくことにした。ケントに頼んで地方の教会や孤児院の視察に行かせることししたのだ。すべて終わってから呼び戻した。
先方にも喜ばれて一石二鳥だった。そしてこれには素敵なおまけがついてきた。なんでもある孤児院でリシアは孤児とビスケットをつくったらしい、ただ型抜きをしただけらしいが、リシアがそれをお土産に持って帰ってきてくれた。
家族でそれを食べると・・・いや、ひとり邪魔な魔術師がいたが・・・・おいしかった。だってリシアが作ったんだよ。
それからリシアは時々ビスケットを焼くようになった。固かったとか焦げたとかリシアは言っていたがアレク兄様とぼくは先を争って食べた。
おっと、話がそれたが、マリアンナは奥方に先立たれた子爵に嫁いでもらうことにした。いや、また奥方に先立たれたが正しい。なんでも可愛がりすぎるという話だ。マリアンナひとりでは足りなそうだから、スーザンも一緒に行ってもらう。
嫁入り支度も面倒をみた。費用はぼくとアレク兄様のポケットマネーから出した。
だって、手枷とか足枷とか・・・リシアに知られたら大変だ。
だが、白状すれば・・・それをつけたリシアを想像したら・・・いや・・・・ダメだ。
公爵のこせがれは辺境伯のところで兵団にはいってもらう。なにも考えずに体を動かすのは健康にいいと思う。
これってけっこう慈悲深い処置だよな。
この騒動が終わりやっとゆっくり姉上と過ごせるようになった。
父上の治世は落ち着き、評価も高い。
時々、魔獣がでてきてアレク兄様が留守になるのも素敵だ。
さて、そろそろリシアを迎えに行く時間だ、新種のバラが咲き始めたと知らせが来たので誘ったのだ。
わたしは新しく誂えた紫のシャツを着た。リシアは褒めてくれるだろうか?
リシアという名の幸せに向かってゆっくりと歩くのだった。