10年の夢
魔獣と消えたリシア、そのときなにが起こったのか?
話が少し戻って、リシアが入院している時のこと。リシアは薬で眠っていたが、その時夢をみた。
あの魔獣がリシアに甘えて寄ってきてこう言うのだ。
「エリシア、ごめんね、怖がらせたね。ぼくそんなつもりじゃなくて。ぼく、呪いを受けたんだ。それでこわくて誰かに助けて欲しくて・・・・そしたらエリシアがいて・・・ぼく、おもわず勢いよく走って行ったんだ。そしたらエリシアまでこっちに来ちゃった。ねぇエリシア、くっついていていい?くっついていたら、よくなりそう」
「うん、どうぞ、撫でたほうがいい?」
「うんうん撫でて」
「エリシア、元気になってきた。ありがとう」
「うん、よかったね」
「あれ?エリシア!大丈夫?」
「うん・・・・だいじょ・・・ぶ」
「エリシア、エリシア」
「おや、たいへん・・・この娘があぶないね・・・ちょっとみせて・・・・お嬢さん・・・この子を助けてくれてありがとう。だけどあなたが・・・・助けたいから年を二年程、取っていい?」
「うん・・・いいよ」
「ありがとう・・・それからこの子がお礼をしたいって言っているから力が付いたらそちらに行かせるから、そばでこきつかってやっておくれね」
「ふふ、いいわよ・・」
『リシア、さっきまで痛そうだったけど楽になったのかな?ちょっと笑顔になってる。もしかして、ぼくが手を握ったからかも、ずっと握ってよ』
「ギルバード様付き添いはもう大丈夫ですよ。そろそろ戻られないと・・・」
と医師がいうと
「いえ、今晩はずっとここにいます。リシアがこわい夢をみたときが心配ですから・・・」
とギルバードは答え医師をあきれさせたのだった。
夜中に目がさめたリシアがみたのはアレクのひざに抱かれて眠るギルと、そのまま椅子でまどろむアレクだった。
二人に毛布をかけてリシアはもう一度眠りについたが、夢のことは忘れてしまった。