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リシアのひとりごと

王宮でおかしな令嬢に絡まれて皆さんに迷惑をかけてしまった。


そのひとりに異母妹がいたのはなんの因果だろう。


10年前の事件のとき8歳だった彼女は18歳のはずなのに、愚かだった。


いや、あの頃から愚かだった。アレクと婚約したいからと城のわたしを母娘で訪ねてきたこともある。


思い切り迷惑を掛けられてきた。そして今回、向こうは気がついていないだろうが・・・・



直接傷を負わせられたのには参った、当然重い処分らしい。


もう無関係だからどうでもいいが・・・・



今、アレクと一緒に馬に乗って温泉へ向かっている。倒れたとき痛めた足首をアレクが心配してくれたのだ。


それとアレクを王宮から離しておきたい、宰相閣下の思惑もあるような気がする。


温泉は素晴らしかった。ゆっくり温まってマッサージをされるといつのまにか寝てしまって気づいたら自室のベッドにいたというのが何回か続いた。


アレクは急に距離を縮めてきて、可愛いアレクではなくなり・・・・恥ずかしいことに・・・やさしく時には乱暴に愛を囁いてくるようになった。


「リシア、自分で言うのもなんですが・・・おれは誰にも遠慮する必要はない立場です・・・・おもいきり口説きますね。無骨ってことも自覚してます。ただリシアを怖がらせたり、おびえさせるつもりはないですが・・・・その・・・・」次の瞬間抱きしめられて、髪をなぜられ


「おれはもう、おとなです。おままごとの恋愛はしません。リシア。愛してます。もう離しません。どうすればあなたはおれの者になりますか」


などと呟かれるのを日に何度も繰り返され、ベッドに運ばれる朝のお茶に添えられる花が、明らかに魔力で改造された銀のコスモスだったり、紫の野ばらだったり、本物のバラなのに花びらの露が真珠だったりなんてのを毎日・・・・これで落ない(ひと)はいないと思う。


わたしは一週間でアレクの虜になった。いや違う。


わたしは再会したアレクに、多分一目惚れしていた。


ただ、あのちいさいアレクに対してそんな気持ちを持ってはいけないとどこかで思っていたと思う。だけどアレクがそんな気持ちを吹き飛ばしてくれた。


結局、あの事件がいいきっかけになったといまでは感謝している。


今、わたしはアレクのひざの上でレモンパイを食べている。いや食べさせられている。


「リシアを甘えさせるのは、おれの趣味で生きがいで権利で義務で日課で・・・あとなにがあるかな?リシアも考えてみて・・・そう特権?」


と真面目な顔で言う人を好きにならない人はいないと思う。わたしは甘え方を知らなかった。


だって実家ではだれも甘えさせてくれなかったから・・・・


甘え方を知らなかったわたしに甘え方を教えてくれたアレク。愛してる。



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