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ケントは思う。ほんとに怖いのはなんだ?

ケントはこわい女を見ました。だけどもっともっと怖いものをみました。

◇◇◇ケント目線

訓練場からふとみるとリシアが珍しくひとりで歩いているのが見えた。


マントを着ているから大丈夫だとおもったがある意味チャンスなので、所属の第三騎士団の副長に耳打ちした。すると行ってこいと許可がでたので、後を追った。相手をしていたボビーも、ちゃっかりついてきたが気持ちはよくわかる。


すると令嬢4人がリシアに声をかけて呼び止めた。


隠れて声が聞こえる所まで近づくと


「あなたいい気になりすぎよ。綴りの書き間違いを指摘するなんて、とばっちりで綴りの勉強のし直しをさせられているのよ。優秀なわたくしたちに侮辱だわ。我が侯爵家に対しても侮辱よ。どう責任を取るの?」

「あの、侯爵令嬢、わたくしとはいままで会ったことがないと・・・・」

「生意気ね、研修中のことよ、書類を拾わせてあげたのに感謝もしないで自分をひけらかすなんて、いやしい平民だけのことはあるわね」

なにやらむちゃくちゃなことを言ってるが確かに頭が悪そうだ。


続いて別の女が

「それになんです、ギルバード様に媚を売り、次はアレクサンダー様ですって?」

「なんとか言いなさいよ」というとその茶色の髪の女は持っていた扇でリシアを殴った。


おれたちはあわてて飛び出したが、リシアは地面に倒れてしまった。まだ14歳、食が細くて小さい体は耐えられなかったに違いない。そのうえ、リシアの手を靴で踏みつけて


「いい気味だわ。これに懲りて」と言っている茶色の髪の女の腕をボビーは捉えると拘束した。


おれは逃げる女どもに、目もくれずリシアを抱き起こした。逃げれば罪が重くなるだけだ。


頬を切ったようで血が流れていた。


「大丈夫かリシア?間に合わなくてすまん」と声をかけると


「大丈夫ケント」とかろうじて返事がかえってきた。リシアのマントが血に染まり地面にも血が流れ、おれの怒りは増して行った。



リシアは入院し、医者はだれも病室に入れなかった。懸命な判断だと思う。そして医師の勇気に感服した。

だって半狂乱になっている鬼の形相の叔父と甥を医師は、ひとりで相手にしたのだから、

「リシアは今、薬で眠っている邪魔して回復を遅らせたいのか?大丈夫だ明日は会えるから、今日はおとなしくしてろ」と言い放った。


「ふたりとも落ち着け、お前たちは誰よりも責任ある立場になるのだぞ」この静かな声でその場が落ち着いた。


声の主がだれかということに気づいたおれは、それから体の震えがとまらなかった。


国王だった。ギルバード殿下は抱きついて泣きじゃくり、アレク様も背中をやさしく叩かれていた。



ギルバード殿下はしゃくりあげながらも、

「アレク兄様、糞あまどもを簡単に殺してはいけません。わたしに考えがあります。新手の拷問のアイデアがありますから端から試しましょう。騒いでリシアに気取られてはたいへんです。静かにやりましょう」とこわいセリフをはいていた。



その後のことは伝達されただけだったが、女どものの実家はすべて降格された、女は皆平民に落とされ、実家の監視の下、奉仕活動をやっているらしい。




リシアは回復したが倒れた時にひねって痛めた足首をアレク様は心配して、温泉という所にリシアを連れてでかけて行った。


自分の馬のまえに乗せて大事に移動して、出かけた温泉で2週間ほどすごして帰ってきた。


2週間、会わないでいるとリシアは随分大人びていた。そしておれとリシアの誕生日がやってきて、おれは17歳にリシアは15歳になった。


リシアがこっそり教えてくれたが、倒れた時に着ていたドレスがぴったりになるくらい成長したそうだ。


食堂で同期がひらいてくれた誕生日のお祝いは楽しく、アレク様もギルバード様も顔をだした。


同期は感激していたよ。普通なら遠くから見かけるような人がやってきて、全員に声をかけて長居すると窮屈だろうから帰りますねごゆっくりと去っていくなんて・・・しかも豪華な差し入れ付きだよ・・・


そしておれはギルバード様から悪い言葉をこっそり教えてほしいから、時間のあるときに来て欲しいと耳打ちされた・・・うっおれって・・・・


その後のおおきな事件はリシアの婚約だった。覚悟はしていたが落ち込んだ。





まず、平民のリシアが王弟と正確には王太子の弟、まぁ王子と婚約するのは不可能だということで、これに対してアレク様はそれなら自分が平民になると平気で言ったらしい。脅しとかでなく本気で・・・・


これについてはギルバード様が解決した。要はアレク様を煽ったってことだ。


「アレク兄様はリシアを養女にしてどこかの家がリシアと親しくなるのが、いやなのです」


「そんなことはない。貴族であるとかないとか、リシアにはどうでも良い」


「えぇですから、貴族になってもいいではありませんか。この件に関しては王太子家に任せてください。父上も気にかけています。確かにへたな家と関係を持つのは良くないですから」


「わかった。兄上に任せよう」


アレク様はここで間違えたと思う。


リシアを養女に望む家はそれは多かった。それをギルバード様は慎重に検討したようだ。だが、ふりをしていただけだ。


最初から全てが決まっていた。ギルバード様の計画通りに進んだのだ。


彼はずっとお姉さまがいたらいいなと周りにもらしていたそうで、この問題が起きたときリシアのひざにすがって

「ねぇリシア、ぼくの姉上になってくれませんか?ぼくもっともっと強くなって姉上を守りますし、それにぼく、ずっとリシアのことを姉上と心の中で呼んでいました」とか言ったらしい


そこでリシアが落ちて、王太子家の養女になると決意したらしい。


ギルバード様の勝利だ。


あいつリシアをいやらしい目つきでみたり、たまにおれたちを威嚇していたのによく言うなってことであのアレク様を出し抜いたってことで・・・ほんとあいつら、いい勝負してやがるぜ・・・


ただ、問題のある男二人に取り囲まれているが、リシアは幸せそうでますます綺麗になった。


アレク様は婚約したからとリシアを宿舎から自分の屋敷に連れて行こうとしたが、これに待ったをかけたのがギルバード様だった。曰く


「結婚前に一緒に住むなんてありえません、アレク兄様はリシア姉さまの名誉をどう考えているんですか?もうリシア姉さまはうちの子です。ここに住むに決まっているじゃないですか?」


「なにを言う、広い屋敷のそれぞれ自分の部屋で住むのだ。なんの問題もない。だいたい養子なんてものは形式で」



「いいえ、口さがないものは下卑たうわさをしたがるもの。姉上の名誉は家族が、弟のわたしが守ります。よろしいですね」


「ちっ・・・」


こんな経緯でリシアは王太子宮に引っ越したらしい。


そして今日もアレク様が王太子宮に急ぐ姿がみられた。最近は魔獣も落ち着き魔術師団の仕事は鍛錬となっていてアレク様は指導すればいいのだが、教えるのはあまりうまくないので指導は別の人間がやっており、時折爆発音が聞こえるほかは平和な日々だった。


アレク様は、朝食前に王太子宮にやってくると皆さんと食事を済ませ、リシア様とダンスの練習をしたりギル様に剣や魔法を教えたり、追いかけてやってくる書類仕事を片付けたりして過ごしていた。


そこで、一気に結婚にとおもっていたアレク様を怒らせる事態が発生した。


国王が退位なさることになったのだ。気にかかっていたアレク様の婚約が決まり安心したということだ。


これによって王室の行事予定が変わってしまった。


アレク様をなだめるために婚約式は行われる。あくまで婚約だ。それから退位式が行われる。


それから大々的に即位式が行われる。


即位式の一連の行事はたくさんあるらしい。それが終わって落ち着いたところで結婚式だ。


へたすると3年後くらいらしい。


リシアは王女として一連の行事に参加することになる。リシアならうまくこなせるだろう。


ただ、すごく忙しくなるらしい。だってお父様が国王になるんだから・・・・・


当分魔術師団に近づかないようにと内々で騎士団長から指示がでている。




リシアをみつけたあの日と同じいい天気だ。この王国の平和は続いていくだろう。


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