見つけた。ケントとギルバードの場合
銀髪の少女を見つけた日、彼らの人生に光が満ちた
誤字・脱字教えてくださいましてありがとうございます
予想外に現れた見慣れぬ魔獣が護衛を次々に倒していく。アレクサンダーのそばで護衛が身構えていた。エリシアは移動の魔法陣を起動していた。発動まであと2秒となったとき、魔獣がこちらを向き飛びかかってきた。そのときエリシアはアレクを突き飛ばし魔法陣ごと、魔獣に飛び込んだ。
陣は発動し魔獣もエリシアも消えた。
◇◇◇ケント目線
最初は人形だとおもった。仕事帰りに汗を流そうと池に行ったんだ。そこに彼女が倒れていた。
銀髪が広がりなぜか大きめのドレスを着ていた。あわてて揺り起こすと「アレク」とつぶやいた。
「起きろ、名前は?起きろ」「・・リシア」そう呟くと気を失った。
教会に連れ帰ると神父さんがあわててシスターを呼び、着替えさせてベッドに寝かせた。神父さんがこう言ったんだ。
「このリシアのことは秘密にしろ。なにか理由がある。犯罪に巻き込まれたか事故か?わからないが噂にならないようにしてやってくれ」
「わかった」
そして神父さんの意見でおれが騎士団入団試験を受けに行くときにリシアも一緒に行って文官見習い試験を受けることになった。
王都まで馬車で一泊だ。せまい馬車に乗って王都にいくのは楽しかった。ぴったりと寄り添ってすわり話をしたり、うとうとするリシアの肩を抱いたり、王都に着かなければいいのにと思ったものだ。
神父さんの予想通りにリシアは合格した。もちろん俺も騎士団の見習いになることができた。
最初の一ヶ月は文官も騎士団も合同で研修をするらしい。おれみたいな田舎もんに最低のマナーを教えるためらしい。
合格者20人と顔を合わせたら、平民は俺とリシアとダグラスの三人だけだった。
あとは下級ながら貴族だと言っていた。
おれとダグラスはリシアからマナーと勉強を教えてもらうおかげでなんとか研修についていけた。
ある日、役所の見学として外務部に行った。きれいなおねえさんが一杯いたが最高にきれいなのはリシアだった。
あれはぜったいわざとだとおもうが、あるお姉さんが書類をわざと落として撒き散らした。
俺たちは床にはいつくばって書類を集めた。おねえさんは笑いながらおれたちをみていた。
リシアも書類を集めていたが、ある箇所をみて眉をあげた。集めた書類を隅にいた男性に渡す際にあるところを指差してなにか囁いた。男性は一瞬驚いたがなにも言わずに書類を受け取った。
あれたちは書類を集めてもらってありがとうという男性に見送られて次に向かった。
その日、リシアに誘われて俺たちは図書館にやってきた。じゃまなダグラスも一緒だった。
「リシア、本なんてどうするんだ?」ダグラスは本気の馬鹿だ。
「ダグラス、もちろん読むのよ」
「今日、外務部でミルフォーク語を読んだから久しぶりに本を読んでみたくなったの」
「え?リシア、外国語が読めるの?」
「うん」
「リシアって・・・」
そのとき本棚の後ろから少年が出てきてこういったのだ。
「君、リシアって言うの?このさきに個室があるからその本を持ってついて来てくれない?もちろんその二人も一緒に」
「いきなり、そのようにおっしゃると令嬢はびっくりなさいます。リシア様お時間を頂いてよろしいでしょうか?わたくしは護衛のオークレーと申します」
「ギルバード殿下、オークレー卿、リシアと申します」そういうとリシアは優雅にカーテシーとかいう挨拶をした。
「リシア、知り合いなのか?」とダグラスが言うと
リシアは戸惑ったが
「いぇダグラス」と答え、
おれは「黙れ、ダグラス」というと習いたての礼を行った。
「真似しろ」と囁くとダグラスはあわてて礼を取った。
リシアはカーテシーをしたまま俺たちが礼を行うのを待ってそれから
「かしこまりました」と答えた。
ちらっとみたオークレー卿はリシアをじっとみていた。
部屋で椅子にすわりお茶が配られたあと、ギルバード様が口を開いた。
「リシア嬢、お願いがある。その本を読んでみて欲しい」
「かしこまりました」
『その湖のほとりの街に住む人々は心に宝物を、持っていると言われている。その街の人々は妬みや偏見を持たない自由な心を持っている。なにものにも屈せず、媚びず誇りと謙虚さを合わせ持つ人々だった』
「そこまででありがとう。美しい響きだ」
たしかに意味は全然わからなかったがずっと聞いていたいとおもう声だった。
「リシア嬢は今見習い中ですね。ギルバード殿下の語学教師をしてもらいたい。研修期間があと半分残っているが、これ以上の研修は必要ないと思います。連絡がいきますのでよろしくお願いします」
「あの、無理だと存じます。わたくしは平民でございます。おそばにいける身分では」
最後まで聞かずにオークリー卿は
「ご心配なさらずにすべて承知の上で、ギルバード様のご希望もあっての決定です」
「かしこまりました」
「それでは引き止めて悪かった」
立ち上がってリシアの真似をして礼をしたおれとダグラスは部屋をでようとしたが、そのとき、ギルバード殿下がリシアに抱きつき
「リシア、わがままを言ってごめんね。リシアは華やかな場所で活躍できる人だけど、ぼくリシアと一緒にいたいと思って」と言った。
こいつ策士だリシアをわかってるじゃないか・・・
リシアはやさしく腰を下ろしてギルバード殿下と同じ目線になると
「殿下、わたくしの力は足りませんよ。それでもいいならリシアは殿下のお手伝いを致します。わがままなんて思っていませんよ」
とやさしく言った。
すると殿下はリシアの手をとり
「リシア送らせてください」と言った。
「おねがいします」リシアの声がそう答えるとふたりは歩き始めた。
「ねぇリシア、ぼくに敬語はやめて、リシアには普通に話して欲しい」
「殿下、わたくしは、研修中の見習い文官でございます。けじめは大切でございます」
「じゃあ、正式に僕付きになったら普通にお話してくれる?」
「そのときに皆さんに相談して、よく考えて決めましょう」
「リシアって先生みたいだね」
「そうですか?」
「あぁ先生になるんだよね」
リシアが少し声をだして笑い、笑い声はきらきらとあたりを明るくした。
宿舎棟の入口まで送ってもらって殿下一行は帰っていった。
翌日、いつものようにリシアを迎えにいくとドアのまえに研修責任者とオークリー卿が控えていた。
彼らに見られながらノックするといつものようにドアが開き、リシアがでてきた。
おれをみてすぐ後ろをみてリシアが驚いた顔をした。
「おはようリシア」責任者が言うとリシアがおずおずと
「おはようございます」と挨拶をした。一瞬の間をおいて
「昨日話をしたと聞いた。さっそくだがこれからすぐにギルバード殿下のところにいってくれ」
「辞令や契約に関しては追って人をやるから、話をしてくれ」
「はい承知しました」
オークリー卿が一歩まえにでると
「リシア嬢こちらへ」
「はい。あっケント来てくれてありがとう。わたし行ってきます。ケントも行ってらっしゃい」
そういうとリシアはオークリー卿についていった。
おれはリシアに送れないようにすすむ為に、この時から死に物狂いで努力したのだった。
◇◇◇ギルバード殿下目線
図書館に向かう銀色を見たとき、ドキリとした。すぐにあとを追って図書館にはいった。
男二人はあまり本に興味がないようで彼女の後ろをついて歩いている。意外なことに彼女は外国語のコーナーでミルフォーク語の本をみていた。本棚の後ろで聞いているとミルフォーク語が読めるようなことを言っている。わたしの語学の教師をやってもらいたいと思った。いくらわたしが望んでも実力のない者はそばに置けない。それで朗読をしてもらった。思ったとおり実に素晴らしかった。それでさっそく父上に頼んで手配をしてもらった。幸せだった。王子に生まれてよかったと思った。
リシアがやってくる。ドアがノックされるのをじっと待った。ぼくの返事でドアが開いた。ぼくの幸せがあふれた瞬間だった。
ぼくはリシアからいろいろ教わった。ミルフォーク語だけでなくほかの語学も。そしてリシアは魔力がなくて魔術を使えなかったけど、魔法陣の書き方はよく知っていた。
だが、ある日リシアは奪われてしまった。その日、ぼくたちは庭でお茶を飲んでいた。
お茶の時はミルフォーク語でお話することになっていて、ぼくたちはお城の西の棟からみる夕日の素晴らしさを語りあい、いつか夕日に向かって馬で駆けていこうと語っていた。
ふいに後ろから声をかけられた。アレク兄様だった。兄様はこの20日ほど魔獣討伐で遠征してらしたのだった。
「楽しそうだね。お邪魔するよ」
ぼくは振り向いて兄様に飛びつこうとした。でも兄様はリシアに目を向けていた。
リシアが声にならない声でなにかつぶやいた。その音が『アレク』だと遅れて気がついた。
ふたりは知り合い?リシアを隠したかった。
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