俺の勝ち でも魔王は無価値!?
1・これからどうなっちゃうの~
俺は槍杉智糸高校二年生だ。だが高校二年生と言っても一回留年しているから18歳だ。特徴と言ったら何も思いつかないが、強いて言えば誰にも気付かれないで生きるってところだろうか。それとちょっと顔が醜すぎるということ。まぁ、つまり所謂``陰キャ``ってわけだ。はぁ、今日もクラスの馬鹿どもが騒いでいてうるさい。奴らには頭がないのだろうか。まぁ留年した俺よりは頭がいいわけだが。そんな``陰キャ``な俺でもあこがれの女がいる。牌宝子だ。そいつは容姿端麗、頭脳明晰、運動はできる。まぁ完璧な女だ。それになんといても胸がでかい。そこら辺の女優に比べたらよっぽど牌の方が美しい。まぁそんなこと思っているいつも通りの日。今日も牌を見てはニヤニヤしていたが次は移動教室だったらしい。続々とクラスの連中が出ていき気付けば俺と牌の二人きりになってしまった。ちょっとドキドキしていた時、突然教室の中が青い光を発しながら俺と牌を異世界へと運んだ。おい待て、異世界!?ふざけるな!ふざけるな!馬鹿野郎!撮りためていたアニメも残っているんだ。作りかけのプラモもまだ家にあるんだ。俺は今までにないくらい動揺していた。それに、いくら牌といえどそれなりにパニックになっているはずだ。そう思って牌の方を見たが見たところそんなに動揺してはなさそうだ。そんなことを思っていたらこの世界の王、エラインダー2世が来た。王様が言うにはまぁ定番の魔王が7208年ぶりに復活して魔物が攻めいてきているらしい。魔王を異世界から召喚した``勇者様``に倒してほしいんだと。そこで俺の能力を図りたいとのことで光る金色のタマに手をかざし俺の能力を見た。そ、それは……異常なまでの生命力だった。普通の人間なら即死の攻撃でも俺なら耐えられる。普通の人間19人分の生命力らしい。ちなみに牌はその豊潤な胸から出る母乳(高2なのに珍しい)に解毒効果があるそうで魔物の毒に侵された人を救うのに役立つかもしれない。俺たちの能力が判明した後、エラインダー王は俺たちに114514ゴールドを与えた。しかしそれでは少なすぎる。そこそこな初級武器が手に入るくらいだ。
「この先金が必要になる、でもどうやって金を稼ぐかわからない。教えてくれ……」
すると牌は一つの提案を俺に持ち掛けた。
「見世物小屋をやらない?あんたの足りない知能と醜い顔じゃそれくらいしかできないわよ。みんな面白がって絶対繁盛するわ。ちょっと痛いかもしれないけど我慢してね♡」
2・三人に勝てるわけないだろ!
バシィ‼
「ぶひぃ……」
観客は大笑いしている。毎日この見世物小屋は大盛況だ。美しい少女が醜い男を叩き罵り、話題にならないはずがない。俺は最初牌の言っている意味が分からなかった。やればわかる、と言われたが何だこれ。痛いだけじゃないか。だがだんだん快 感に変わるようになっていった。なるほど、やれば分かるとはこの事だったのか。さすが頭の良い女だ。だがその平穏も長くは続かなかった。王立人権保護団体のエリート三人がこの見世物小屋の噂を聞き査察に来たのだ。王立人権保護団体とは名前の通り人権保護を目的に設立された組織であり、元は奴隷商などを取り締まるものだったらしい。俺としてはむしろご褒美であったし一生このままでもいいと思っていたがそうはいかないらしい。牌は抵抗するも屈強な男三人にかこまれ拘束されて俺は解放された。俺は当分その組織に保護されることになった。
「だいじょうぶ?だいじょうぶ?いたかったねつらかったね」
なんだここは……生き地獄か?俺はもっと……虐められたい、罵られたい。こんなところなんか今でも抜け出したいと思ってはいたが、なかなかそんな機会はなかった。今日もカウンセリングを受けうんざりしていた時に大きな爆発音がした。なんだ!?
「俺たちの見世物小屋を返せ!俺たちの牌さんを解放しろ!」
俺は思わず涙ぐんでしまった。
「みんな……」
暴動により俺と牌は解放され、また見世物小屋が再開されることになった。俺も幸せ。みんなも幸せ。
3・閉店のお知らせ
ある時この国に伝染病が蔓延した。これに対応できるのは牌しかいない。だが牌はいくら俺を叩いたり罵ったりしているとはいえ、清純な乙女だ。
「勇者としてこの世界に召喚された以上その責務を果たさなければならない。」
と宮殿からの使者は言った。牌は嫌な顔をしながら従った。しかしそのストレスからか不幸にも牌は衰弱していった。これでは店は続けられない。泣く泣く閉店を決意した。伝染病は収まったとはいえ牌の体は見る見るうちに弱っていき……ついに死んだ。17歳という若さで亡くなったが悔いはないだろう。牌は死に店は閉まり、俺の生きる希望が失われ何度死のうと思ったことか。しかしこの``チート``な生命力ではなかなか死ぬことはできない。もう魔王に殺してもらおう……俺はしに行くためだけに魔王に戦いを挑むことにした。待ってろよ牌。俺もすぐそっちに行く。
4・その後
勝ってしまった。
終。
作者挨拶
ほとんど深夜テンションで書きました。悔い改めます。