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シャルロッテ 既成事実を作ろうと画策す

「この度のこと、本当にありがとうございました。まさに殿下は命の恩人です」


 深々と白髪頭を下げるのはハーマンベルの最高責任者であるケルビム伯爵だった。ケルビム伯爵は反乱のあった日からハーマンベルの一角に幽閉されていた。今はその場所に反乱首謀者のドルベルマン男爵とジョルジオ将軍たちが押し込められている。


「いえ、ケルビム殿が無事で何よりです。むしろ救出するのが遅れたことをお詫びしなくてはなりません」


 ハーマンベルの市長執務室にセドリック様の声が静かに響いた。


「ハーマンベルの事後処理は私たちに任せて、まずはゆっくりと休んで心労をおとりください」

「そのお言葉、身に染みます。では、お言葉に甘えて少し休ませていただきます。ハーマンベルのことよろしくお願いいたします」


 ケルビム伯爵は何度もお辞儀をすると部屋を出て行った。


「幽閉が相当堪えたようだね」


 ケルビム伯爵を見送った後、セドリック様はため息混じりに言った。確かに、数年前に晩餐会で見た時はもっと髪の毛が黒かった記憶がある。今は真っ白になっていた。加齢の影響もあるのだろうけれど、反乱と幽閉が相当の心労になったのだろう。同情を禁じえない。まあ、この責任は連中にきっちりとらせるつもりだ。


「さて、セドリック様。まず、今後の事後処理の方針について決めておきたいと思いますがいかがですか?」

「そうだね。異論は無いよ」

「では、ジョゼ大佐を呼びます」


 私は隣のドアを開けるとそこに控えているジョゼ大佐を招きいれた。


「えっと、彼は……」

「ジョゼ・ベルチアーノです。特殊部隊所属です」

「うん、うん。シャルロッテから聞いているよ。騎兵が奇襲した混乱にまぎれて、敗残兵を装ってハーマンベルに進入したんだよね。危険な任務を良くこなしてくれた。感謝するよ」

「過分なお言葉、痛み入ります。今回は偶然、逃亡中のジョルジオ将軍に出会ったのが幸運でした。

将軍を助けた者として、その後の活動が楽になりました」

「その後の活動? 夜襲の時にジョルジオ将軍やドルベルマン男爵を拘束する以外にもなにかやっていたの?」

「ジョゼ大佐には占領下のハーマンベルで誰が反乱軍側なのか、そうでないのかを見定めてもらう任務もありました」

「え、そうなんだ」

「はい。ではジョゼ大佐。あなたの見立てをセドリック様にお聞かせしてください」


 視線をセドリック様からジョゼ大佐へと目を向ける。ジョゼ大佐は背筋をぴんと伸ばしておもむろに口を開いた。


「そうですね。ドルベルマンとその幕僚は完全に黒ですね。それから東西南北の四つの守備隊の隊長クラスも反乱軍陣営の人間だと思って間違いないです。

大隊、中隊の将校はグレー。上の命令に従っていただけ、と言えなくもないです。表立って反乱軍にさからった連中はみんな軟禁か処刑されてるようです」

「処刑!?」


 セドリック様の驚きの声が執務室に響き渡った。その表情は鎮痛な面持ちだった。

  

「処刑された者の遺族には十分な恩賞を出すように手配いたしましょう」


 なんの慰めにもならないとは思いながらも低く小さな声でそう提案をすると、セドリック様はだまって小さくうなずかれた。私は話題を切り替えるために無駄に大きな声を出す。


「さて、その結果を聞くとハーマンベルの守備隊は一旦、解体すべきですね。

中隊クラスの将校も疑わしいとなると、いつまた反乱を起こされるか分かったものではないです。

ハーマンベル守備隊をごっそり王都に送り、全将校を軍法会議にかけるのが良いと思います」

「守備隊を丸ごと王都に送る?

えっとジョルジオ将軍とかも?」

「いえ、ジョルジオ将軍たちは捕虜なので、私たちの軍法会議にかけることはできません。

ボナンザンと結んでいる捕虜の取り扱いに従うことになります。

大抵保釈金を積んで解放という形になりますかね。ただし、今回の反乱の調査のために暫くは事情聴衆をすることになるでしょう。

まあ、どうせなにも知らないの一点張りかと思いますが」

「ふ~ん。ところで守備隊をごっそり王都に送ったらこの間のハーマンベルの守りはどうするの」

「代替え部隊の要請はしますが準備に時間がかかります。その間は私たちが担当することになりましょう。

代わりの部隊が来るのに1ヶ月ほどかかると思います。まあ、休暇と思えば良いと思います」


 と、言いながら私はセドリック様へゆっくりと近づく。


「たっぷり時間がありますから、ゆっくりと今後の私たちについてのお話ができると言うことです」

「こ、今後の僕たちのことって……」

「勿論、私たちの婚約のことです。ハーマンベルを鎮圧したらお話をするという約束でしたよね?

お忘れですか?」

「えっ? いや、そんなことはないよ。ちゃんと覚えているさ。だけどさ、これを見てよ」

 

 セドリック様は机を指差した。そこにはたくさんの書類が山積みになっていた。


「今日中に決済しないといけない書類がこんなにあるんだよ。ケルビム伯爵の代行を任されているからね。だからさ、これを片付けてから話をするでいいかな?」


 私は書類とセドリック様をゆっくり交互に見つめてからにっこりと微笑んで見せる。

 セドリック様も釣られて笑顔を返してきた。ほんのちょっとだけ引きつった笑いだった。

 

「こんなものは!」


 やおら書類の束をひっつかむと部屋の隅で、ぼうっとした表情で控えていたミゼットへとつかつかと歩いていく。そして有無を言わさずに押し付けた。ミゼットは反射的に書類の束を受け取ったものの、状況が理解できず、「へっ?」というような表情で固まる。


「ミゼット。あなた、これを読んで決済と却下に仕分けて頂戴」

「ちょ、ちょっと、それは駄目でしょう」


 ミゼットより早く、セドリック様のほうが反応した。


「彼女にそんな判断をさせるなんて無責任すぎるでしょう」


 ミゼットもようやく状況が理解できたようで、書類の束を抱いたまま、こくこくと激しく首を縦に振り、セドリック様の主張に懸命に同意する。


「無責任ではありません。だって責任はとりますもの」

「……意味がわかんないよ」

「そもそも、セドリック様のところまで上がってくる書類は決裁するか却下するかの意思決定を求められているものばかりです。

具体的な手順とか方策を考えるわけではないのですから誰がやっても同じなんです。極端な話、サイコロ振って決めたっていいんです。

セドリック様のような立場の方は、やると決めたこと、或いは逆にやらないと決めたせいで何が不都合なことが起きた時に責任を取るのが仕事なんです。要は責任を取る覚悟を決めるのがお仕事です。だからミゼットが決めた結果をまるっと飲み込んで全責任をとる覚悟があれば別に無責任でもなんでもありません」

「えーーー、言っていること無茶苦茶だよ」


 「よいですか」と私は、セドリック様の叫びを無視して、ミゼットへずいっと顔を近づける。


「セドリック様は、あなたの決定の責任を取る覚悟を決められました。無論、私も責任を担います。

なので、心して書類を吟味して決済しなさい。

何かあれば、私たちが責任を取りますが、あなたも道連れですからね。どうなるかは分かっていますね」

「ひぇ~~」

「『ひぇ~~』ではなく『はい』でしょ」

「ふぁいぃ」

「よろしい。では机に向かって直ちに作業にとりかかりなさい」


 私がセドリック様の机を指差すと、ミゼットは弾かれたように駆け出した。


「え、えっと、これは……」


 ミゼットに押し出されるように椅子から立ったセドリック様は困惑したようにつぶやく。


「さあ、私たちは散歩、いえ、ハーマンベルの視察に参りましょう。折々、今後の私たちについてのお話もしましょう」


 セドリック様の腕を胸に抱くと半ば引きずるように執務室を後にした。

 背後から涙目になって必死に書類を決裁するミゼットの呟き声が追いかけてきた。


「これは決済。こっちは却下。却下、決済、決済、却下。

うぇ~ん、なんで私がこんなことを……

却下、却下、決済、却下、決済、決済……」


□ 


「さすがファーセナンでも有数の古都市ですねぇ。

史跡がいたるところにあります」


 我ながら、気分が高揚していることが分かる。

 セドリック様と観光名所を誰の目をはばかることなく楽しむ。

 実はずっと、そういうことに憧れていたのだ。

 だが、セドリック様の王族という立場が邪魔になってなかなか実現させることができなかった。そんないわば宿願ともいえる願いを思いもかけず叶えることができた。

 これが興奮せずにいられるものですか。


「あっ! あれってもしかしたらハーマンベル名物のクルミルクパンケーキでわ!」


 道端の露店からおいしそうな匂いが漂ってきていた。セドリック様の手を引いて、そのお店へと向かう。


「うん。クルミルクパンケーキみたいだね」


 セドリック様の言葉にお店の女の人が柔らかい笑顔で応えてきた。


「はい。ハーマンベル名物。クルミルクパンケーキです。お一ついかがですか?」

「そうだね。でも、クルミルクパンケーキは秋限定販売じゃなかったっけ?

こんな冬の遅い時期まで売っているなんて珍しいね」

「あらま、良くご存知で。

そうですね。いつもなら原料の胡桃クルミが無くなってしまって秋の終わりごろには作れなくなるんですけどね。今年は反乱騒動があったでしょう。それで全然売れなかったんですよ。私らだけでなく、ハーマンベルの町のいたるところが商売上がったりでした。とにかく鎮圧してもらって助かりました。

お客さんたち、鎮圧軍の方なんでしょ? 

サービスさせてもらいますよ」

「えへへ。ではお言葉に甘えましょう。二ついただけますか。

えっとここで食べられますか?」

「はい、はい。毎度です。

すこし寒いですがそこのテーブルをお使いください」


 店の人に案内されたテーブルに座っているとふわっふわのパンケーキと暖かい紅茶がでてきた。


「ああ。おいしい。やはりクルミが最高ですね。噛めば噛むほど甘みが増します」

「そうだね。このクルミはこの地域でしかとれないからね名物だからね」


 おいしいパンケーキと紅茶を堪能する。

 パンケーキも美味しかったけれど何より目の前にセドリック様がご無事でいる喜びを噛みしめる。

 なんだか昔にもどったような錯覚に陥る。


「すみません。後、二つパンケーキをお願いできますか?」


 お店に人にお願いするとセドリック様が驚いたような顔をした。


「いや、すごい食欲だね」

「もう。ちがいます。私が食べるんじゃありません。

ミゼットとカルディナの分ですって。

特にがんばっているミゼットのため……」


「あーー、すみません!

二つじゃなくて三つにしてください。包んでもらって良いですか?」


「ミゼットは特別に二つ買っておきましょう」

「ふーん。あいかわらず優しいね」

 

 優しいのはセドリック様のその瞳です、と私は思った。


セドリック様は頬杖をついて私の方を静かに見つめてくる。


 うう、そんな目で見つめられると、全身がこそばゆいです。


 必死に何気ない風を装う。


「あのたちは戦友(ともだち)ですから」


 ああ、真冬なのになんでこんなに顔が熱いのかしら。どうか顔が火照っていることが気づかれませんように!

 

 一度、深呼吸をして心を落ち着ける。

 そろそろ頃合かな、と思う。


「ねぇ、セドリック様。

そろそろ本題に入りましょうか。

そのつまり、私たちの婚約の「その件なんだけど」」


 セドリック様が声が私の言葉を遮った。


「その件なんだけど。少し待ってもらえないか」


 意外な言葉に息苦しさを感じるほどに心臓が震えた。

 まさか「待て」といわれるとは。

 それは、それは、一体どういう意味があるの?!


「何故です! 

ハーマンベルは無事に攻略できました。後は王室に戻り、以前のような生活をするだけです。もうセドリック様のお命が危なくなることはありません。ならば婚約をお認めになってくれても良いではないのですか?

それともセドリック様は私のことがお嫌いになられたのですか?」

「ちがう。ちがう。嫌いなものか!」

「では、なぜ、『待て』なんておっしゃるのですか?」


 セドリック様は大きくため息をつかれた。


「あまりおおぴらにはいえないのだけれども。今、僕の立場は非常に微妙なんだよ。

父上……、国王陛下や兄上たちが僕を排斥しようとしている気配があるんだ。

今回はうまく行ったけれど、次があるかもしれない。いや、多分、あると思う。そして、次も上手く行くとは限らない。

だから、シャルロッテとの婚約を元に戻すのは早計だと思うのだよ」

「例えそうであっても、いえ、ならばなおさら私と婚約をしてください。ベルガモンド家を後ろ盾にすれば、おいそれとセドリック様を排斥できなくなりましょう」

「そうかもしれない。だけど、逆にシャルロッテやベルガモンド伯を危険にさらしてしまう可能性もある。

もっと現実的な話をするなら、シャルロッテが指摘したように、僕とベルガモンド家がつながることを嫌う連中が復縁を阻止してくる気がするんだ」

「国王陛下が復縁をお認めにならないと?」

「うん。その可能性は高いと思う」


 気まずい沈黙が二人の間に流れた。なんと言えば、セドリック様をお考えを変えることができるのか分からない。


「あの……、セドリック様はどう思われているのですか?」

「どう思っているとは?」

「私を妻に迎え入れたいと思われていますか?」

「いや、だから、今の僕の立場ではそれが「立場とか関係ないですから!」」

「立場がどうかとか関係ありません。私がお聞きしたいのは、セドリック様のお気持ちです。

私を妻としたいか、したくないか。と問うならどうお答えになられますか、と聞いています」

「その答えは、今も昔も変らないよ」

「ならば!」


 思わず席を立ち、身を乗り出す。


「セドリック様の気持ちが変らないというなら「おまちどうさま」……ふえ?」


 パンケーキの包みを持ってきたお店の人と目があって、私は言葉を途切らす。お店の人の場違いな営業スマイルに気を削がれた。

 包みを受け取ると、力なく椅子に座る。

 すると、どこか遠くから鐘の音が聞こえてきた。


「鐘の音?」

「ああ、ミシェル大聖堂の鐘の音だねぇ。ハーマンベルの見所の一つだよ。初代マクラハン王が婚礼を挙げた由緒正しい教会さね。

そりゃ、豪勢だからぜひ見ていっておくれよ」


 大聖堂。

 初代王の婚礼。

 ふと、頭にある考えが閃いた。



 深夜。ノックの音がした。


「カルディナです。入ります」


 落ち着いた声と共にカルディナが入ってきた。

 

「待ってたわ。あら、ミゼットは?」

「ミゼットは、お嬢様に無茶振りされた仕事をやっております」

「えっ、まだやっているの?

結構大変なのね。可哀想にこんなことならもう一枚位余分にパンケーキ買ってあげればよかったかしら」

「パンケーキの二、三枚でおっつくとは思いませんが」

「まあ、いいわ。

実はね、今日ね、セドリック様と話をしたのよ。再婚約の話。そしたら暫く待ってくれと言われたわ。

自分の王家での立場が微妙だから婚約を元に戻したら私に迷惑がかかるかもしれないって理由。

どう思う?」

「妥当なお考えだと思います。

そもそも王子がこんな辺境の城塞都市攻略を命じられる時点で詰んでますと私は進言したと思います。

お嬢様のことを思って、私個人としては復縁をされないセドリック様を評価いたしますが、一般的な見解としては将来性なし(ノーフィーチャー)ですね」

「私は将来性が好きなんじゃないの、セドリック様が好きなのよ。セドリック様なら、むしろ、迷惑上等よ!」

「仰ってることが難解で私には理解しかねます」

「まー、その議論は今はいいわ。

本論はそれじゃない。

でね、そんな話をしてたら、ミシェル大聖堂の鐘の音が聞こえてきたのよ。そこで良いことを思いついたの」


 そこまで聞くとカルディナはくるりと背をむけた。


「では、失礼いたします」

「ちょっ!? なにいきなり帰ろうとしてるのよ!」

「いえ、なにか良からぬ話を聞かされそうな気配しかしないので退散しようかと」

「駄目よ。あなたたちには協力してもらわないといけないから。ちゃんと聞きなさい。

良い。

ミシェル大聖堂ってのはね、セドリック様のご先祖である初代マクラハン王が前王家のマーゴット皇女と婚礼を上げた由緒ある教会なの。でね、このミシェル大聖堂ってのは十三古正教の流れを汲んだ教会で、この教会であげる婚礼は聖婚礼とされるのよ」

「聖婚礼?」

「神の御前で誓った聖なる婚礼よ。聖婚礼には何人(なんびと)も異を唱えることが出来ないとされるの。勿論、王様からもね。

そこで考えたのよ。

婚約を元に戻すとか、元に戻すには国王陛下の許可がいるとか、まどろっこしいこと言ってないで結婚しちゃえばよくね?って」

「目眩がしてきました」

「余りの名案に?」

「いえ、余りの無計画ぶり(ノーフィーチャー)にです」

「えへへ。既に大聖堂の司祭には話をつけてきたわ。後は決行するのみよ。

と言うことでカルディナたちにも手伝ってもらおうと思って呼んだのよ。

ね、お願い。協力してしてくれるわよね?

名付けて『既成事実で中央突破』よ」

「そのまんまな作戦名ですね」

「細かいことは良いのよ。

と言うことで、あなたたちにはその手伝いをしてもらうから宜しくね」



 

2020/09/19 初稿


次回、最終回(予定)「シャルロッテは諦めない」


【おまけ】


ミゼット「えっと、これは先の戦闘のさい、筏を作るために切り出した木の代金の請求書です。ハーマンベル鎮圧の際の必要経費として払わざる得ないと思います。あの辺の地域住民の反感を買うのは避けるべきで、少しお高いですが言い値を払うべきかと」

セドリック「なるほど。決済ってことね。

分かった。サインするよ。でっ、次は?」

ミゼット「次は、ですね。ミシェル大聖堂のステンドグラスの修復についての陳情です。あはははは、これ、私たちの砲撃の余波で壊れてますね」

セドリック「えっ?もうそれは決済するしかないじゃないか」

ミゼット「そうですね。ではここのところにサインをお願いします。えっと、次は……」

セドリック「うん、次は?」

ミゼット「あの、こんな風にいちいち説明してたらあらかじめ私が仕訳した意味があまりないような。そのまま、決済文書だけサインしてもらった方が早いですけど……」

セドリック「ああ、付き合わせて申し訳ないとは思っているけど、やはり自分で確認しないわけにはいかないよ」

ミゼット「う~ん、ならお嬢様の言うことを聞かずに最初から自分で見られれば良かったかと思いますけど……」

セドリック「そうだね。だけどシャルロッテが散歩したがっていたからさ。ずっと頑張ってくれてたから、少しは思い通りにさせてあげたかったんだよ。ごめんね。君に負担をかける形になってしまって」

ミゼット「……はぁ、セドリック様、優しいですぅ。

あっ、いえ、なんでもないです。

もう私、頑張っちゃいますよ!

では、次いきましょう」


【おまけ2】

シャルロッテ「現マクラハン王朝っていうのは前王家から継承されたってことになっているだけど、たんなる辺境の公爵だった初代マクラハン王が前王家の系であったマーゴット皇女と無理やり結婚して強引に王位継承権を主張して樹立させたのよね。大きな声では言えないけど略奪したのよ。その時に利用したのが、ミシェル大聖堂での聖婚礼なの」

カルディナ「なるほど。昔にもシャルロッテ様みたいに悪知恵の働く人がいたのですね」

シャルロッテ「悪知恵とかはいうな!」

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