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過去

カイロ「なんで俺が女装しなきゃならねぇんだ……!」


紫のスカートを履き、化粧をしたカイロがブツブツと文句を言っている。


プルテニス「もうここまできたら腹くくれよ……俺だって嫌なんだぞ…?」


俺は帽子を深く被り、メイクでシワを作って中年男性になりすましている。

シテナの提案というのはシンプルに変装と言うことだったが兵士学校付近までの道は俺とカイロしか知らなかった。最初はカイロとシテナが変装して行くことになっていたがそれだとメイクをする方がいないということで俺とカイロで親娘の変装をする事になった。相手もまさかカイロが女装するなんて思ってないだろう。


カイロ「おい、ちょっと待て!!」


大声で呼び止める。周りの人たちは一斉にカイロの方を振り向いた。


プルテニス「馬鹿……!声…!声…!」


カイロ「え、ああ…ねぇ……パパ…!これを見て。」裏声に直して呼び止める。


プルテニス「あ"〜なんだね。」


俺は声を少ししゃがれた声にして返事をした。

カイロが見ていたのは指名手配書が張り出されているところだった。そこには俺達第六討伐小隊のメンバーが国家反逆罪として張り出されていた。


カイロ「こ、怖いわね〜……凶悪犯だって〜…」


プルテニス「そ、そうだな。お前も気をつけるんだぞ。もう少し顔をよく覚えたい。一枚持って行こう。」


サッとカイロの手配書を剥がし路地裏に駆け込む。


カイロ「おい!嘘だろ!懸賞金までかけられててんじゃあねぇか!」


プルテニス「マジで敵はどこまで潜り込んでやがるんだぁ!?」


カイロ「しかも、懸賞金の額が尋常じゃねぇぞ。見ろ。こんな金がありゃ一生遊んで暮らせるぞ?」


プルテニス「よっぽど知られたくない事に首突っ込んじまったらしいな。俺達は。」


カイロ「あぁ、変装してきて正解だったぜ。」


と、街で情報を集めている間にお袋はホース達に余計な事を教えていたらしい。


話によると、事の発端はホースの質問だったらしい。


ホース「昨日の夜、拠点から逃げ出す寸前にプルテニスが「またか」と言っていたのですがどういう事か分かりますか?」


リン「「またか」ですか……」


キュルキュロス「おい、ホース!余計な事を聞くな。!」


事情を知っているキュルキュロスはホースを咎めたらしいが

リン「いえ、いいんです。キュルキュロスさん。恐らくプルテニスは14年前の事を言っているのだと思います。」


ホース「14年前……」


14年前。俺が6歳のころ。俺は家から近いある学舎に行っていた。しかしある日魔物が襲撃してきた。国の討伐隊も予期できない狙いだったらしい。奴らが何故襲って来たのかは知らなかった。

学舎の生徒と教師は1人残らず殺された。女は何人か連れて行かれたらしいがすぐに殺されるらしい。

俺は3歳の時から親父に武術を叩き込まれていたから抵抗した。そのおかげで重症で済んだらしい。


俺は泣いた。自分の同級生の惨殺死体を見て心を正常に保つ方が無理だろう。だが、俺が絶望したのはそんな事じゃない。親父の言葉だ。犠牲者の葬儀が行われた後も俺は泣いていたが親父は俺に向かってこう言った。「才ある者は災を呼ぶ。お前に才能があったから魔物は襲って来た。友達が殺されたのはお前が未熟だったからだ。」


プルテニス「……こんな事になるんなら……僕……そんなの要らない……!!」

俺は泣きながら必死で答えた。


親父「才能はな……捨てたりできないんだ。大切なものを護りたいんなら、その才能を開花させるしかないんだ。これからも……それが才能ある者の宿命だ。」


親父は俺を励ましたかったのかは知らないが俺は当時、そんな言葉が欲しかったんじゃない。ただ、慰めて欲しかった。痛みを和らげて欲しかった。それから俺は武術の修行に力を入れた。親父もお袋もそれを喜んでいたが俺の中ではある野望だけが膨らんでいった。それは親父を倒す事。親父から教わった武術で親父の心をへし折ってやると心の中でいつも叫んでいた。遂には妄想が1人歩きしあの時襲って来た魔物は親父が仕組んだ事なんじゃないか、なんて思い始めた。そう考えるともう殺してやりたいほど憎らしくなってきた。そして、15歳の時、親父に酔拳を使った。親父は本気で怒り、逆に俺がボコボコにされ、親父は旅に出た。

その後、目的を失った俺は非行に走っていった。そんな時にあったのがキュルキュロスだった。


リン「プルテニスも今となっちゃ、明るく振る舞ってるけど、当時はかなり荒れててねぇ。」


キュルキュロス「偶然、任務の帰りに路地裏で喝上げをしている彼を見つけたのだ。酔拳を使っていて、暴れて困ったものだがしばらく経つといきなり弟子にしてくれと頼んできたのだ。」


リン「考えてみればアイツは昔から魔物を引き寄せる体質でねぇ……外出した日にはボロボロにされて帰ってきたもんさ。ウチの主人はそれを才能だと言っていたんだけど……」


ホース「「またか」……というのは敵を呼び寄せて、僕達を巻き添えにしてしまったから…というわけですか。」


リン「詳しい事は本人しか知らないだろうけど、多分そういう意味だと……」


シテナ「ん?その、キュルキュロスさんがプルテニスにあったのは5年前ですよね?」


キュルキュロス「あ、ああ……そうだが……あ!」


シテナ「そうですよ!キュルキュロスさんがプルテニスを捕まえたあの日!喝上げされてたのは私ですよ!」


イリス「え!?じゃあ、貴女の言っていたトラウマの暴漢というのはプルテニスのこと?」


シテナ「そ、そう…なりますね…」


リン「全く!情けない!女の子を襲うなんて!」



その頃俺は。


プルテニス「ひぇ……!」


カイロ「どうした…?」


プルテニス「いや、ただ……悪寒がした。」


カイロ「何言ってんだ……?」

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