勇者はモブ
不定期連載ですがよろしくお願いします!
「ここまでだ!魔王!!」
俺の前にいる勇者がこちらを睨みつけながら剣を構える。
これから始まる最終決戦の雰囲気を察知して俺の配下や勇者の仲間も身構えている。
「いや、迷惑だから死んでくれ。」
俺はそう言って勇者に魔法を放つ。
「え?」
勇者は唖然としたまま俺の魔法に反応できずに死んでしまった。
勇者の仲間と俺の周りにいる配下たちは唖然としている。
「ついでにお前らも死ね。」
勇者に放った魔法と同じものを勇者の仲間にもぶつける。
残ったのは俺の配下たちだけになった。
「じゃあ今日のノルマ終わったんで上がりますね!
お疲れ様でした〜。」
唖然としている配下たちに告げて俺は鎧を脱ぐ。
魔王の鎧ってクソ暑いんだよな......
さっさと家帰ってシャワー浴びてぇな。
というわけで自己紹介。
俺の名前は清水康太 (シミズコウタ)
新卒1年目の22歳、職業は異世界派遣業だ。
なんでこんな変な職業になったかというと....
「コウタさん?何をぶつぶつ言ってるんですか?」
回想に入りそうになった俺に話しかけてきたこいつは俺の上司で神様のエメだ。
「ちょっとな.....俺なんでこんな仕事に就いちまったんだろって思ってただけだ。」
「そんなこと言われても辞められたら困るので逃がしませんよ!!」
「辞める気はないから安心してくれ....
給料の払いも良いからな。」
「そう言ってもらえると助かります....
では元の世界に帰りましょう、今日もお疲れ様でした。」
エメの労いとともに俺たちは光に包まれた。
.......何回味わってもこの光眩しいな、サングラス買うか?
なんて考えてたら事務所に着いた。
「コウタさん改めてお疲れ様でした。
明日もよろしくお願いしますね〜」
「おうおう、ありがとな。
ところで明日の現場はどんなとこ?」
「明日は勇者さんのサポートで村人役ですね。
コウタさんが上手にサポートできないと勇者が魔王を倒せません。」
「責任重大だな....わかった明日もよろしくな。」
「こちらこそ、よろしくお願いしますね!」
お互いに挨拶を交わして俺は事務所を出た。
家に帰るまで暇だから中断された回想に入ろうと思う。