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役目を背負った少女は当主となる  作者: mio
サンタリア家のお役目
23/27

20


「お久しぶりです。

 体調がよくなりましたので来ました」


 体も休まり、久しぶりにリュクドリーンのところへ行くと、前よりも元気がないように見えた。すぐにリュクドリーンに魔力を分けると、お礼を言われた。


《体調がよくなって良かった。

 今日はもう少しここでゆっくりしていくといい。

 そういえば、あそこになっている実は、そろそろ食べごろとなる。

 少しこちらへおいで》

 

 リュクドリーンに案内された場所には実をたくさんつけた木が生えていた。ミレティアは促され、一つ食べてみると、とてもおいしい。柔らかく、とても甘いそれを今まで食べたことはなかった。

 ミレティアが何の実だろと、観察しているとリュクドリーンはふふ、と笑った。


《それは、ここにしか生えていない木だよ。

 本当に繊細で、エネルギーが満ちているここでないと、育たないんだ》


 ミレティアがエネルギー?と首をかしげていると、リュクドリーンは説明をしてくれた。


《この国が肥沃な大地を持っているのは知っているだろう。

 それを支えているのが我のもつ、特殊なエネルギーなのだ。

 このエネルギーは木々にとっての栄養となる力を持っている。

 そのため、我のエネルギーをこの国の地下全体にいきわたらせることで、この国を肥沃な大地にしているのだ。

 だが、国全土を覆っているだけあり、それには膨大な量が欲しい。

 ここになっている力を多くため込んだ実からも摂取できるが、それでは足りないことがある。

 そこで、サンタリア家の者から直接もらい、効率よく多くの力を手に入れているのだ

 そのため、当主には役目という形で、ここに来てもらっている。

 ミレティアが持つ魔力にも木々にとって栄養となる力はもっている。

 覚えはないかい?》


 そう問われて、ミレティアは、サンタリア家の庭でのことや、自分の家の庭に植えた木のことも思い出した。ミレティアが手を触れると、木は元気を取り戻したし、家で育てたフルーツは朝市にもっていくと、すぐに売れるほどおいしかったという。


《心当たりはあるようだ。

 そういえば、下町に住んでいた頃は庭に木が生えていたのではないか?

 あれらはここを出ると聞いた時、我がフランシアに渡したものだ。

 あれらは、魔力を貯め込み、育ちがはやい上に、一般に売られるものと見た目が変わらない。

 そのため、最も適していると思ったんだ》


 今更ながら知ったミレティアは、少しぞっとしていた。自分はお客さんに何を売っていたのだろう、と。

 まだ何事もなかったからよかったものの、という話である。ミレティアはそれすらも説明しないフランシアに、文句を言いたくなった。


 少しリュクドリーンと会話をした後、ミレティアは再び書庫へと来ていた。フランシアが何を書いていたのかを見るためである。一度は古代文字を読めるようにはしたものの、ここ数年間全く使わなかったため、すらすらと読めるのはペンダントのものだけとなってしまった。

 ミレティアは仕方なく、本棚にあった古代文字と現代語を見比べることができる本を持ち出し、ゆっくりと読み進めることにする。


 始めの方のページはまだ、字が幼い。正式に当主を先代から引き継いだころから日記は始まっているようだった。

 そこには、屋敷ではずっと寂しかったが、役目を果たすようになり、リュクドリーンと出会ったことでそれがなくなったと書かれていた。

 たしかに、リュクドリーンは自分のことを優しく、見守るように見てくれている気がして、親、という感じがするのだ。きっと、リュクドリーンのおかげで歴代の当主たちも優しい性格に育ったのではないか、とミレティアは思った。

 多くのページはその日あったことを書いているようで、少し確認した後、ぱらぱらとページをめくっていく。


 ミレティアが手を止めたのは、最後の方のページだった。

 そこには、フィカルトを好きになってしまい、どうしたらよいかわからない、というようなことが書かれていた。

 当時フランシアには、家に無理やり押し付けられた婚約者がいたが、フランシアは相手に愛情を抱いていなかった。相手にしても、フランシア自身が好きなわけではなく、その美貌と権力のみを目的としているような状態だった。

 そんな中、フランシアはいつものように王宮へきているとき、ばったりと会った青年がどうしても忘れられなかったようだ。相手も自分に純粋な愛情を伝えてくれて、この人と一緒になりたい、とフランシアは思ってしまった。

 しかし、最初に見たときからわかっていたが、フランシアはサンタリア家当主、フィカルトは王族。そのことに思い悩むフランシアの姿が、日記には書かれていた。


 父との出会いなど聞いたことがなかったミレティアは、そのころには昔の感覚も思い出し、次々と日記帳を読んでいった。


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