第7話、『あの野菜の生命力は偉大だった』
ぐぅ〜〜の音を鳴らして膝をつく。
そして感じるのは腹部に感じる強い違和感。
「────!?」
「やばい、そういえば 目覚めてから何も食ってなかった」
恐竜みたいな生物に襲われたり、
人類が消え去った大都市に絶望したりと、
驚きの連続で、自分の身体の事を忘れていた。
「──!」
「大丈夫…じゃない。かなり限界かも」
少女の持ち物には食料はない。いや、ナイフ以外の持ち物はなかった。
『食べ物・食べたい』とジェスチャーしても、少女は『分からない』と返してくる。
「ははは、それじゃあ次の目的が、決まったな…」
決心して立ち上がる。
次に目指す場所が決まった。
「食料品店を探すか。と言っても 食べ物があるかどうか…」
人類が消えた都市だ。
もし何かを理由に避難していたら、食料を全て持って行った可能性が高い。
残っていたとしても 賞味期限を遥かに過ぎているだろう。
「とにかくお店をっ…………あぁ、限界だからお願いするよ」
「──♪」
「ああ 頼む。方向はあっちだ」
彼女に背負われながら、お店がありそうな場所を指差す。
少女はその意味を理解し歩き出した。
そして、
「この中に入ってくれ」
錆びた看板には野菜をデザインしたキャラが描かれていた。
たぶん食料品店なのだと、店内に入ってみる。
ガラスの破片、
砕けたコンクリート、
隙間から生える草、
見慣れた光景を進みながら棚を見るが、
「やっぱりすっからかん…」
「──?」
「残っていても、食べられる気がしない」
身体を降ろしてもらい、棚の底を覗くが何もない。
無駄骨だと思いながらも、探さなければならない。
でなければ空腹で死ぬかもしれないのだから。
「…ん?…っっ!!」
見つけた。記憶が正しければアレは!
「モヤシ!」
「──!?」
「流石はモヤシの生命力。こんな場所でも生えるとは…」
野菜売り場らしき場所に生えた野菜『モヤシ』。
節約を考える主婦がモヤシを家庭栽培すると聞いた事はあるが、まさかの廃墟となった食料品店で増殖を繰り返していたとは!
その嬉しさに、我を忘れてモヤシ様をモシャモシャ撫でてしまう。
「こんなに一杯あれば、しばらく空腹には困らない。あとは調理道具を見つければ」