第15話、『遺跡でインストール(少女達視点)』
「うぅ…ここは?」
「起きましたね」
シーレが目覚めると、燃える松明を持ったデリバーが目の前にいた。
そして隣を見るとチューリの横顔があり、驚いて背後に倒れてしまう。
「痛い!?、え、ここどこ!?……って!門じゃん!!」
「おんぶはもう入りませんね。ここからは歩いてください」
「じゃあキュージン君にお願いしてくるからね」
そう言って門の前に佇んでいるキュージンに、デリバーさんが文字で何かを伝える。
そしてキュージンが扉に触れて何かを言った。
すると門がゴゴゴッ!と音を響かせて動き出す。
「何を言わせたのですか?」
「『開け』と古代語で言わせたんだ。試しに私が先にワードを教えてもらいやってみたが無理だった。やはり古代人だけの特権みたいだね」
「え!?なんでそんなに冷静なの!?あの『開かずの門』動いてっ!?いや開こうとしてるんだよ!?」
「シーレがいると安心しますね。私たちの代わりに驚いてくれて逆に冷静になれます」
そして門が開き切ると、白い通路が伸びていた。
「ずっと誰の手も入っていないのに、ここまで綺麗とはね」
「古代人の技術でしょう。それと案内図を見つけました。目的の部屋はこの『インストールルーム』でしょうね」
「さっそく役立ててるね。私からインストールした『古代文字』」
「キュージンさんを隣に置くなら、これは必須機能ですからね」
「まだ言うのかい?あれは独り占めさせないよ?」
「全世界の教会に逆らいますか?こちらは正当な取引のもと、キュージンさんを頂こうとしているだけなのですがね?」
キュージンを挟みながら会話を進めていく二人。
その片手ずつに少女達は手を繋ぎ、廊下を進んでいく。
「って。私を置いていかないでよー!?」
いつの間にか奥まで進んでいた三人を私は追いかけた。
そして『インストールルーム』と表記された扉にたどり着く。
だが取手がなく、開け方がわからない。
そこでデリバさんが『開け』とキュージンに言わせようとするが、その前にキュージンが動いていた。
扉の丸い印をポンと叩く。すると扉は勝手に開いた。
「彼の知識もほしくなるね」
「同感です」
「いや渡さないからね!なんで二人でキュージンのこれからを話し合ってるの!」
そんな会話が続きながら、見覚えのある空間に踏み入れた。
『開かずの扉』の中以外にも、このインストールルームは存在する。
そこと見比べて、同じ作りなのだろうと察しがついた。
だから起動方法も分かり、まずは、
「ちょっと何!?何で私が最初なの!?」
「『開かずの門』の中にあるインストールルームですので何があるか分かりません。と言うことでまずはシーレさんで実験してみようかと」
「それっておかしくない!?」
「おかしくないさ。この中で一番の適任は君だよシーレ」
「デリバさんがおかしいですよ!?それに私まだ空き容量を用意してませんよ!!」
「インストールルームであれば私たちの方で勝手で削減できるのは知っているだろう。気にしないでくれたまえ。ちゃんと不要な機能だけ消すようにするさ」
「いやぁぁああああ!?この犯罪者ぁああああああ!?」
チューリが持つ機能。『鎖の創造』によって銀色の鎖が作られ、シーレが芋虫のごとくグルグル巻きにされて放置される。
そしてデリバの操作によってインストールルームが起動した。
────────。
「あ、改めて初めまして。シーレと申します」
「こ、こちらこそ、キュージンと申します」
ようやく会話ができるようになりました。




