表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/18

第13話、『商人の少女と出会う(少女視点)』

「おや?シーレかい?」


「デリバさん!?」


街に向かう途中の夜森で、焚き火を見つけて近づくと顔見知りに出会った。


大きなリュックに体全体を覆い隠すフード付きコート。


彼女の名前はデリバ。

私と交友がある商人だった。


「すごい偶然だね。外で会えるなんて」


「いつもは街ですからね!いつも色々売ってくれてありがとうございます!」


「相変わらず元気だね。それで?その抱えているのは誰だい?」


「あ、この人はキュージンと言って、ちょっと訳ありで…」


「ほぉ?詳しく聞いても?」


デリバさんは良い人だ。

そして物知りでもある。

私は信用してデリバさんに全て話した。


「それは本当かい!?」


「わ!?急にどうしたんですがデリバさん!?」


「もしその話が本当ならすごい発見だよ!ちょっと待っててくれ、何書けるものを」


デリバさんはリュックから書き道具を取り出して、そこに書いた内容をキュージンに見せた。

それは私の知らない文字だったが、どこかで見覚えがあった。


「──!?──っ──!?」


すっごく驚いてる。

もしかして、


「すまない。文字は書けても、会話はできないんだ。はい。これを」


デリバさんが書き道具をキュージンに渡す。

するとデリバさんが書いた文字と似た文字が書かれていく。


「ほぼ確定だね。キュージン君は古代人だよ」


「こ、古代人?」


「大昔に生きていたこの世界のご先祖というやつだ。運が良いのか、悪いのかは知らないが、シーレが彼を目覚めさせたと思うよ」


「え?もしかして私のせいでキュージンが大変な目に?」


「どうだろうね。それを今、キュージン君に聞いているところだよ」


キュージンが今も書き続けている。すっごい長文だ。それだけ必死に何かを伝えたいということが分かる。


「あ、どうしてデリバさんは古代文字を知っていたんですか?誰も知らないと思ってました」


「私は商人だからね。売れるものを探しに、古代人が作った遺跡によく行くのさ。そこで良い物を見つけるために、『古代文字』のインストールは必須なんだよ」


「す、すごいです。インストールできるのは聞いたことがありましたが、本当に入れている人がいるなんて…」


「容量の問題だね。私は基本戦わないし、機能を減らして容量を空けているんだよ。不足している機能は道具で補っているからね」


と、デリバさんは黒い石と鉄をカチカチ鳴らして火花を散らせる。


私は指先から火を出せるが、デリバさんはそれをしない。

その火を見て、私は思い出した。


「あ!知ってましたか!実は木の棒と板を擦り合わせると火が起こるんですよ!」


「うん。知ってたね。皆んなは知らなくて当然だよ。だって火をつける機能は必須というくらい皆んな入れてるからね」


「うぅ〜そんな〜。歴史的発見も思ったのに〜」


「視野が狭いね。まぁ火の機能は必需だから。普通は気づかない。良い勉強になっただろう」


「…………はい。勉強になりました。なのでアインストールしました」


私は、私の中から火を起こす機能を削除した。


「な!?いきなりだね!?」


「今は容量を削減したいんですよ。これからデリバさんから『古代文字』のインストールをしなきゃですから。それと会話もしたいので、『古代語』をインストールできる場所があれば教えてください」


「痛っ!?ちょっ!いきなり頭を押し付けないでくれ!私は耐久関連の機能もほぼ無いんだ。君みたいに丈夫じゃないんだよ!」


「じゃあそれもアインストールしなきゃですね」


「しない方がいいよ!それは戦う君にとって結構重要だからね!」


必死に止めにくるデリバさん。

そして容量を確認して、デリバさんの中にある『古代文字』の機能を私にインストールする。


「インストールするためとはいえ、本当に捨ててしまったね。『望遠眼』『水上歩行』『無呼吸行動』…他色々と」


「どうせ再インストールできるので大丈夫ですよ。持ってる人、皆んな覚えてますから」


そして私は彼が書いている文字を理解できるようになった。


「どうやら彼はコールドスリープという古代の兵器によって、目的のために眠っていたみたいだね」


「その目的は……え、病気?」


私とデリバさんが理解していると、キュージンが胸を苦しそうにし、突如と血を吐いた。


「キュージン!?」


「これは大変だね!?シーレ!君は治療関連の機能を持っているかい!?」


「自己治癒用しか持ってないです!他者には使えません!」


「くっ!私も持っていない!すぐに街に行くぞ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ