表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/9

1-8.台風、夏、俺、あの丘

前書き

1-7と1-8の誤字修正。毛の回転追加しました。


 いつの間にか、あの丘に到着していた。


 小高い丘の上に、お社の両側から参拝できる一社両拝式の小さな小さな神社と、小さな灯台があるいつもの場所。

 親父と母さん、俺と妹、それに“あいつら”との想い出が詰まった、大切な場所だ。


 親父は転がり落ちるように車から降りると、後ろに積んである観測用の機材を急いで運び始めた。

 相変わらず訳のわからん機器を並べて、次々と起動させてはデータを見る親父。


「《大気エアロゾル粒子(空気中の粒子)》に夜光虫を確認した! やはり、台風で巻き上げられているのか!」


 何を言ってんのかわからんが、親父大興奮だな。


「夏雄くん! 今日はあの時に近い! 必ず“何か”変わったことが起きるはずだよ!」

「ですね。わかります」


 ああ、“何か”は起きてるだろうよ。

 親父の後ろでクソ雑な相槌を打ってる女が、まさにその何か変わったことの塊だろ。


「それなのに、なぜ光らない! お社にも灯台にも変化はない! なぜだ!」

「なぜでしょうね」


 親父。それは、親父の言ってることが、ただのオカルトだからだよ……。

 そう、俺の親父は――



「頼む、光ってくれ! そして、あの時のように導いてくれ! 粉雪ちゃんと母さんを生き返らせるためにッ! “異世界”へッ!!!!」



 俺の親父は、心が、壊れていた―――。




「異世界なんか糞ですよ、お父さん」


 あと銀髪女、お前は黙れ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ