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1-5.台風、夏、俺、親父


「……お邪魔だったかな」


 いやその間はなんなんだよ親父。

 さっきまでの興奮していたテンションはどこへ消えたんだよ。

 嵐のように飛び込んできたと思ったら、薄布銀髪女を見た途端にトーンダウンとかコレ絶対何か勘違いしてんだろ。


「“お久しぶりです”お父さん。夏雄のセフレです」


 シバいたろか!


「はい。はい。そうじゃない? 間違えました。肉便ムググッ」


 咄嗟に銀髪女の口を塞ぐ俺。

 オイ。今なにをどう間違えようとしたんだよ。わざとか? わざとなのか?


「あっ、と、そうか。夏雄くん、うん。なるほど。そうか、なるほど……」


 おい親父、なるほどってなんだよ?

 何がなるほどなんだよ言ってみろよ親父っ。


「親父。何か盛大に勘違いしているようだが、こいつは勝手にウチに侵入してきたガチの不審者であってだな」

「そんなことより、大慌てでどうしたのです? 何か急ぎの用事があるとみましたが。私の家畜、ではなく、コブタ、でもなく、はい。はい。ですね。私の夏雄に何か用でも?」


 オイわざとか? わざとなんだろ?

 それになんで不法侵入の薄布銀髪痴女が勝手に話を進めてんだ?

 話を戻しやがるから親父のテンションが戻っちまったじゃねえかっ。


「そう! 夏雄くん! 台風だよ! 台風が来たんだよ!! 今回の台風は“あの時”に少し似ているんだ! だから、今度こそいけるはずだよ!」

「あー、親父、それは……」


 マズイな。また恒例のアレが始まった。


「さあ、夏雄くん! 車に乗って! 行こうあの丘に!!」

「いや親父、今回の台風はいつもよりヤバイんだって。避難勧告も出てるし、この部屋の惨状を見りゃわかんだろっ?」


 いつの間にか窓枠も外れ、ある意味バリアフリーとなった場所に親指を向けた。

 我が家に避難しようとやって来たノラ猫の一匹が、強風で『ナ゛ァァ~ゴ』と情けない声を出しながら転がっていったので、しゃあなしに拾ってやる。

 天気予報によるとそろそろ弱まるらしいが、普通ならば外出は避けるだろう。普通ならばだが。


「夏雄くん……」


 そんな寂しそうな目で見るなよ親父。

 まあ、元はと言えば俺の責任だしな……。


「わかったよ親父。ただし、安全運転な」

「もちろんさ! じゃあ行こうっ!!」

「私も付いて行っていいですか?」


 おい何を言ってんだこの女は。駄目に決まってんだろーが。

 そんなこと親父が許すはずが


「いいとも!」


 いいともじゃねーよ!!



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