1-3.台風、夏、俺、電波
「そこのヨクネテル・コブタ種よ。名を名乗りなさい」
おい。
さっきヒルネテル・コブタとかなんとか言ってなかったか?
「いやアンタが名乗るべきだろ。ここは俺の家だぞ? アレか、親父の知り合いか?」
ま、まさか親父の愛人的な何かじゃないだろうな?
……まあ、親父に限ってそれはあり得ないか。母さん一筋だしな。親父、俺は信じてるぞ。
「私ですか? 私はミルネリーア界の《システム・リリア》。3億17歳です。それが何か?」
おや?
ふざけてんのかな?
「はい。はい。えっ? なんです? 異世界から来たってバレないように静かに話せバカっ? バカと言う方がバカなのでは? あっはい。わかりました……チっ」
なんだこの女は。
「すみません。さっきのは無しでお願いします。私は夏吹冬華、永遠の17齢です」
なんだこの女は!
「いやさっき17歳の前に3億みたいな数字が付いていたような気がするのだが……?」
「ジョークです。今なら聞き間違いということにしてあげてもいいですよ?」
ほんとなんなんだよこの女は。
この変人っぷりは間違いなく親父の知り合いとみてよさそうだな。
「アンタ、いや夏吹さんは、親父の知り合いなんですか?」
「は? 親父? コブタ種の父なんて知人に居るはずがな……父親の知り合いということにしておけ? はい。はい。わかりました」
だからなに小声でブツブツ言ってんだ?
俺の困惑をよそに、銀髪少女はピンッと伸びた赤いアホ毛を弄りながら天を仰いだ後、申し訳なさそうな顔を俺に向けてきた。
「はい。私はあなたの父親の愛人です」
親父ィイーッ!!