表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

1話 出会い

夜道を一人の少女が駆け抜ける。


「…こちら未来…間もなく接敵。」


未来と名乗った少女は抑揚の少ない声で通信デバイスに向かって話しかける。


「了解しました。今回の敵はC級が予想されます。未来さん、気を付けてくださいね。」


「…ん。」


通信相手に返事をすると一層スピードを上げ、大通りに躍り出た。





「ちくしょー、会合が長引いてすっかり遅くなっちまったじゃねーか。」


かたや大通り手前の路地。


一人の少年がぶつぶつと文句を言いながら、大通りに向かって足を進めていた。


「ったくこんな遅くに外歩いてる奴なんて、今時どこのバカだっての。」


その通り、JAVW収束後、異形の存在でコンピューターウイルス"常闇の魔物"の大半が消滅した。


しかし、夜間だけは別だ。


日没を迎えると少数だが、徘徊するところが散見されている。


そのせいで、日没後に外出をする人はほとんどいなくなった。





奇しくも、少年と未来、2人が大通りに出たのは同時だった。


「…危ない!!」


普段無口な彼女らしからぬ大声を上げた。


少年は、彼女の声にあっけにとられた。


背後の巨大な影に気づかずに。


そこには、巨大なドラゴン型の魔物がいた。


そして少年はドラゴンの上げた足の落下点に。


未来は人間離れしたスピードで少年へ向かって駆け出し、少年を突き飛ばした…つもりだったのだが。


数秒して、少女は自分への想像した衝撃がないことに気が付く。


それどころか。


少年に抱きとめられていた。


「なんで…?」


「いきなり突っ込んできて、危ないぞ?」


危ないのはどっちだ!?と未来は突っ込みを入れたい気持ちでいっぱいになったが、ふと冷静になり、2人とも無事であることに気が付く。


上を見上げると、見えないドーム状の障壁が、2人を覆っていた。


「なんて強度の魔力障壁なの…!!」


『おーい、踏んでるぞー。』


『む?貴様何者だ?我と話すだと?』


『おー、よかった。お前くらいのサイズなら話せるか。悪いが踏んでるからよけてくれないか?』


『も、もしや貴様大戦時の…!』


『あー、まぁその認識で合ってるよ。この辺だと邪魔になるから山奥にでも行くといいぞ、お前も厄介ごとは面倒だろう?』


『貴様に言われては仕方がない、そのようにしよう。』


未来には数秒少年とドラゴンが目を合わせていたようにみえた。


その直後、ドラゴンは翼を広げ飛び去っていった。


(…いったい何が)


「君、大丈夫か?」


少年の声に未来は茫然とした意識から引き戻される。


「う、うん…」


「あのさ、今見たことはできるだけ秘密にしてほしいんだ。」


「え?…」


「君と俺の秘密だ。頼んだよ。」


少年はそっと未来の肩に手を置いた。


未来は釈然としないままひとまず通信機のスイッチに触れた。


「こちら未来。ターゲットと接敵。撃退に成功。少年を一人保護しました。」


「ずいぶんと速かったですね?さすがは未来さん!」


「軽くけん制したらすぐに立ち去ってくれただけ…運がよかった。」


「そうでしたか。ともかくけが人が居なくてよかったです!おっと、保護者1名とのことでしたね。情報をお願いします。」


未来は少年に向き直る


「…あなたは?」


「俺は、空待優来(そらまちゆうき)だ。」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ