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7-1、受付嬢1

 どうやって帰宅したかは、覚えていない。

 ただ、帰宅したルトナの顔を見たユノがすぐに、二度目のドラゴンインストールを使って、ルトナを治療魔法で治療しようとしたことだけは覚えている。


「ちょ――! ユノ、二度目を使うな、いつまた来るかわかんねーんだぞ」


「バカじゃないですか、ご主人様! 今ご主人様の顔、酷いことになってますよ。眼球が……骨が……! というか腕!? 腕!? 何ですかそれ!!!???」


 その僅かなセンテンスだけで自分の体がどうなっているかわかった。


「さあ、俺も分からん……」


 特にそれ以上は反論せず、ユノがキュレアを数十回かけてくるのに身を任せる。

 腕はその過程で元に戻り、魔力霧散の毒も魔法で消し飛んだ。


 頭痛だけが消えない。



 一呼吸をおいて、ユノに肩を借りて立ち上がってから、話をする。

 今は玄関ホール。ルトナの部屋に、アコルテは戻っているだろうか。


「アコルテさんは……?」


「ここにはいません」


「は!?」


「ここでは守りきれないと判断して、ギルドの裏口でリーフさんに預けました」


「……わかった」


 その判断が正しいかどうかはわからないが、確かにユノのドラゴンインストールが十分程度で解けることを考えれば、他に選択肢はない。


「あとは、アコルテさんに火属性の魔法器、おそらく爆発物が取り付けられていたので、服の中から拾いあげて破壊しておきました」


「爆発物?」


「はい。龍の翼で、握り潰しました時に、ぽんと弾ける音がしたので」


「それは…………………………助かった」


 周到なものだ。ギルドで人を巻き込んで爆発されていたらシャレにならない。

 あるいはそのほうが、アコルテを助ける人間は増えていたかもしれないが、その未来ではアコルテは既にぐちゃぐちゃの死体と化しているはずだ。


「とりあえず……体に力が入らない。保存食があったら出してくれないか? 食堂で、食うから……そしたらアコルテさんを迎えに行く……急がないと」


 体はユノの治療魔法で回復した。

 しかし、全身の虚脱感が抜けない。肘を壁に付けて支えにしながら立っているような状況だ。おそらく、食事を取れば治ると思われる。


「承りました。少しお待ち下さい」


 ユノはとてとてと小走りで食堂隣の台所に消えて、二人で移動するより先に味気のないビスケットを持ってきた。

 一口かじると、胃(?)を中心に体に魔力が巡っていく。


「う、うぁあ、っぐぅぅぅぅ……」


「ど、どうしました? 大丈夫ですか? かびてましたか!?」


「違う……なんか……止まってたのが急に動いて……凄い体内で突き上げが……でも大丈夫」


 手をぐーぱーと握って、とんとんと飛び跳ねる。

 歩ける。


「続きを食う。……数分で作れるようなもんがあれば……作ってくれ。多分、食えばちゃんと回復するから。完全回復ではないだろうけど、……十分を目処に、ギルドに走って向かう」


「十……プン?」


「八半時未満を目処に、ギルドに向かう」


「かしこまりました」


 ユノの返事を聞いてから、重い足で、食堂に向かって歩く。支えはいらないが、体がめちゃくちゃ重い……ユノの普段の歩く速度よりはるかに遅い。押し隠して、笑顔を作った。


「何がある?」


「パンはあったはずです。干し肉を炙って挟みます。野菜は……今はいいですか?」


「それは良い。別にいいよ野菜なんて。言われれば……肉が食いたくなってきた。クソ……腹減ったな……ちなみにユノはこの家で待機してたのか?」


「はい。待機だけじゃなくて、……あご主人様気をつけて下さい!」


「え? ぐッべ!!!」


 ユノの注意は遅く、ルトナは廊下に存在する何かに足を引っ掛けられてつまずいて顔からすっ転んだ。

 胸がなければ歯を折っていたかもしれない。

 後ろを見ると、廊下の視認しづらいところで、高めの位置にぴんとロープが張られている。


「……いふぁい……うう……」


「す、すみません! 注意が遅れました……」


「気をつけてね……」


 何をするためのものなのかはわかるので、涙目で許す。


「あと、奥側の階段には仕掛けがしてありますので、ちゃんと足元を見ながら移動して下さい」


「マジかよ。……はは、了解」


 罠自体はアコルテの指導によるものだろうか。簡単で、なおかつ効果的な罠だと思う。ここに侵入してきたら、侵入者をできる限り龍の力抜きで撃退するつもりだったのだろう。


(スゲエなオイ。ちょっと気が滅入ってたけど、俺も負けるわけにはいかねえ)



 ギルドでアコルテは無事だった。

 リーフレッタからアコルテの身柄を受け取り、帰宅する。

 二人は頷きあって、それで挨拶が終わったらしい。

 随分とまあ、親しい間柄だなと思う。


 ルトナとユノが揃っている間は流石に手を出す気が起きないのだろう、接触はなかった。気配はあったが。



 ルトナは、ユノのドラゴンインストールが解けた時、少し違和感を覚えた。


「あれ? ユノ……お前」


「? なんですか? 特にだるさもありません。一度目から半日経ちましたから、きっとこんなものでしょう。それとも体に馴染んできたのですかね?」


「左目が……」


「?」


「いや……今少し」


 力がほどけたあとも、左目が青い蛇の瞳のまま、少しの間戻らなかったように見えた。


 そして気付いた。

 ユノのドラゴンインストールは、今日三度目だ。


(………………大丈夫、なんだよな。本人は大丈夫だって、言ってるし。……今度時間がある時にちゃんと話し合って、……龍の巫女ってのがどんな存在なのか、分かる人に聞かないと………………)



 ルトナが一人で見張っている隙に、ユノにはあるものを買いに行かせた。

 ルトナはトイレをしないし(我慢すれば)、睡眠も要らない(我慢すれば)。起きてさえいれば、誰にも攫わせない自信がある。


 買いに行かせてから、心配になった。

 ルトナが残ったのはアコルテの脱走対策だが、ユノを一人にして大丈夫なのだろうか。ある程度まではドラゴンインストールの二度目というハッタリが効くだろうが、実際には。


(ユノの体は……大丈夫なんだろうか。ただ言ってる場合でもない……)


 一分経ったら心配になり、五分経ったらアコルテをかついで迎えに行くことを本気で検討し始めた。


 ユノは無事に帰ってきた。


「ただいま、帰りました、ご主人様」


「お、おお、よかった」


「?」


 ルトナの部屋に入ってきたユノが持ってきたのは、イザニの元に行かせて買わせた拘束具だ。売りものというわけではなく、多めの金を渡して奴隷用のを分けてもらってくるように言った。

 それを使って厳重にアコルテを拘束していく。


 と言ってもエロいレベルにまではしない。足と手をガチガチに縄と金属で固めて首輪から伸びる鎖の先を楔にして床に固定したくらい。

 ここまでする理由はただ一つ。アコルテは、ギャリイの使者とのやり取りの際、自分からここを出ていったからだ(ギルドからの帰り道、本人から聞いた)。

 いつ彼女が自分から出ていくかわからない以上、厳重に厳重を重ねて無理があるということはない。


「死なせない……死なせない、死なせない、死なせない、死なせない、死なせない、死なせない、死なせない、死なせない、死なせない、死なせない、死なせない、死なせない」


「……ルトナさん、どうしましたか……?」


「用があったら私かユノを呼んでくれ。トイレは私よりユノに言って。夜でもユノを起こすから」


「……はい……」


 アコルテは黙ってルトナに従った。



 日にち単位で、監禁を続けた。

 相手の動きはない。

 アコルテの傍には必ず一人以上が控えるようにした。


 しかし、難しいのが睡眠だ。

 ルトナは睡眠は必要ではない。けれどユノはそうではない。そうではないどころか、ちゃんと睡眠を取らないと体調を崩しやすい。だから、夜に控えることが難しい。


(クソ……二人で誰かを守るということが、ここまで難しいことなのか……)


 ルトナ自身も、とうとう眠気を感じるようになってきた。

 不眠不休だとエルフの体も睡眠の必要を訴えるのか、あるいは加藤だった頃の精神に引きずられているだけなのかまでは、わからないが。

 眠い。とにかく眠い。


(ユノが起きたら、二時間だけ睡眠を取ろう)


 そう思うと、眠気はますます増える。

 体は全然大丈夫で問題ない。精神に限界が来ているのだろう。


「アコルテさん、体勢、つらくないですか?」


「……大丈夫です」


 アコルテはそのうちルトナが何を話しかけてもあまり答えないようになった。



「何も、聞かないんですか?」


「何が?」


「……え? 私のこととか……」


「そうですか。教えてくれる気になったんですね」


「……」


「……まあ、決心がついたらで構わないです。私は……私が無関係なのはわかってるんで」


「……その……」


「まあまあ。大丈夫ですよ、絶対アコルテさんは私が守りますから。安心して下さい。ね?」



「ユノさん」


「はい」


 自分の主人が睡眠をとると言い出してから二日目、主人の意向通りアコルテを監禁し始めてから四日目になる。


「ルトナさんを、止めてあげて下さい」


「……」


 主人は座りながら見張りをしているが、ユノは扉のすぐ横で立って見張る。

 戦闘力が違いすぎるため、主人のように甘えた動きをすることはできない。いつでも動けるように。いつでも、守れるように。


(……いる……)


 こちらの様子を窺っている。これは通行人ではない、それは分かる。だが、こちらから攻めに行くことはできない。


(距離がつかめない……すでに庭に侵入しているんでしょうか……くっそう……ざこすぎる……そんなことさえわからない……)


 ここを決して離れるなと命令されているユノは、この部屋を離れることができない。事実として陽動と本命の戦法を取られるとまずい。故に、侵入者を追うことができない。


 ルトナは今は、食料を買いに外に出ている。

 どちらが出るかは議論になったが、速度と安全性を考えてこうなった。

 安全性は等しい。どちらにしても、どちらも一人になる。

 なら、平常時でも狼より速く走れるルトナが出るほうが合理的だ。


「こんなことをしても、無駄です」


「かもしれないですね」


 二度目、ユノはアコルテの言葉に答えた。


「なら、ユノさんから」


「でも」 問答する必要はない。「やるんです。必要だから、やる。ご主人様の……ルトナ様の気持ちはよくわかります。大切な人をできることをしないで死なせてしまった気持ち、私には、よくわかる。なら……奴隷として従うだけだ」


 上目遣いになって、虚空を睨みつけながらぶつぶつと呟く。


「私がここにいる間は……貴方はここから出さない。絶対に、絶対に絶対に絶対に。仮にこの大陸が水に沈んでも、貴方にはここで溺死して頂きます。しかし何なんでしょう。さっきからうるさいな。私ではない誰かが何かがたくさん頭の中にいるみたいだ。この毎日は幸せだ、大切な人と一緒にいられるこの世界が、いつまでも続くと良いなって――」


 その言葉を聞いて、アコルテは悲しげに下を見た。


「やはり……脳が……ルトナさんはそうだろうなと思っていましたけど、ユノさんまで……」


「何かおっしゃいましたか?」


「……」



 そして、五日目、監禁生活は終わりを告げた。

 アコルテがいなくなった。


「こんなことをしても無駄ですってのは、監禁しても無駄って意味じゃなくて、拘束しても無駄って意味だったわけみたいですね」


 ユノが睡眠している間、敷地内に侵入者があった。

 だからルトナがそれを追いかけて部屋から目を離すと(油断していたのかもしれない)、アコルテは消えていた。

 誰もいなくなっていたルトナの部屋には、いくつもに切断された縄、綺麗に解錠された枷が、転がっていた。


 起きて呑気な言葉を吐くユノの隣で、ルトナは頭を掻く。


「監禁してんのに平然としてるなって思ってたが、そもそも彼女にとって監禁ですらなかったって感じか」


「はい」


 ため息をついた。


「まあ私も実際縄つけられようが枷つけられようがどうだっていいしな。しかし、なんでそんな逃げたがるかなぁ。もうずっと薬かなんかで寝かせておくか……?」


「ひええ。ご主人様目を覚まして下さい……」


「わかってる……」


 ルトナは硬く目をつむって頭の痛みを受け止めた。


 いざ目の前で人が殺されようとしている時、どう振る舞えばいいかなんてわからない。


 ましてや、本人は自分から殺されようとしているという追加情報がある。

 そして、どうにも本人自体は死にたくなさそうな感じもあって、この家への襲撃ではきっちり襲撃者を追い返しているというおまけつき。


(二つまでならいいけどさ……三つ目がさぁ……)


 何もかもが、わからなくなってる。

 謎解きパズルゲーム「ウミガメのスープ」で、わけのわからない情報が大量に出てきた感じだ。

 しかも今回の謎では、人の生死が絡んでいる。それもたくさん。


 どうしたらいいかわからないのだ。

 目の前で部下に爆弾飲み込ませて頭を破裂させさせる(?)やつと戦って、それで一体、ルトナに何ができるっていうのか。


(自分の生死についてはまあよくわかってる人間だったと思うけど……他人が絡むとわかんねぇ……しかも多分これ正解もなくて……結果的に皆が幸せになったら正解っていうだけでさ……)「どういう態度を取っていいかわかんないよ。だってなにもしないと多分アコルテさんは死ぬんだよ。嫌だ……知り合いが死ぬのはもう嫌だよ……


 だから、とりあえず自分が自分であれるようにって……やってて」


 独り言をつぶやきながら、ルトナは考えを更新し、目を覚ました。


「……やってる。うん、やってるんだ。……続けるぞ、ユノ」


 死にたがるアコルテをどんなだよって思う気持ちもほんのすこしだけあったが、今完全に捨てた。

 徹頭徹尾、自分の都合で生きていてほしいと思っている立場だ。彼女の行動など、はじめから関係ない。


 加藤一拠は、自殺者の気持ちがよくわかる人間だったと思う。

 だから、自殺しようとするドラマの登場人物とかに、「オマエはサイテーだ! 自殺なんて! 死ぬな! 生きろ! 生きることは尊いそれだけでいいんだ!!!!!!」とか抜かすバカを殺して回りたかった。


 今は、……自分がバカである自覚をするべきだ。

 今、自分は、殺して回りたかったバカの立場にある。

 でも、それでも、


「他の誰かなら見てみぬふりをするかもしれないけど――――」


 たとえ、本人がどれだけ迷惑がろうとも。

 マジのマジで拒絶されるまでは……


「アコルテさんには生きていてもらいたい」


 そのためなら、どんなことでもする。

 殺してでも、生きていてもらう。


 残されていたのは枷と千切れた縄だけではない。

 書き置きもあった。

 ルトナが戻ってくる前に、とそれなりに急いだのだろう。アルマ文字とベルナ文字(この世界の二種類の文字、片方は書くのが簡単)が混じった、ぐちゃぐちゃの走り書きだ。



 リーフがひとじちに

 ギルドでおつかいの人に言われました 今日が約束のひです

 かのじょはぶじで、今もギルドにいるらしいです(あいてを信じるなら)


 ユノさんを怒らないであげてください

 最良のせんたくしだったと思います


 いろいろ忘れて、このあと必ず必ずリーフに相談してご自身をちりょうして下さい

 急ぎませんが取り返しがつかなくなる 詳しくは彼女に


 嬉しくなかったと言えば嘘になります。ありがとうございました



「ユノは、どう?」


 ユノは、ルトナの言葉にほんのちょっとだけ口角を上げてから、無表情に戻る。


「私に、答えはありません。私は貴方の奴隷ですから。ご主人様がご主人様である限り、私は貴方の指示に従う。そして、……」


「そして?」


「……世界を救う貴方なら、女性一人、容易く救ってみせるでしょう」



 ルトナは冒険者ギルドに来た。

 目的は一つだ。


 力づくでは無理だ。

 抜本的な解決が必要になっている。

 アコルテが死にたがっているのを説得して止めるか、可能ならギャリイ側が何を狙っているのか判明させて潰したい。

 もう本人を直接潰すしかない。手札が少なすぎる。


 そのためにはまず、情報を集めることだ。

 今まさに、おそらく本人の知らないところで渦中に巻き込まれている、リーフレッタから。


 無事かどうかも、一応見ておく。



(大体、何の治療だか知らんが、明らかにあっちのほうが病的だろう。何がそんなに死にたいんだ。俺にはさっぱりわからん)


 リーフレッタは奥で休憩を取っているという。

 それをギルドの受付スペースの椅子で焦れながら待ちつつ、こんなことを思った。


 昔は、生きたかった。

 ずっとずっと生きていたかった。

 今となっては「死んでこっちに来て良かった~」以外の何も思わないけれど、それでもやっぱり、転生が約束されてるわけでもなく死にたがる人間の気持ちがわかるかといえばわからない。


(それともこの世界での死ってのは元の世界の死とは違うのか? 死後の世界とかがある世界なんだろうか?)


 そうとすら思えてくる。話を聞いている限りはそうではないのだろうが。


(あるいは、アコルテさんがそう信じて……? そんなタイプとも思えんが……)



「お待たせしました。ごめんなさいね」


「マジで待ちましたリーフレッタさん。マジで急いでいるんで、すみませんこっちが急いでるのに付き合わせて、でもマジで急いでて」


「言ってることごちゃごちゃですよ。ほら~~~~落ち着いて~~~~~深呼吸っ」


「いや深呼吸してるヒマはなくて」


「あらら」


 全く事情を知らないリーフレッタは、のんきな口調だ。

 でもそこに苛ついてても仕方がない。


「アコルテさんについて、私に話せること全部、教えてください」


 言うとリーフレッタはすぐ真面目な表情になった。


「マジで急いでるんです、お願いします」


 少しあって、彼女は口の中で少し呟いた。


「……それがいいのかもしれませんね」


「? すいません、それが……なんですか? ごにょごにょして聞こえなかった。あとスイマセンかなり急いでて」


 そして口を開く。


「私は、……解放教の教えが嫌い、です。あれは、過激すぎる。けれど……きっとやっぱり根っこは解放教徒なんでしょうね。『アコの思う通り死なせてやれ』と思う自分がいる。解放教では何かの為になる自殺が美徳として奨励されていて、ずっとそれを聞いて育った人間ですから、私は」


 一旦息を吐いて呼吸し、リーフレッタは言葉を紡いだ。


「そして、『死なないで欲しい』という自分も、いる。……少し待っていて下さい。出しっぱなしの書類をかんたんに整理します。奥で、話しましょうね」



 連れて来られたのは裏の更衣室のような場所だ。

 一度取り返したアコルテをユノが置いた場所でもある。

 裏口すぐ側だが、勤務時間中の今、ここには誰もいない。


「急いでいること、了解しました。手短に。できれば本人に聞いて欲しいことも多いです……だから、全部は話せない。もし今後も彼女と関わり続けるのなら、まず大前提として知っておいて欲しいことが一つあるんです」


「聞きます。なんですか?」



「アコは、あの“ミトン族”の、たったひとりの生き残りなんです」

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