EX2、アナザーチョイス・ハートキャッチv
しばらく唸ったあと、まあいいや、とミズリは自分の応手を妥協した。
「そしたらさ、結局、あんたはこの先どうするつもり?」
「どうするって、どういう?」
「エルフの一員になりたいのか、あるいは、戸籍がないからこのまま私達の勢力範囲から出て魔族の国でもいけば、……まあキツいと思うけど、あたしらとのしがらみなしで暮らせるわけ。それとも、自分を捨てた親に復讐する? エルフ全体が復讐の対象になったりする?」
……なんだ、そんなことか。
一瞬何の話が出てくるかと思いきや、そんな質問なら、ルトナの答えは決まっている。
「一員になりたい。私は、エルフのために何かしたいよ。エルフのために動いて、エルフの皆と仲良くなりたい。そして、神って名乗った女の子のために、世界を救う」
「……へえ? 世界を。世界を? へえ、詳しく聞かせてもらっていい? 魔力大龍を狩ってるのも、そのためかな?」
「あ、ああ……」
ここで、ルトナは違和感を持った。一瞬、目の前のエルフの魔力が、ふくれあがった気がしたのだ。
「……ごめんなさい。私はこれで失礼します。ちょっと、人と会う用事があるので」
ミズリと目配せをしたタルトが、顔を伏せながらそう言った。ルトナが肯定の返事を返すと、そそくさと退出する。
(何だ?)
「で、世界を。救うつもりなのね。この世界に何かあれば動く。神の使命で。……そして神の使命で、魔力大龍も狩る」
「うん。……えっと、何かまずかったかな?」
「うーん、別にまずくはないのよ」
次の瞬間、傍に控えるユノからゴギィッ、という音がした。
振り向くと、ユノの体は腰を中心にまがってはいけない角度まで折れている。
「は?」
腰のあたりの骨が突き破っているのか、ユノの腹からは内臓がはみ出ている。
そして、
「ちょ、え、……は?」
ルトナの体も、拘束されているのか、動かない。
それどころか、長袖の服に包まれた腕が勝手に動いて、ルトナの手を上に上げ、自分で自分の腕が拘束されてるみたいに動き、ルトナ自身も無防備な胸を突き出すようにして、その体をミズリに差し出している。
精一杯抵抗すれば押し戻せそうだが、結局押し戻せないで、動けないだけだ。手首や手の指くらいは動くが、それで何をしようもない。
「悪いわね。さようなら」
歩み寄ってきたミズリが、ルトナの胸に右腕をズドッと音を立てて突き入れた。
「がぁっ!!! ごぇ」
そして、その心臓を引き出して、ミズリは握りつぶした。
それを見届けてから、蛙のような声を出したルトナは体に魔力が巡らず死んだ。




