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熱砂の町と散策1


ちょっとというか滅茶苦茶遅いですけど……新年あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。


皆さんお久しぶりです。

だいぶ期間が開きましたが、なんやかんや「なろう」に舞い戻ってきました。


今年は、とにかく書く年、そんな一年にしたいと思います。


あまりこういうことは書かないのですが、今回は新年一発目としてお目こぼしいただけたらと思います。


あと、ついでですが新作も始めたのでよろしくお願いします。下部にURLを張っておきますのでご興味があったら是非、見ていってください。


それでは、今年もよろしくお願いいたします!


 朝食会場を出たカイウスとナナを待っていたのは、扉の前で静かに佇んでいた黒猫のメイドさんフラウだ。

 フラウは、カイウスとナナが出てきたのを見ると、ゆっくりと一礼して見せる。

 


「お食事の方はいかがでしたでしょうか、カイウス様、ナナ様」 


「とてもおいしくいただきました」


「ん、美味しかった」



 微笑みながら告げられたフラウの言葉に、カイウスとナナも微笑み返しながら答えた。



「それは、良かったです。本日は町の散策に向かわれるとお聞きいたしましたが、お間違いございませんか?」 


「はい。このまま向かおうと思っているのですが、良いでしょうか?」


「カイウス様、ナナ様は……身分証の清石をお持ちでしょうか? レイ様から頂いていれば、問題ないのですが」


「はい、貰いましたよ」


「ん、貰った」


 

 そう言って二人は、先ほどレイからもらった青く透き通る石_清石をフラウへとみせた。



「確認いたしました、では城門にご案内させていただきます」



 フラウはカイウスとナナから差し出された清石を確認すると、丁寧にお辞儀をし、二人を先導するようにして歩き出す。 


 白く輝く王城内の綺麗な廊下をゆっくりと歩きだす三人は城門へと向かう。 


 目指す先である城門は、朝食会場から少し離れた場所にあったのだが、カイウスとナナは道すがらフラウと軽い話(質問攻め)をしながら歩いていたため、カイウス達にとって城門への道程は短く感じられた。


 そして幾ばくも経たずに、白く大きな城門へとたどり着く。



「申し訳ございません、これより先、私は着いて行くことができません。門兵には話を通していますので、清石をご提示いただければお通しすることができます。お帰りになる際も同様に清石の提示で門が開きます。そして、城門より先からは十二宮の方が護衛に着くということでしたが……申し訳ございません、どなたが護衛に着かれるかは聞き及んでいないのです」


 城門へとたどり着いたカイウス達にフラウは、開口一番のそう告げた。

  

 カイウス達から街のことや国のこと、さらに獣人族のことなどについて質問されたりして……初めは堅かった態度もようやく軟化し始めた頃だった。


 そんなフラウの謝罪にも似た言葉に、カイウスが慌てて首を振る。



「いえいえ、そんな謝らないでください。ここまで案内ありがとうございましたフラウさん。ここからは僕とナナさんで行ってきますね」


「ん、大丈夫、後は任せて」


 

 カイウス微笑みとともにそう告げ、ナナは根拠のない自信をみなぎらせながらサムズアップで応えた。

 

 二人は城門の前で立ち止まったフラウに手を振りながら先へ進む。



「ありがとうございます……道中申し上げましたが、治安はほかの国と比べて良いのですが、悪い輩はどこの国にもいるものでして……くれぐれもお気を付けて」



 フラウは、そんな城の外へと向かっていく小さな背中___カイウスとナナを見送りながら心配そうにそう告げた。


 その背がフラウにとって、あまりにも小さく見えたからだ。


 だが、そんな心配そうなフラウをよそに二人は、 



「大丈夫です、こう見えても僕たち結構強いんです」


「ん! 負けない」



 怖いものなどない、と小さな体に自信を覗かせた表情で答えてみせる。


 フラウは、さすがにそこまでされては心配など二人にとっては失礼ではないか? そう考えて、先ほどの言葉をポジティブなものへと訂正する。



「フフッ、それは頼もしいです……では、言い直しますね___お二人とも、この国を、カーランバを王国を、楽しんでいってください」


「「はい!!」」


 

 カイウスとナナの元気な返事がフラウの耳を打つ。


 カイウスとナナは城門の先へと進んでいき、フラウは場内で頭を下げる。 


 こうして、カイウスはカーランバ王国の街へと繰り出すのだった。












 ここは強すぎる日差しを受け、乾いた風が軽い砂を運ぶ街、カーランバ王国王都。

 

 その王城のほど近くで、三人の獣人が建物の屋根の上から城門を見下ろしていた。



「……ねぇねぇ、ティスタ。あれじゃない?」


「うんうん、たぶんあれだよ、リウム」


「楽しみだね」


「楽しみなんだよ」


 

 三人の内二人は瓜二つと言ってもいいくらいに似た白い羽を持った鳥獣人の少女たちで、城門から出てきたカイウスとナナを見下ろしながら笑い合う。


 そしてこの場にいる最後の一人___猫獣人のリンガードへと振り返る。



「「リンガードも、楽しみだよね?」」


「……」

 


 シンクロした二人の問いに、猫獣人のリンガードは一瞬表情を曇らせた。  


 だが、そんな反応をしたリンガードのことがおかしかったのだろうか。


 二人は再び羽を口元に当てながら「クスクス」と笑いあった。



「俺は、お前らと違って命令されてここにいるんだ……そんな、楽しいとかは別に……ただ、どんな奴らかなのが気になるだけで……」


「クスクス、それが楽しみだっていうんだよね? ティスタ?」


「うんうん、リウム。その通りだよ」


 

 少しそっぽを向きながら話だしたリンガード君に、姉妹は顔を見合わせて笑いあった。 

 


「……くッ、これだからこの姉妹とは嫌だったんだ。俺は本当に人間なんか興味もなにもないっていうのに……ただ、ここまで来た奴らがどんなものか興味あるだけで」


「「興味あるんじゃん」」


「うっ……」



 話せば話すほど、ドツボに嵌っていくリンガード。


 彼は所謂……ツンデレだった。 


 それを自覚しながらも、治すことのできない天然のツンデレだ。


 人を弄ることやおちょくることに掛けてはこの獣人国でも一位に二位を争う鳥獣人姉妹にとっては、目の前に御馳走が置いてあるような状況であり……。



(リンガードと任務だよ?)


(しかも、人間の子供の貴族の護衛だって)


(興味あるよね? っていうか最高な状況じゃない? ね、ティスタ?)


(うんうん、最高の状況だよ、リウム)


((クスクスクス))


  

 二の句の告げなくなったリンガードをよそに、姉妹はコソコソと話し出す。

 

 その言葉の節々から感じ取れるように、とても楽しみな気持ちが隠しきれていなかった。


 

(……で、どうやって合流しようか? リンガードは影から護衛するって言ってたけど……ね?)


(……そんなのもったいないよね? せっかく楽しい状況が作れるのにそれを指をくわえてみているだけだなんて……ね?)


((絶対いやだ……クスクス))



 二人は計画を立てる。


 どうすれば自分たちにとって楽しく、いじりがいのある状況が生み出せるのか。


 また、あの人間たちと接触できるのかを……二人はいじけてそっぽを向くリンガードをよそに考え始めた。



(でも、話は至って簡単よね? だって私たちが隠れて護衛しなければいいんだもの) 


(そうね、隠れて護衛しなければいけないなんて言われていないものね?)


(……行っちゃう?)


(……行っちゃおうか?)



 計画と言っても、話は単純だった。


 三人が王から命令されたのは、二人の人間の護衛だ。


 その手段についてはこちらですべて任されている。


 ならばやることは簡単なのだ。勝手に影から見守ろうとしたリンガード___彼を裏切ればいいのだ。


 いや、裏切ると言った言い方はよくない。彼女たち姉妹は別に隠れて護衛することを同意したわけではなかったのだから。



(私たちが、接触して……)


(あの人族たちに教えればいいんだよ)


((リンガードの居場所を))



 ニヤリ、と姉妹揃って少し悪い表情を浮かべる。


 計画が完成した。


 簡単で単純で、でも慌てふためくリンガードの様子が今も脳裏に浮かぶほど面白い計画だ。


 いつの間にか、二人で話す様子を訝し気に見ていたリンガードに、二人は振り返る。



「ねぇ、リンガード」


 

 姉妹を代表して姉の方、リウムと呼ばれた鳥獣人の少女がリンガードを上目遣いで見つめた。



「なんだよ……僕を放っておいて、なんの話してたんだよ。寂しいだろ?」


「「……ッ」」



 だが、そんな姉のあくどい上目遣いも、刺々しく、しかし言葉は幾何か可愛いリンガードに一発で撃退されてしまう。


 二人は顔を見合わせる。



(え、今の何? 今の何、ティスタ!?)


(ヤバいヤバい……天然だ、まごうことなき天然がいる)



 ある意味リンガードというのは、姉妹にとってはいじりがいのあるやつであると同時に___愛でる対象でもあったのだ。


 ツンデレのデレの破壊力と言えば、それはもう凄まじいものがある。


 その中でも天然、自然とツンデレが出てしまうリンガードのデレの破壊力と言ったら、半端ないのだ。 



(でも、もっと見たいよね? リンガードの可愛いところ)


(うんうん、絶対みたいよ、リウム)


(じゃあ、やることは一つ……)


((絶対、リンガードと人族を絡ませようッ))



 ここに、二人の姉妹の歪んだ決意が生まれた。


 その決意の対象であるリンガードは、「また蚊帳の外だ」と目を鋭くさせている。


 姉妹は、決意を新たに再びリンガードの方を向く。



「ねぇ、隠れて護衛したいの? リンガード?」


「影から、人族を見守るの? リンガード?」


「あ、ああ、そうだよ。別に興味ないんだからそれでいいだろ?」



 今度は失敗しないように、今度は撃退されないように、姉妹は二人そろってリンガードに挑む。

 

 リンガードはそんな姉妹の問いに言い捨てるようにぶっきらぼうに答えて……そして。


 姉妹は、今日一番の笑顔で口をそろえて言った。



「「クスクス、残念でした。リンガードのその要望はかなえられませーん」」


「ッッッ!? あッ、お前らどこに行く!? そっちは___」


「「だって影からなんて絶対面白くない、せっかく来てくれたんだもの、楽しませないと……ね、ティスタ?」


「うんうん、せっかく来たんだから仲良くならないとね……ね、リウム」



 二人の鳥獣人の姉妹は、リンガードを背に、乗っていた屋根を飛び立つ。


 その向かう先には、二人の人族___カイウスとナナの姿があって……。


 二人の一つの思いが重なり合う。



((クスクスクス、新しい玩具、みーっけ))



 その表情はとても楽しそうで、笑顔で彩られていた。


 そして、屋根に取り残されたリンガードはと言うと、二人の鳥獣人姉妹に続くような形で屋根から飛び降り、地面を走っていた。



「これは、仕方ない。一人より二人、二人より三人……近くで護衛したほうが、守りやすいはずだ。そう、これは仕方がない事なのだ」



 街の道を走りながら、自分に言い聞かせるようにして走るリンガードだったが___。


 その尻尾は嬉しそうにブンブン、と背中で揺らめいていた。



前書きと後書きが長くなって申し訳ありません。


では、前書きにて宣伝させて頂いたようにURLを張っておくので、皆さん是非見ていってください。

(正直、宣伝はあまり良いことではないと思いますが……見てもらわないと始まらないのも正直なところでして……辺境貴族の場を借りて言うのが、申し訳ないです)


 https://ncode.syosetu.com/n2030fz/


『天剣の担い手』~大空に選ばれし者~


あらすじを簡単に……。


 舞台は異世界西洋の現地主人公です。天涯孤独の青年であるエアが、ある日を境に始まった冒険譚。

 その時の出会いや、友情、仲間、時々起こる数奇な現象を経験しながら旅をしていく、そんな話です。

 

 辺境貴族のような決まった拠点があるというより、旅を通して一人の青年の成長を書けたらな、と思い始めました。

 

 本当に長くなりましたが、ここでの宣伝で少しでも多くの方に見ていただけたらなと思います。


 これから先も、どうぞ、よろしくお願いいたします。




(追記)

 すみません、どうやらURLは貼れないみたいですので、ご興味ある方は検索か、小説情報から来てもらえると思います。

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