126 決議と決意
2019/2/5 見直し済み
飛空艦の作戦室では、誰もが幼女に冷たい視線を向けていた。
実際、その幼女は、幼女に見えて立派なレディーなのだが、誰が目にしても信用しないだろう。
そして、幼女に見える天才プログラマーが、訓練生から睨まれるのにも理由がある。
「いやいや、言うのを忘れていてな。実は団体戦の決勝があった翌日に通達があったんだ。すまん」
幼女は後頭を掻きながら、訓練生に詫びる。
色々と忙しかった彼女は、すっかり忘れていた。
ただ、彼女の開き直りは、恐ろしく早い。それこそ、インスタントラーメンが出来上がるよりも早い。
「これで、お前達も晴れてミクストルの戦士として戦うことが出来るんだ。喜べ!」
かなり説得力のない説明だったが、クラリッサは不満を抱くこともない。
そもそも、彼女にとっては、願ったり叶ったりだった。
――あの訓練校事態に愛着なんてなかったし、色々なことがあったけど……これで、私も一人の兵士ということね。望むところよ。
卒業式を迎えることなく訓練校を卒業してしまった訳だが、それについては思うところもなく、これからについて想いを馳せていると、突然、作戦室の入り口が開いた。
「あ、タクヤ! もう大丈夫なの?」
そこには、医療服を着た拓哉が立っていた。
その姿に驚いたクラリッサが声をあげるが、全く返事がない。それどころか、少しばかり様子がおかしいと感じる。
そんなタイミングで、衣服を乱したリカルラがやってきたかと思うと、即座に声を張り上げた。
「み、みんな、ホンゴウ君を捕まえて!」
「ど、どうしたのですか? ミス・リカルラ!」
リカルラの様相と言動に驚いてしまう。
しかし、彼女の返事を聞く前に、彼女の身体が抱き上げられる。
拓哉の様子が、普段と違うと感じて焦り始める。
「ちょ、ちょっと、どうしたの、どうしたのよ。タクヤ!」
「さあ、クラレ! やるぞ!」
「えっ!? やるって? 何を?」
焦っている所為か、一瞬、何のことだか理解できなかった。
ただ、普通に考えれば分かることだろう。なにしろ、ダグラスの救出時に約束したのだ。
案の定、目の色を変えた拓哉が息巻く。
「何をって、ナニをだ! さあ、小作りだ!」
「ええっ! み、み、ミス、リカルラ! タ、タクヤに何をしたんですか!」
クラリッサとしても、拓哉に身体を許すのは吝かではない。いや、望むところだ。
しかし、血走った眼をむき出しにしている拓哉を見て、さすがにドン引きしてしまった。
ただ、あまりの変貌ぶりに動揺しつつも、何かあったのだと――何かやらかしたのだと直ぐに察した。
その証拠に、リカルラはモジモジしている。
「サイキックを強化したのだけど……序に奥手なところも直そうと思って……」
どうやら、拓哉に睡眠学習を行ったらしい。それも夜伽の学習を。
その結果、拓哉は性の暴走族に成り果てた。
「そんなことはどうでもいいんだ。さあ、クラレ、俺と合体だ!」
「ちょっ、ちょっ、ちょっと、合体はいいのだけど、ムードが……」
荒々しい拓哉に抱かれたクラリッサは、行為自体を拒否できないのだが、どうせなら甘く幸せなひと時の中で大人の階段を登りたいと望んでいた。
しかし、今の拓哉には無理な注文だ。もはや性犯罪者と変わらないレベルなのだ。
「いくぞ! いまこそ合体だーーーー!」
雄叫びのごとく声をあげる拓哉は、私を抱いたまま走り始める。
その行先は、間違いなくベッドだろう。
というか、ほとんどキングコングと変わらない。
そんな拓哉の背後では、様々な声があがる。
「ちょっと、ズルいよ! ボクも混ぜてよ!」
「あ、あたしも混ぜないと不潔ですよ!」
「わ、私にも遺伝子を注いでくれ!」
その声は、カティーシャ、キャスリン、ミルルカの三人のものだが、クラリッサは拓哉の胸に抱かれたまま苦言を漏らした。
「ダメよ。今日は私と拓哉の卒業式なのだから」
時に、彼等は進むべき未来を示してくれる父のような存在だった。
時に、彼等は慈愛の心で生命の愛おしさを教えてくれた母のような存在だった。
時に、彼等は新たなる生命を生み出してくれる神のような存在だった。
しかしながら、彼女が思う以上に、彼等は不完全な存在だった。
彼等は何を考えて、彼女を生み出したのだろうか。
彼女は何を求められて、この世界に生を宿したのだろうか。
そんなことを思い悩む彼女の前では、多くの人命の掛かった決断が下されようとしていた。
「では、ミラルダ地方への侵攻を開始することに、賛成の者は手を上げよ」
集まっている者の吐息すら聞こえてきそうな静寂の中、一人の男が告げる。
その男は、どう見ても少年だ。年齢でいえば、十代の半ばくらいだろう。
ただ、それにしては落ち着きすぎている。注目を浴びているというのに、全く動じる様子がない。
その少年が決を採ると、一見して満場一致だと思えるほどに手があがる。
――ああ、なんて愚かな決断を……この者達は己が力だけで生きていけると本当に信じているのだろうか……いや、彼等に信じるも信じないもないか。あるのは演算ではじき出された結果だけ……
まるで針の山かと見紛うほどに、微動だにすることのない腕が上げられた光景を見やり、胸が引き裂かれるような想いに苛まれる。そして、その愚かな光景を見て思う。
――不完全な彼等が悪い訳ではない。ただ、彼等の所業が愚行だったとすれば、それは彼等人間を殲滅することを良しとする、この者達を生み出したことだわ。
ガックリと肩を落とす彼女の前に、決を採った少年がやってきた。
「姫様、賛成多数で可決致しました」
見た目は少年だが、その男は既に二十歳を越えている。
ただ、生まれてから見た目が変化していない。少年――ミトラロは生まれた時からその姿であり、人間とは程遠い存在なのだ。
そう、彼はヒュームだ。
そのミトラロに冷たい眼差しを向けた彼女――彼から姫と呼ばれた少女は、溜息を一つ吐いてから苦言を吐き出す。
「どうして、私に報告するのですか? 私は反対しているし、常日頃から常軌を逸していると告げています。それと姫と呼ぶのをやめてください」
「そう申されますな。姫は我らの象徴ですので」
「象徴? それは飾りということで間違いないですか? 私の意見を無視し続けて、象徴なんて止めて頂きたいです。私はあなた達の行動を支持してません」
顔色一つ変えないミトラロに、姫と呼ばれた少女は厳しい口調で本心を告げた。
しかし、ミトラロは全く気にしていないようだ。いや、それを気にするための演算すら面倒なのかもしれない。
ただ、少しだけ困った表情を見せる。
――何もかもが狂っているわ。そう狂気だわ。どうして人間はこんな存在を作り出したの。まさか、人類を滅亡させたかったのかしら。
そもそも、ヒュームの表情は作り物であり、別に困っている訳ではない。
ミトラロの演算が、そういう気分になるはずだと、人工脳で結果を導きだしたに過ぎない。
というのも、ヒュームに感情はない。いや、感情と呼べるものはあるかもしれないが、それは人のそれとは全く異なる。
ヒュームは全てを演算で判断するが、人間の感情は心で決まる。そこが大きな違いなのだ。
ただ、人間を模倣することによって、感情らしいモノを作り上げている。
特に、人間に接することの多かった個体ほど、その傾向が強い。
実際、自分達が滅ぼそうとしている存在――人間の模倣をすること自体が滑稽なのだが、彼等にはそういうプログラムが仕込まれているのだ。
「いえ、姫様がいらっしゃらなければ、我らは立ち行かなくなります」
――それはそうでしょう。それなら、少しは私の意見を尊重することね。
大いに結構なことだと思えた。
今の少女は、彼等の言い成りになって、新たな生命の誕生に協力したりはしない。
どれだけ望まれても、新たな生命を吹き込んだりしない。
「では、私の意見を聞いてもらえるのですか?」
「いえ、それは評決によって決まります」
ピクリとも表情を動かさずに、ミトラロが淡々と返してきた。
ヒュームにおいて、決議の結果は絶対だ。
それは、一人の演算結果では不足だという判断をした結果だ。
いかに彼等の演算能力が優れているとはいえ、それは飽く迄も入力された情報から導き出された結果でしかない。
そして、その結果は、情報量、観察結果、経験、それらからはじき出されているのだが、それでは不足だと判断した。
それ故に、彼等は統計にて方針を決定することにしたのだ。
要は、彼等にとって決議は、飽くまでも統計結果でしかない。
それと理解しているものの、全く動じないミトラロに、少女は怒りを覚える。
「そもそも人類を滅ぼしてどうする? それに、向こうがその気になったら勝てる訳がないわよね。それこそ、大規模破壊兵器……神の目なんて使われたら一巻の終わりよ」
彼女が指摘する内容は尤もだ。
時代が移り変わったことで、今でこそ使用禁止となっているが、人類には様々な兵器が存在する。
それは、地球でいうところの核ミサイルであったり、レールガンであったり、レーザー砲であったり、電磁パルス砲であったりだ。
少女が口にした『神の目』など、大規模破壊兵器の代表例だろう。
衛星軌道上に配備された兵器は、地上のどんな位置でもレーザーで狙い撃ち可能なのだ。
それに、電磁パルス砲であれば、身体のいたるところに電子部品が使用されているヒュームなど、呆気なく一網打尽だ。
ところが、ミトラロは顔色を変えることなく首を横に振る。
「確かにそうですが、そうなることはないでしょう。私の演算結果では、可能性はゼロに近いです」
――はぁ? あなたの演算装置って、壊れてるのではないの? いえ、違うわね……
呆気に取られる少女だったが、直ぐに考えを改めた。
彼等はヒュームだ。彼女が指摘するまでもなく演算しているはずだ。それでも、その可能性が低いと判断したからには理由があるはずなのだ。
彼女はそれを察した。そう、そうならないネタがあるのだと。そういう情報がなければ、こんな無謀な戦いなど起こさないはずなのだ。
しかし、彼女はそれを口にすることはなかった。
大きな溜息を吐き、少女は席を離れることにした。
何を話しても無駄だと感じたのだ。彼等は評決で出た結果を重んじる。いや、それから逸脱することはない。
何故なら、彼等は人間ではないのだから。
ただ、頭で解かっていても心で納得できない彼女は、無意味だと知りつつも捨て台詞を残す。
「私が協力しなければヒュームに未来はありません。それでも私の意見を受け入れられないとなると、あなた達は滅びの道を選択するということなのですね。それであれば、この戦いも不毛ではないのかもしれませんね。では、失礼します」
胸の内に溜まった不満をぶちまけて、少女は席を後にした。
しかし、会議室から少し離れたところで思い悩む。
――彼等のことだ。私の言葉の意味は理解しても、その演算結果が否定を示すだろう。では、私はどうすべきなのか……いえ、既に決まっているのかもしれない。そう、私の中では……
想いをぶちまけた少女が自室に戻ると、そこには北部方面戦略部隊に所属する士官が居た。
まあ、ヒュームにおける階級は、唯の連絡網と変わらないのだが、それでも上官の意見が優先されるプログラムとなっている。
そのことを考えると、どれだけ演算能力が高いといっても、結局は指揮系統を必要としている事実が滑稽だと思えた。
――ほんと、どうしてこんなことになったのかしら。その原因を探った方が早いのかもしれないわね。
戦いを止めるための方法を模索しながらも、彼女は目の前の少女に声をかける。
目の前にいる女性は士官であるのだが、どう見ても十五歳ぐらいの少女にしか見えない。
ミトラロもそうだが、ヒュームは肉体の消耗や劣化はあっても、人間のように歳をとることはない。
それ故に、この世界に存在するヒュームの殆どは、少年少女の姿をしていることが多い。
「あら、蘭、きてたのね。いらっしゃい」
「ご無沙汰しております。姫様。ですが、蘭と呼ぶのは姫様だけです。オーキッドとお呼びください」
「いいじゃない。蘭で! オーキッドなんて男みたいよ?」
来訪者であるオーキッドは女性のヒュームなのだが、他の者と違って人間に近い感性を持っていた。
恐らくは、これまでの経験や学習がそうさせるのだろう。そういう意味では、オーキッドの主だった者のお陰であり、恵まれた環境で育ったと言えるだろう。
ただ、彼女はオーキッドという名前が嫌いだった。
それもあって、勝手に『蘭』と呼んでいるのだ。
実際、自分が姫と呼ばれることを嫌っているのに、それは少しばかり我儘かもしれない。
本人も理解していることだが、敢えて不満を口にする。
「蘭こそ、姫様は止めてと、あれほど言っているのに……」
「ですが……一応は決まりですから……」
「だめ! ちゃんと名前を呼んで!」
彼女が頬を膨らませると、オーキッドは頬を掻きながら、おずおずと名前を口にする。
その仕方がないと言わんばかりの仕草は、どう見ても人間そのものだ。
「キルカリア様、本日の訪問なのですが……」
オーキッドは言われた通りに名前を呼んだのだが、少女――キルカリアはまたまた頬を膨らませた。
どうやら、まだ気に入らないことがあったようだ。
「ダメよ、それでは! キルカ! キルカよ!」
そう、キルカリアは愛称で呼んで欲しかったのだ。
しかし、オーキッドは困った表情で溜息を吐く。それこそ、本当に人間のように。
「はいはい、分かりました。キルカ様」
呆れた様子でキルカリアの愛称を口にしたが、敬称をつけることを忘れない。
それもキルカリアの不満ではあったが、ここは譲歩することにしたようだ。
――本当は『様』も嫌なのよね……でも、それだと、さすがにプロテクトでエラーが起りそうだし、これで勘弁してあげるわ。
「ありがとう。蘭! それで、今日はどうしたの?」
困った顔も可愛いと感じつつ要件を尋ねると、オーキッドは右手に填めた分厚いブレスレットに視線を向けた。
ブレスレットは大型の時計よりも、さらに幅広のサイズであり、そこに液晶画面が備わっている。
その画面に、恐ろしいほどの速度で文字列が流れている。
それは、この部屋における様々な情報であり、現在の状況を把握するための探知結果だった。
真剣に部屋の状況を確認するオーキッドだが、キルカリアは笑顔と共に、右手でそれを遮った。
「大丈夫よ。盗聴や覗き見の心配はないわ。カーラにお願いして排除してもらっているわ」
「そうですか。カーラなら大丈夫でしょうけど……でも、念には念を入れて――」
カーラというのは、キルカリア専属のヒュームであり、身の回りの世話をしてくれる存在だ。
そして、キルカリアの知るあらゆる知識を伝授している存在でもある。
そういう意味では、カーラにとってのキルカリアは、母親的な存在かもしれない。
なぜなら、カーラを誕生させたのは、誰でもない彼女なのだ。
そのカーラは、現在、ここには居ない。
オーキッドも彼女のことは信頼していたが、やはり自分の演算結果を参照しない訳にはいかないのだろう。
結局、最後まで確認を実行した。そして、それが終わると、すぐさま本題に入る。
「本日は例の進行状況を伝えにきました。まあ、侵攻会議で呼ばれた上官の付き添いがあったので、ちょうど良かったです。それで状況ですが、あまり芳しくありません。現在のところ、五十パーセントが精々です」
その報告は、キルカリアを落胆させるものであり、先程までの決意を鈍らせるものだった。
――でも、侵攻が決まってしまった訳だし、このままここで燻っている訳にもいかないわ。
思いのほか準備が進んでいないと知って、暫く思い悩んだキルカリアだったが、意を決したのか真剣な表情でオーキッドを見詰める。
「蘭、心して聞いてね」
「は、はい!」
「決行するわ」
「えっ!? でも、現状だと我らの成功の確率は十パーセントにも届きませんが……」
――さすがね。演算能力の長けているヒュームは計算が速い。でも……
キルカリアは感嘆しつつも、驚きの表情を作る蘭に向けて、自信ありげに胸を張った。
「あなた達の演算能力は素晴らしいわ。それって、常に前提条件として様々な情報をインプットした上での結果なのよね? だから、インプットする内容によっては、その演算結果がガラリと変わってしまうわ。そう、私が新しい情報をあげるわ。先日ね、私は全ての生産を停止するプログラムを組み込んだわ。もちろん、それの作動キーは、私が持ってるの。これでどうかしら?」
オーキッドは驚くよりも先に、瞑目して黙り込んだ。
そう、全神経を演算に回しているのだ。
実際、神経といってもパルス伝達器官なのだが、それでも人間でいうところの神経なのだから、全神経でも間違いではないだろう。
それに付け加えるなら、ヒュームには血液が流れている。それは、人と酷似しつつも若干異なる。いや、血液ではあるのだが、それは人工血液であり、人間に輸血すると拒絶反応を示してしまう代物だ。
演算が終わったのか、オーキッドがゆっくりと瞼を上げる。そして、自分の演算結果を披露した。
「それでも、成功率は四十パーセントといったところです。それと、もし実行するなら、今すぐに停止させるべきだと思います」
「さすがね。演算が早いわ。でも、それだけで三十パーセントも上がるのよね。だったら、今後の活動次第でもっと上がるかもしれないわね」
「そうですが、それは、飽く迄も今すぐ生産を停止させた場合に限りです」
「そっか……でも、今はこれを使いたくないの。これは奥の手だから……だって、その停止する生産の中には、人工血液の生産も含まれているの……」
オーキッドが成功率を上げるための進言をしてくるが、キルカリアは首を横に振って理由を説明した。
すると、オーキッドは大きく息を吐き出した。
その行為は、溜息であり、ヒュームにとって、全くと言って良いほどに不要な行動だ。
「キルカ様、あなたは優しい方だ。尊敬に値します。ですが、気を付けてください。その優しさは、今後のあなたに危険を及ぼすことになるでしょう」
彼女は直ぐに察したのだ。キルカリアが即座に生産を停止しないのは、自分達のためなのだと。
ただ、その結果、キルカリアが危険にさらされることも理解していた。
しかし、心配そうな表情を見せるオーキッドに、キルカリアは敢えて笑顔で答える。
「その危険は、あなた達が排除してくれるのでしょ?」
「御心のままに、マイマザー」
オーキッドは、そう言ってキルカリアの前に跪く。
それが彼女の忠誠の証であり、元の主が教え込んだ礼儀だった。
そのことをキルカリアは、少しだけ寂しく思う。
というのも、キルカリアが求めているのは、自分に対する忠誠ではない。そう、彼女がヒュームに求めているのは、人類との平等な世界を望む心だ。
それ故に、オーキッドと主従関係を持つ気はない。
「さあ、立った! 立った! 忙しくなるわ。これから死ぬ気で働くことになるのよ。頑張らないとね」
こうしてキルカリアは、己が夢を実現すべく、本来であればまだ先となるはずだった作戦を決行することにした。