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超科学の異世界が俺の戦場!?   作者: 夢野天瀬
第0章 プロローグ
124/233

121 最悪の展開

2019/2/3 見直し済み


 まるで木偶人形でくにんぎょうであるかのように、その存在はもろくも崩れ去っていく。

 そんなはずはない。その存在がサイキックシールドを展開すれば、尋常ならざる強度を持っているはずだ。

 しかし、目の前の兵器は、まるで紙屑のように脆い。

 この有様で、これが実戦用の兵器だと誰が信じるだろうか。

 彼女の機体が攻撃を加えると、いとも容易く倒れていく。


 ――こんな兵器で……いや、こんな兵士で本当に戦うつもりなのか? これでは、対校戦で見た初級訓練生にも劣るぞ……


 ミラルダ訓練校の飛空船を包囲するPBAを、まるで無人の機械を破壊するかの如く粉砕しながら、ミルルカは疑問を抱いていた。

 彼女の思考の中では、その比較対象である初級訓練生に、鬼神を含んでいるつもりはない。

 あれは別格だという思いが、嫌というほどに刻み込まれているのだ。


「それにしても、弱すぎる……」


「鬼神の後だから、余計にそう思うんちゃ」


 ミルルカが兵士の質の低さに愚痴をこぼすと、トトが珍しく真面な返事をした。

 彼女としても、相棒の妖精に反論する気はない。

 なにしろ、あの戦いは、彼女にとって最高のものだったからだ。

 それは、勝ち負けを意味している訳ではなく。これまでに体験したことがないという意味だ。


「確かにそうだが、これは少し酷いぞ。これで実戦なんて絶対に無理だろう」


「ここは大陸の北東端なんちゃ。きっと、実戦なんて考えてないんよ」


「恐らくそうだろうな……」


 トトのご尤もな意見に頷きつつも、最後の敵をサイキックサーベルで切り倒す。

 コックピットを避けているので、間違っても操縦者が死ぬことはない。

 ただ、直ぐに復活されても困るのだ。

 それ故に、ミルルカは片っ端から腕と脚を切り裂いた。


「これで終わりなんちゃ」


 ――物足らん……もっと暴れたいのに……


 トトが戦闘終了を告げるが、ミルルカは物足らなさ――暴れ足らなさを感じていた。

 そんな彼女の耳に、状況を報告が届く。


「被弾はゼロ。機体損傷なし。どこも問題ないっちゃ」


 報告を軽く聞き流しつつ、モニターで周囲を確認する。

 そんなタイミングで、外部からの連絡は入る。

 途端に、彼女は顔を顰めた。


『会長、いつの間に抜け出したのですか? それならそうと、一言お願いします』


 サブモニターに映るテリオスが、徐に眼鏡を押し上げる。

 いつもの無表情で、何を考えているか読み取ることはできないが、少なからず言葉には不満がにじみ出ている。

 それもそのはず。彼はついさきほどまで独房で大人しくしていたのだ。


 ――ぐあっ! そういえば、全く連絡を入れてなかった……てか、端末も没収されていたし……よし、そういうことにしよう。


 テリオスが捉えられていることは、当然ながらミルルカも知っている。

 なにしろ、一緒に居るところを連行されたのだ。

 それもあって、彼女は焦りを募らせるのだが、直ぐに名案を思い付いた。


「すまん。端末を没収されていてな。連絡しようにも出来なかったのだ」


 彼女は謝りつつも、仕方なかったと告げる。それで万事うまくいくと考えていた。

 ところが、テリオスはそんなに温い男ではない。


『トトさんにお願いすれば、私にくらいは連絡できましたよね?』


 ――ぐはっ! そうだった……くそっ! なんて言い訳をしよう……


 テリオスのツッコミに口籠る。

 返す言葉がないのだ。それしか執る手段がない。

 ところが、何を考えたのか、テリオスが突っ込むことはなかった。ただ、しれっと頭を悩ませる問題を突き付けた。


『まあ、この状況では仕方ないかもしれませんね。それよりも、ここで会長が暴れてしまっては、私を含め、連れてきた訓練生の身が危険なのですが……これからどうすれば宜しいでしょうか』


 そう、ミルルカとはクワトロ上級訓練校における力の象徴であり、会長としての能力は皆無だ。

 そして、実務を行っているのは、全てテリオスなのだ。

 それもあって、彼女は自分の腹いせ以外、何も考えていなかった。


 ――あぅ……そうだった……どうしたものか……くそっ、この場合は最終手段しかないぞ……


 テリオスからの無言のプレッシャーを感じながら、彼女は究極奥義を発動させる。


「お前に全て任す。後は頼んだぞ」


 そう、必殺技、『丸投げ』である。別名、責任放棄ともいう。

 そうなると、当然ながら次の展開が決定する。

 テリオスの溜息が耳に届く。


 ――ぬぐっ……くそっ! 溜息で応じられるとは……でも、これを耐え忍べば一件落着だ。我慢だ。我慢。


 身の内で膨らむ不満を抑え込み、今は耐える時だと己に言い聞かせている。

 すると、テリオスからの返事が入った。


『分かりました。私の方で処理します。どの道、会長は鬼神――ホンゴウ君のメイドですから解任です。それとも、氷の女王との約束を反故にしますか? まさか、会長たる者が、自分が結んだ約束を破ったりできないですよね』


 ――ぬあ~~~! 解任……でも、そうなるのか……反故……いや、それは……


 例の賭けを思い出し、軽はずみな行動だったと、今更ながらに後悔する。

 ところが、不思議なことに、今日のテリオスは優しかった。


『まあ、バルガン将軍から行動開始の連絡もありましたし、会長は暫くそっちにご厄介になってください。こちらは、私の方でなんとかしてみます』


 ――そうだ。そういえば行動開始の号令が出されたのだ。訓練どころではないよな? よしよし、それなら暴れるだけ暴れて、ミラルダの飛空艦に乗ることにしよう。


 珍しく優しげな対応をしてきたテリオスを怪しく思いながらも、都合の良い解釈を自分自身に言い聞かせていると、突如として、見の毛が逆立つような感覚に襲われる。

 それと同時に、トトがけたたましい叫び声を上げた。


「またキターーーーーー! 今度のも、凄いっちゃ~~~~!」


「やかましいぞ!」


「だって~、本日二回目の驚異的なパワーなんちゃ。これって絶対に鬼神なんちゃ」


 耳が痛くなるのを感じて思わず罵声を放つのだが、力を感じ取る能力を持つトトが騒ぎ始める。


「さっきも感じたけど、この力は半端ないんちゃ。それによくよく考えたら、この力って対戦の時にも感じたっちゃ」


「なんだと!? どういうことだ」


 自分が負けた時と同じと聞いては、彼女も黙ってはいられない。


「どうもこうも、あの時に、これと同じ力を感じたんちゃ」


「この寒気……確かに」


 トトの言葉で初めて気づく。


 ――あの時、この寒気を感じたような気がする。そうだ。あの一瞬に、この感じを受けていた。どうして忘れていたのだろうか……


 戦闘が終わったこともあって、ミルルカはあの時のことを振り返る。

 そして、その力がサイキックによるものだと結論付けた。


 ――そうなると、やはりこれは鬼神の力なのか……というか、ここからでも感じられるほどの力とは……いかほどのものなのだろうか……いや、奴はサイキックを上手くコントロールできないと聞いたぞ。大丈夫なのか? まてよ。奴がそれを使う場面になっているということは、切迫しているのではないか?


 拓哉のサイキックに慄くミルルカだったが、状況を察して不安が込み上げてくる。


「トト、直ぐに――」


「新しいのが来たんちゃ。数は十二」


 居ても立っても居られなくなり、すぐさま助けに向かおうと考えたのだが、それはトトの報告によって遮られた。


「ちっ、こんな時に。まあいい、まとめて粉砕してやる」


「それはええけど、飛空艦を壊さないようにするんちゃ」


 一気に片付けて、叔父――ダグラスの救出に向かった拓哉を助けるつもりなのだが、相棒から的確な指摘を受けてしまう。


 ――ぐはっ! こいつにまで突っ込まれるとは……そもそも、この装甲をパージされた機体からして、きっと飛空艦の安全を考えての事なのだろうな。確かに、私の砲撃は味方をも殲滅しかねないからな……


 敵影をモニターで確認しながら歯噛みするのだが、そこに追い打ちがぶち込まれた。


『それでは会長……いえ、元会長。私は行動に移ります。ご武運を。ああ、それからメイド服、期待してます』


「ぬぐーーーーーー! う、うるさい!」


 テリオスの一言で、忘れたい事実を思い出したミルルカは、腹立たしさを堪えきれずに、ヘッドシステムと罵声を投げつけた。









 黒い炎が渦巻く。

 それは拓哉の身体から発せられていた。いや、彼自身が黒い炎を纏っていた。


「た、タクヤ! ゴホッ! ゴホッ!」


 拓哉に起きた異変に驚いたのだろう。クラリッサが苦しそうにしながらも手を伸ばす。

 しかし、拓哉はいつもと変わらないように見えた。


「大丈夫だ。今直ぐ、このクズ共を葬る。少しだけ待っていてくれ」


「本当に、大丈夫なの? 身体から瘴気しょうきが出てるみたいよ」


 ――し、瘴気か……確かにそう見えるかもな……でも、少し……かなり黒いけどオーラと言ってくれよ。


 黒いオーラを纏う両手に視線を落とし、少しばかりガッカリする。

 ただ、その不満を飲み込んで、クラリッサを安心させようとする。


「これが何かは分からんが、今の気分は最高だ」


 そう、極限の怒りで噴き出した力だが、アームズと戦った時とは違い、怒りに満ちていても己の意思がはっきりしていた。様々な感覚も、そのままだった。いや、全ての感覚が研ぎ澄まされていた。

 そして、仲間に起こっていることに気付く。


 ――ふむ。これって、精神障害のサイキックなのか……


 自分の周囲から僅かなサイキックの流れを感じ取る。

 それは、拓哉の感覚からすると、酷く不快感を抱くものだった。


 ――どうやら、これの所為で麻痺しているようだな。この濃度からすると、随分前から仕込まれていたようだが……ああ、なるほど、あのシステムベルトの破れたポシェットに仕込まれていたのか。


 撤退経路の所々に転がされていたシステムベルトを思い出し、それが麻痺させている原因となったサイキックの仕掛けだと見抜いた。


 ――微量だから気付かなかったんだな。まあ、今はそれどころではないし、さっさと片付けて退散するとしようか。


 敵の手管を看破した拓哉は、さっさと奪取することを考える。

 しかし、そうは問屋が卸さぬとばかりに、四人の男が立ちはだかった。


「派手にサイキックをまき散らしてる割には、数値があがってないな。脅かすんじゃね~よ」


「あれじゃね~か、コケオドシってやつ?」


「いや、この雰囲気……計測装置の故障かも知れん。油断するなよ」


「関係ね~よ。手足を切り取って、女達が切り刻まれる光景を見学させてやるさ」


 四人の襲撃者は思い思いの考えを口にした。

 そう、彼等の計測装置には、拓哉のサイキック量が表示されていなかった。

 それは、リカルラが初めにはまった落とし穴であり、彼等が装着している計測装置も、あまりのサイキック量に誤動作しているのだ。

 ただ、拓哉にとって、そんなことはどうでもよかった。しかし、一つだけ聞きたいことがあった。


「なあ、お前等、そうやって、今まで何人の命を奪ってきたんだ?」


 どうでも良い話だ。どの道、彼等には引導を渡すつもりだった。

 それでも、確認しておきたかった。この男達が死に価するかを確認したかったのだ。

 しかし、そんな拓哉の考えが分かるはずもない。彼等は不愉快な笑顔を歪ませて笑い始めた。


「そんなの覚えちゃいね~よ。馬鹿だろ、お前!」


「ああ、そうだな。そこの将軍様は、オレ達を使ってくれなかったが、あの大佐が獲物を沢山くれたからな。あははははは!」


「いや、ワシは女だけは覚えとるぞ。これまで剥いだ女は95人だ。だからな~、そこの女達で丁度記念すべき百人になるんだ。くくくっ」


「なんてたって、これをやりたくて強化人間に志願したくらいだからな! カハハハ!」


 四人の発言は最低なものだった。それこそ常軌を逸していた。

 そして、最後の男の親指を立てる仕草は、拓哉の怒りを掻き立てる。


「じゃ、判決だ。死刑でいいよな? いや、死刑だ! 俺が決めた! お前等は死に価する。いや、苦痛にうめく死こそが相応しい」


 男達の台詞を聞いた拓哉は、無条件で死刑判決をくだす。

 そんな権利がないことは、自分でも理解していた。ただ、生かしておくべきではないと感じたのだ。


「なに言ってんだ? お前! とうとう頭がイカレたか?」


「妄想癖でもあるんだろ。さっさとやっちまおうぜ」


「死刑? 死刑か!? くくくっ、お前がな!」


「あははは。いいぜ。まずは、お前のピーから切り落としてやぐぼぁ!」


 どうやら、拓哉の言葉を戯言たわごとだと感じたらしい。

 男達は、下種な笑みを浮かべて、拓哉を罵った。

 次の瞬間、いちばん最後に汚らわしい言葉を口にした男が、呻き声を漏らした。


「ぐあっ、あ、脚が、オレの脚がーーーー!」


 片脚を失い、呻き声を上げるが、男は立ったままだった。

 その辺りが、強化人間と普通の人間の差だろう。

 ただ、呻く男を目にして、残りの三人が唖然とする。

 それは、男達が始めてみせる驚愕の顔だった。


「どういうことだ?」


「見えなかったぞ」


 拓哉の動きは速いなどという次元ではなかった。

 男達にとっては、まさに瞬間移動だと思えただろう。いや、見えたかどうかも怪しい。

 拓哉にとって、男達は止まった存在だった。


 周囲の時と異なる時間を過ごす拓哉は、下品な言葉を口にした男の脚を、右手に持つサイキックナイフで切り落とした。

 しかし、拓哉の時間の中では、その男は片足で立ったままであり、痛みすら感じていなかったようだった。

 それでもゆっくりと時間が進むうちに、男は己の痛みを感じて、ニヤニヤとしていた表情を苦痛に歪ませた。

 ただ、その絶叫は、拓哉の時間の中でも、些か鬱陶うっとうしいものだった。


「うるさい!」


「ぐがっ!」


 喚く男の口に切り落とした足を突っ込み、もう片方の足を切り落とす。

 しかし、男は宙に浮いたままだ。

 そう、拓哉が過ごす時間の中では、落下速度さえ無に感じられていた。

 そんな止まった世界の中で、続けて両腕を切り落として、手も足も出ない状態にしてしまう。

 そして、芋虫となった男を放置し、近くに立っていた男を攻撃する。


 ――ふむ。さすがは強化人間だな。俺の時間の中でも動けるのか。だが、遅い。これじゃ、カタツムリが欠伸あくびをするぞ?


 一人目がやられたと、瞬時に判断したのだろう。慌ててその場から飛びのこうとする。

 その行動は、普通の者と比べれば、おそろしく速い動きだった。

 ところが、拓哉の時間の中では、まるでスローモーション映像だ。


 ――逃がす訳がないだろ!? お前等は地獄に行け。


 ゆっくりと逃げ出す男に向かって、拓哉は普通に移動して、右手に持つサイキックナイフに異常ともいえるサイキックを込める。

 そう、拓哉は特別な武器を使っている訳ではない。アームズが装備していたサイキックナイフを使用しているのだ。ただ、普通と違うのは、そのナイフの強化度合いと切れ味。それと刃渡りの長さだった。

 ナイフに注ぎ込んだサイキック量が余りにも大きく、ナイフというより黒い剣と言った方が良さそうな武器になっていた。

 黒いナイフの切れ味と言えば、強化人間の脚を切り落としたことで解かるだろう。

 サクサクと切れる。いや、スパスパと切れる。それはまるで豆腐でも切っているかのような手応えだった。


「ぐおっ! いつの間に! ぐぎゃ!」


「呻くよりも、己のおこないを懺悔ざんげしろ」


 二人目の男に引導を渡すと、躊躇ちゅうちょすることなく四肢ししを切り飛ばす。

 首を切り飛ばすのは簡単だ。だが、残酷ではあるが、それを選択しなかった。

 少しでも男達に苦痛を味合わせたかったからだ。

 それが、これまでこの男達に辱められた者達の供養だと考えたのだ。

 例え周りの者から残忍だと言われようとも構わない。こんな奴等に同情する余地はないと思ったのだ。


「や、やべ~」


「こ、こいつ、死神か!」


 二人が呆気なくやられたことで、残りの二人はすぐさま逃げる判断をくだした。

 そんな奴等の顔は、戦慄せんりつで歪み、恐怖で引きっている。

 しかし、だからといって、拓哉は止めたりはしない。

 構うことなく残りの二人の四肢を切り飛ばす。


「どうだ? 自分達が刻まれる感触は」


 鮮血とよく解からない液体を撒き散らす四人の男に向け、冷やかな言葉を吐き捨てると、まるで芋虫のように転がる男の一人が、罵声を吐き散らした。


「くそがっ! 絶対に唯では済ませね~」


 負け惜しみとも思える負け犬の遠吠えが轟くと、横に転がるウジ虫が口を開いた。


「ちっ、こうなったら道連れだ! やれ!」


 その言葉が吐き出された途端、けたたましい音が鳴り響く。

 そして、拓哉達の居る通路の壁が、砕け散って破片を飛ばしてくる。


「ちっ、外部からの攻撃か!」


 即座に察した拓哉は、瞬時に障壁を展開して仲間を守る。

 今の拓哉にとって、その攻撃も撒き散らされるコンクリート片もスローモーションでしかない。

 それ故に、その攻撃から仲間たちを守ることは、然して難しいことではなかった。

 ただ、その攻撃が続く中、予想もしていなかった事態が起こる。


「うっ、うぐっ」


 突如として、拓哉の身体から力が抜け始めた。それどころか、意識さえも遠のいていく。


「た、タクヤ!」


「タクヤ君!」


「タクヤ!」


「タク!」


 朦朧もうろうする拓哉の耳に、クラリッサ、キャスリン、リディアル、ティートの叫び声が飛び込んでくる。


 ――どうやら、クラレ達に掛っていた精神障害のサイキックは解けたようだな……良かった……ちっ、こういうオチかよ。


 仲間の声を聞き、皆が無事であることに安堵する。

 しかし、激しい攻撃で霧散した壁の向こう側に、銃を持った複数のPBAが並んでいるのを視認して、思わず舌打ちした。同時に、最悪の展開となったことを悟る。


 ――これは拙いことになったぞ……


 理由は定かではないが、全身の力が抜けたことで無意識に膝を突くことになってしまった拓哉は、朦朧もうろうとしつつも、銃口を向けてくるPBAを睨みつけるのだった。


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