表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/74

病院で患者さんと最も接し働く姿を見るのは看護婦さん

薮が働かない為に彼女は非常に忙しい毎日を送っている。

・健康診断などで行う体重、身長、視力、聴力、腹囲の測定

・注射と点滴

・尿検査

・電気治療や牽引治療などの機械を使うもの

・血圧測定

・おまけでシーツの交換と洗濯

・待合室に置くお茶の用意


医師の補助として看護師が行えることは全て彼女の仕事となっている。

たとえ注射と健康診断の測定と電気治療の人が何人か重なって大変な状態でも


「ちょっと待って下さいね。今看護婦さんが忙しいから」


と言って薮はすぐに部屋に引きこもってしまうのである。


もちろん医者は看護師の仕事は全て行うことができる。忙しいのであれば、患者さんの為にも看護師さんの為にも薮が率先してやればいいのに。特に、看護師さんは薮のずさんな治療によって足が満足に使えない状態なのである。


「あんまり階段の上り下りをしないで、足を使わないようにしなきゃダメだよ」


とか以前の治療の際に薮は言っていたのだが、一番彼女の足を酷使しているのは薮なのである。

奥さんの足も酷い状態にしているので、小さな病院では深刻な人手不足である。特に看護師には代わりがいない。


彼女が足の治療で午前中の半分を休んでいる日が患者さんにとっては試練の日である。

朝一に血液検査の為に来院してきた患者さんは、受付で尿検査の為に尿を採って提出する。

そして薮に血液を採取する場所に呼ばれ、まずピンセットなどの器具を探し回る薮を目にすることになる。

次にゴムで縛られて腕の血の巡りが悪くなった状態で、血液を入れる容器がどの種類を使うのかがわからず事務の人に聞いて教えてもらい、その後注射筒と針を探し回る薮をじっと待つハメになる。

運の悪い人だとやっと終わったと思って帰宅すると、病院から


「血糖値を測る血液が固まってしまったのでまた今度検査させてください」


という連絡を受け、また血を採られるという痛みを与えられるのである。まぁ、次回は看護師さんがいる場合がほとんどなのでもっとスムーズにいくのだが。


注射や点滴の人は、やっぱり薬を探し回る薮を待ち注射してもらうのである。

恐ろしいのは、何種類かの薬液を注射してもらう人の終了後、減ってなきゃいけないアンプルの数に変化がなかったことだ。薮本人は全部注射したと言い張っているが、特生物の注射は何日に何本目を誰が打ったか全部記録しているのである。数が一本余っているのなら、薮が注射した2人のうちのどちらかがしていないということなのだ(ちなみに、信用のない薮がする前に看護師ではないが従業員によりその特生物の注射のアンプルの数が正しく入っていることは確認されていたりもする)


自分の非を決して認めない薮は、薮の奥さんもその注射をしているので看護師さんがその注射を奥さんにし忘れたということに無理矢理してしまった。

しかも、該当の患者さん2名に電話し


「家内が注射の数が合わないと言ってるんだけど、ちゃんと注射したよね?」


と電話する始末である。そこで注射してもらったという返事もらったらしい薮は、自信満々に看護師さんを攻めはじめたのである。全くもって信じられない。


この段階で私たちが最も心配したのは、別な薬剤を注射されたのではないか?ということであった。

幸いにも棚卸しの際に薬剤の数は一致したので、取り違えではなく注射し忘れだろうという結論になった。忘れられた患者さんには申し訳ないが、関係ない注射をされていないようで一安心である。


ほかの日には、土曜の午後でどこの小児科も吐き気で運ばれてきた小学生の子供に、吐き気があるので点滴を行ったのだが


「体が小さくて血管が細いからなかなか針が血管に入らない」


と言い、


「おかしいなぁ、おかしいなぁ」


と何度も言いながら、30分近く何度も子供の身体中にプスプスと針を刺して行ったのだった。

見ているこちらの方が痛々しくて見ていられない状況で、娘さんが二人もいる事務の人は本当に可哀想だと何度も零していた。この出来事でその子が病院嫌いになっていないことを祈るばかりである。

最終的に、その子は足の甲?に注射され、斜めに膝を立てた状態で


「なるべくその体勢でいてください。(点滴が)入る限り入れましょう」


と言ってあとは放置だった。


薮医院のある地域では土曜の午後に開いている病院も薬局もほとんどなく、小児科も14時には閉まってしまう。夜間救急センターも午後7時からしか開かないので空白の期間が存在するのだ。その為、インターネットなどで薮の病院が開いていると知った人が、薮の実力も知らず酷い目に合うのである。


子供を持つ親は、万一に備えてあらかじめ何処へ連れて行くかをきちんと決めておくことをお勧めします。


電気治療の人は薮が操作方法を全く知らない為、やりたくない薮の手で診察を意図的に後へ後へと遅くされた。患者さんが痺れを切らすと


「今日は患者さんがいないのですぐには出来ない。全部に時間がかかるから当分待って!」


と怒鳴り、実質的に追い返したのである。


看護師が治療を終えて出勤して来る時間が近づくと


「もう少しで看護婦さんが来るので、あとちょっと待って下さい」


と言い、30分近く平気で待たしたりもするのである。

常連さんほど看護師さんの次のお休みを気にして本人に聞くようになったのはいうまでもない。


健康診断や保険の審査の人は、体重や身長などは本人の自己申告をそのまま記録していた。それで正確な報告になるのかは私にはわからない。


賢かったと言われていた人間でも努力しなければここまで堕ちるのである。病院も事前の下調べは重要だということがよくわかる。

そして、看護師さんが薮のことが嫌になって辞職を宣言した日にはこの病院が回らないということもよくわかったと思う。薮はもっと感謝すべきなのである。そして事前に休み日はわかっているのだから、前日に器具の場所なんかは確認してスムーズに治療できるよう下準備くらいしてください。言うだけ無駄だけど。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ