手が当たっただけ
薮は患者や従業員に対しても気に食わないことがあると大声で暴言を吐き相手の反論を封じようとする。妻子がその対象になるのは当然のことである。
子供と薮が喧嘩した際には、子供を殴ろうとした薮から庇って奥さんは足と指を怪我した。
中々良くならない怪我に子供が
「様子がおかしい。レントゲンを撮って怪我の程度を確認して欲しい」
と薮に頼んでも
「大したことない。大袈裟に騒いでいるだけだ」
と言って治療もしてはくれなかった。
しびれを切らした子供は他の病院の予約票をダウンロードし書き込んで申し込んでしまった。それから渋る薮に無理矢理紹介状を書かせて母親を専門医のいる大きな病院へ見せたのである。
結果は足はかなりひどく痛めていてしばらくかかり、右手はさらにひどく親指は骨折していた。
「これは酷く殴られていますね。躊躇いがあったらこんな傷にはなりません。診断書は必要ですか?」
と最初に言われたそうだ。
「治療が遅かったのでギプスを外す時期になっています。歳が歳ですのでもうくっつかない可能性もあります。とりあえず様子を見ましょう。」
と言われ、重いものを持たないように指導されたそうだ。
その結果を薮に伝えると
「故意じゃない。庇うから勝手に当たったんだ」
と謝るそぶりもない。故意でなければ問題ないなら毎日のニュースはもっと内容が少なくなるだろう。
警察によるとDV男の中でも全く謝らないタイプは犯罪者傾向が高いそうだ。
プライドが高いのに周りの評価が低く、物事の責任を周りのせいにする。犯罪意識が低いためにいろんな問題を起こすことが多いということだった。
以前薮は車の当て逃げをしたことがあるのだが、警察が調べに来てもそんな記憶はないと言い張っていた。
車の傷や車のナンバーなどの証拠により、相手への治療費を払う状況になっても
「相手がお金が欲しいから大袈裟にしている」
と周りの人に言いふらしていた。こんな小さな田舎でそんなことを言っているのは馬鹿である。
何故なら被害者の知り合いも当然患者さんにはいる可能性が高く、それからを聞いた人がどう受け取るかを全く考えていないからである。
まぁ、薮ん中ではそれが本当のことになっているので自分で気がつく日がこないだろう。
今の世の中、年齢の高い層ではDVは珍しくないらしい。しかも、妻がDVだと気がつかないままに耐えている状態だそうだ。親子喧嘩で警察沙汰になるケースでは、その喧嘩の背景に母親へのDVが潜んでいることが多いそうだ。
薮の妻も自分はともかく子供に手を出されることには我慢できなかったらしく、警察にDVでの訴えを書類で保留状態にして提出したらしい。これで薮が大声で怒鳴った場合、薮の妻が恐怖を感じて警察に通報すると即薮は逮捕される状態だということだそうだ。
奥さんの性格的になかなか通報しないのではないかと心配なのだが、セーフティネットがあるというのは良いことである。
薮のようなタイプは改心することがないので離婚が一番らしい。ただし離婚した相手が幸せに暮らしていると、勝手に恨みを募らせてストーカーになるタイプらしい。
いつの日か医師がDVで逮捕されたというニュースを見たらそれは薮のことかもしれない。