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自分なりに努力はしている。

薮は勉強家だと自称している。

その証拠に製薬会社が行っている勉強会には積極的に参加している。

時に同類の医者同士でメールをやり取りしてどのような勉強会があるか情報交換を行い、病院に薬を卸してくてれいる人に声をかけMRにタクシーチケットを持ってきてもらうよう催促するくらいである。

ぜひともその情熱を自分の知識や技術を磨く方向に向けて欲しいものだ。

同じ日に複数の勉強会があった場合は迷わず食事がおいしいところを選んでいるので流石である。


彼が好むのは高級ホテル、旅館で行われる豪華な食事のつく勉強会だ。田舎にある薮の病院から近いところでは大したものはない。その為、薮が使うタクシーチケットの料金は高速を使った片道1万円を超える県庁所在地で行われる勉強会である。

勉強会に参加する医者は何人もいるので一体いくら勉強会にかかっているのかは考えると怖いものがある。結局のところかかった費用は薬の代金に上乗せされるのだから。

いっそのこと各月にかかった勉強会の費用の内、食事代とタクシーチケット代の合計金額をインターネット上に公表して欲しいと思う。そうすればそんな癒着した医者のところに行きたくないという人は絶対出てくるだろう。


ちなみにこの勉強会というのは、製薬会社が自社製品の宣伝を兼ねて食事付きにて行っているもののことである。さらに薮は製薬会社のMRに催促してタクシーチケットをを貰い交通費も浮かせている。

タダ飯は美味しいということなのであろう。薮の体型は説明するまでもない。

当然宣伝を兼ねているので基本的には良い情報しか出てくることはないし、勉強会終了後には病院にMRが訪問し薬の売り込みにくるのは誰にでも想像ができることだと思う。


薮は薬の勉強に関しては熱心ではないため、一度患者さんに薬を出すと前回のカルテを丸写しにするため変更することは滅多にない。医薬品卸や製薬会社にとっては便利な存在である。

薮の病院では一人にしか使っていない薬や、患者さんが取りに来なくなったため忘れ去られて何年も放置された薬がたくさんあった。怖いのは放置されて何年もたった期限切れ(時には経過措置を過ぎ局方に存在していない)の薬すら思い出したかのように在庫処理として処方することである。


運の悪い患者さんの一例では、古すぎて包装が劣化し薬の名前が印字された二重になっている外側が剥がれている薬を処方された人もいる。

調剤を手伝わされている事務の人が


「こんな状態なんですがいいですか?」


と質問しても


「いいから調剤して!」


といって処方されたのである。無責任もいいところだ。

命令された事務の人は泣く泣く無事そうなものを選び患者さんに渡したのである。


また、新種の薬を今後の勉強会に出席する為に病院で採用した場合は今まで使っていた安い薬から強引に新しく高い薬に変えたりもする。

確かに新しい薬はよく効く場合もあるが、今までの安い薬で安定していた人を強引に変える必要はないと思う。当然採用後に来た患者には高い新しい薬を処方するのは想像がつくと思う。


薮は自分のしていることに罪悪感はないので、診察室の壁には勉強会で埋められたカレンダーがかけられている。皆さんの近所にある個人病院にもあるかもしれないので確認してみてはいかがだろうか。

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