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数十年で発展を遂げた街を見下ろした。

高台になっている公園には、以前資料で見た物よりも幾分か質素な遊具が置かれている。

思い思いに遊ぶ子供達の表情に影はない。

無邪気に友達と遊ぶ子供、明日の約束を交わす子供、母親に手を引かれ笑い合う。


「おねーさん、さよーなら!」


舌足らずな声を聞いて我に返った。

振り向けば母親に手を引かれた小さな女の子。

さよならの意味を知らない笑顔が眩しい。


「さようなら、気を付けて帰ってね」


努めて優しくさよならを返す。

私の返答で空いた手を降る子供。母親は私に深く頭を下げ背を向けた。


黒のコートに動きやすく作られたスカートに皮のブーツ、コートの下から見えるシャツには政府の管轄下に置かれる法務省のピン。


数十年で作られた法の元で生きる法務省は、国民、取り分け子供から絶大な支持を得ていた。


現在、国内では犯罪が横行している。

発展を遂げたここ、中央部では減少傾向にあるものの、村と呼ばれる中央から離れた集落では増加の一途を辿っていた。


明日から私が向かおうとしている寒村も、犯罪の多い地域にある村だった。


高台の階段を降り、止めていた車に乗り込む。過去には台数が多かったらしい車も今では一部の者しか所持していない。


アクセルを踏むと軽く土埃が舞った。


ゆっくりと車を発進させる。街はいつの間にか宵闇に包まれていた。

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