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はなちゃんとホリーさん

「なわいねぇ。どうしましょ」

はなちゃんはつぶやいた。

ポローンと壁の時計が鳴った。

「あら、もう三時。ホリーさんが来ちゃいます」

おやつの準備をしている途中だった。

テーブルに焼きたてのパンケーキを出して、手作りの木苺ジャム、ティーカップを並べた。

ティーポットにお湯を入れると玄関のチャイムが鳴った。

「はいはい」

出て行くと、大きい体とは対称的な小さな頭にちょこんと麦わら帽子をのせたホリーさんが立っていた。

「はなちゃん、こんにちは」

「ホリーさん、いらっしゃい。さあさ、あがってください」

台所に入ると、ホリーさんは鼻の先を動かして、

「とてもいいにおいがしますね」

と言った。はなちゃんはティーカップにお茶を注ぎながら言った。

「今日は木苺ジャムを作ったんです。パンケーキにつけて食べましょう。ところでホリーさん、来る途中で、紙袋を見ませんでした?わたし、今日買い物へ行って、その袋をどこかへ落としてしまったようなんです」

「えっ!何ですって!大変じゃないですか。袋は落ちてなかったみたいですが…一緒に探しましょう」

「さっき、探すことは探してみたんですがねぇ。家の中になかったんで、帰る途中で落としたのかしらと思って」

「わかりませんよ。案外、家の中のどこかにあるのかも。もう一度探してみましょう」

ホリーさんはお茶も飲まず、家の中を探し始めた。

「まぁ、お茶くらい飲んでください」

はなちゃんもそう言って、ホリーさんの後に続いた。

二人は台所の棚やテーブルの下、玄関の靴箱、寝室のタンスやベッドの下、リビングの棚の中、ソファーの下、さらにはバスルームまで探し回った。

「は!」

はなちゃんが突然、声をあげた。

「今思い出しました。わたし帰って来てすぐ、家に入る前に庭に行ったんでした」

「そうなんですか。じゃあ、庭を探しましょう」

二人は庭に出た。

よく手入れされている花壇にはたくさんの花が咲いている。

「今朝、つぼみだったこの花が咲いたかしらと帰って来てすぐ見にきたんでした」

そう言ってはなちゃんは白い小さな花が咲く花壇の横にかがみこみニコニコ笑った。

「可愛くて、素敵な花ですね」

ホリーさんも花を見てニコニコ笑った。

それから二人は庭の木の下やベンチ、白い椅子やガーデニング用の棚を袋がないか探してみた。

「ありませんね」

ホリーさんが言った。

すると、

「は!」

はなちゃんがまた何か思い出した。

「今思い出しました。わたしお店に行った帰り、うちのジャムを届けにきりこさんちへ行ったんでした。いえ、きりこさんちへジャムを届けるついでに、お店へ寄って行ったんですが…」

その時、ブロロロロ…

スタンタンの近づいてくる音が聞こえた。



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