カイヤが羊皮紙を渡した理由 後編
リリアに静めてもらった闇の意識、魔王ステラ。
それにしても静かすぎる気がする…。
「魔王ステラ様、新しい『器』を持って参りました」
「よくやった。…少し、小さいが…まあよいだろう」
「これで自由な体が手に入りますね」
「ようやく姿を現したか。魔王ステラ!」
「なんだ。毎晩我と戦っていたのが懐かしいのか」
「中が出てきて倒しやすいと思ったまでだ!!」
「あれ…!?」
「どうしたの?」
「中に居ない…!!」
「!?」
かつて魔王ステラによって荒らされた街に向かったディアとリリア。そこは長年赤黒い空が続いていたが、ディアたちが来たときは青い空が顔を覗かせていた。
「どうだ。自分が生まれた土地で死ぬ気分は」
「……」
返事など、帰って来ない。
「ぐっ…」
「カイヤ!!」
強がってはいるものの、カイヤの体は既にボロボロだった。
「見たか父上様よ…。真の勇者はこのオレだ…」
カイヤの体に力が入らなくなる。体を支える為に突き刺した剣をそのままに、カイヤが倒れ込む。
「カイヤ!ねえ起きて!!」
動かないカイヤを揺するリリア。なにも言わずに俯くディア。
『魔王ステラが新しい器を見つけ、この世界を造り直そうとしている。』
「あれ、裏にもなにか…」
『魔王に器を渡した手下はティナだ。オレが討つのは無理だろうから、赤の勇者か青の勇者に頼んでくれ』
「もしかして…」
カイヤは魔王との戦いで散ることを察していたのかもしれない。
そしてこの手紙を?
「まったく…最後まで素直じゃないんだから…」
クルムの横にはカイヤが眠ってくる。『中』にカイヤはいない。
そして今。
ディアとリリアはティナのもとへ向かっている。
カイヤ君終了のお知らせ。今回かなりぶっとんでます。