8
お城の目の前に着くと、そこにも門番のような人がいて、私を見るなりギョッとしたような顔をした。
─まあ、ボロボロの格好で顔も腫れたままだろうし、びっくりするのも無理はないと思う。
「──?─、─?」
「──、───。」
門番のおじさんと紫のお姉さんがなにか話す。
おじさんは納得したような顔で頷くと、扉を開けて私たちを通してくれた。
お城の中は、シャンデリアの光を受けて輝いてるキラキラの調度品が沢山あり、ふかふかの赤い絨毯が敷かれていてどこも高級感に溢れていた。
私は、ゴミひとつない絨毯の上を汚れた靴下で歩くのが申し訳ないなと思ったけど、かといって裸足で歩く方が失礼だろうと思い、諦めてそのまま歩くことにした。
しばらく進むと、一際大きくて豪華な扉の前に来た。
「──!!───!」
お姉さんが大きな声で扉の前で何かを宣言するかのように声を張り上げると、扉がゆっくり開いた。
眩い室内は大広間のような場所で、正面の段上には玉座があった。
玉座には金色の男が座っていた。
眩しいくらいに髪も金、目も金。
長い足を組んで肘をついて座っていた。
色にも驚いたけれど、それよりも、その人の顔に目を奪われた。今まで見たことがないくらいに綺麗で、全てのパーツが彫刻のように整っていて、人形のように完璧だった。
もし、あの森で目が覚めた時に最初に出会っていた人物が彼ならば、私は彼を天使だと思い、ここを天国だと確信していただろう。
それだけ、人外的なまでに美しい男だった。
男がゆっくりこちらを見る。
目が合った。
遠くて分からないけれど、男の縦長の瞳孔が、大きく開いたように見えた。
私が瞬きをした一瞬の間に、男は目の前に移動していた。
「え?、」
思わず声が出る。
至近距離で、男は私を金の瞳でじっと見つめる。
あまりの迫力に、目を逸らすことも出来ず、こちらもただ見つめ返す。
近くに立つと、身長は2mはゆうに超えていそうなほど高く、視線を合わせるだけで首が痛かった。
数秒の後、
「──。─?」
男の低い声で何かを問われる。分からない。
言葉が通じないという意志を込めて首を振ってみる。
「──?」
それでも何か話しかけてくる。
でも分からないから答えられない。
「─。─?」
「──。─、──。」
私と会話するのは諦め、お姉さんと何か話す。
男はまたじっと私のことを見る。
綺麗な人だけど、大きいし、威圧感があって怖い。
その時、突然男に腕と腰を引かれたかと思うと、瞬く間に担ぎ上げられていた。
「っ、!!いや!!」
いきなり見知らぬ男性に触れられているのも怖い、
身長が高いからこの体勢がそもそも怖い、
何をされるか言葉がわからなくて怖い。
「やだ!!っなにするの!!やめて!」
この高さから落ちたら痛いだろうけど、そんなことも考えられずに離して欲しくてジタバタ暴れる。
でも男は私の腰をがっちり抑え込んで離さない。
「──。」
何か呟いたあと、一瞬で景色が変わった。
「えっ」
驚いて、暴れるのも忘れて呆けてしまう。
何?場所が変わった?
どこかの部屋の中にいるようだ。
紫のお姉さんも居なくなってしまった。
──ボフンッ
「きゃ、!」
部屋の中にある大きなベッドに降ろされる。
すると男もベッドへ上がり、私にのしかかってくる。
「やだ!無理無理無理!」
必死に距離を取ろうと押し退けるが、体格差で相手はビクともしない。
金の男は無表情で、何を考えているのか分からない。
─結局そういう目的!?その為にこんなとこまで連れてきたの?男なんてみんな大嫌い!!!
涙が滲んだ目で睨みながら、震える体を自分で守るように抱きしめる。
「、、、。」
男は無表情のまま少し何かを考えるような素振りを見せ、そのまま私に近づくと、覆い被さるように強く抱きしめてきた。
「ひっ!!、」
思わず悲鳴が漏れたが、腕の力が強くてその先の声は飲み込まれた。
苦しい。全身がギュウギュウと圧迫されている。
息ができない。
え?また死ぬの?
この人の思考も行動も全くわからない。
でも、
誰かに抱き締められるなんていつぶりなんだろう。
そんなことを考えながら、酸欠で視界が暗くなっていき、遂に意識がプツリと切れた。
やっと、、( ; ; )
次回、言葉が、、!




