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──ガタンッ
馬車が止まった。
「─。──?」
彼女が何事か話しかけてくる。
馬車の扉を開けると、先に降りた。
振り返って手を差し出してくる。どうやら私も降りろということらしい。
車高が高くて怖かったが、手を借りて何とか降りる。同じ地面に立つと、彼女の背がとても高いことに気が付いた。
私が身長154cmなのに対して、おそらく180cm弱はありそうだった。
おまけに太陽の下、近くで見ると紫色のサラサラとした癖のない髪に、お揃いの紫のまつ毛、薄い紫の瞳は瞳孔が縦に伸びているように見えた。
──人間じゃないのかも。
普通の人間ではまずない色だけど、染めている様には見えない。全然髪が傷んでないし、まつ毛までこんなに綺麗に染めるなんて無理だろう。
瞳は、爬虫類っぽい。
昔うちの家の近くに出たヤモリみたいだ。
人間の瞳孔は、こうはならないと思う。
数十分前まで馬鹿にしていたが、いよいよここが異世界であるという説が現実味を帯びてきた。
どうしよう。
背中に冷や汗がたれる。
紫のお姉さんの観察に忙しかった私は、馬車の目的地の事をすっかり忘れていた。
「─?──。」
お姉さんが何かを指差し、そちらに向かって私を促す。
見上げると、そこには巨大な門があった。
門番らしき人とお姉さんが言葉を交わすと、大きな門が音を立ててゆっくりと開いた。
──ギギィッ
そこは、正におとぎ話の大きなお城だった。
はるか空の上まで伸びる高い主塔、その周りを守るようにそびえ建つ複数の塔と堅牢な城壁、雲の上から流れ落ちる滝を受け止め、その滝壺から続く川が流れる広大な前庭など、どれもが荘厳で言葉を失うほどの光景だった。
しばらくその夢のような景色に見とれて立ち尽くしていたが、にっこり笑ったお姉さんに促されるまま、私は城へと続く道を歩いた。
こんな所へ来て、私はなにをさせられるんだろう。
ますます分からなくなってきた。
整備された城への道は、靴下で歩いても痛くないほどだった。
ヒーロー、ようやく、次!、、ですっ!




